35 T計画始動!! その2
「うわー、ゴメラが機械製の正体を現したわ。」
水晶球を操りながらアルテアの顔が険しくなった。
「アルテア先生、状況はどうなんですか…」
「……そうねえ、かなり難しいかも…」
「ぶっちゃけ、ザップマンさんに勝ち目はないわね…」
遥の問いに瀬利亜がさも残念そうにつぶやく。
「じゃあ、一刻も早く助けに行かないと!」
「そうね、巧さん、お願いします!」
リムジンはさらにスピードを上げて新宿に向かった。
ザップマンがメカゴメラと対峙して一分半後、トンファーを手にしたメカゴメラの猛攻にザップマンはフラフラになっていた。
「はっはっはー!!テコンドー忍者の動きを完全に再生した戦闘プログラムに、尻尾の機能性を加えた今のメカゴメラに勝てる怪獣や巨大ヒーローはいない!
さあ、メカゴメラよ!止めを刺すのだ!!」
メカゴメラはキシャーー!!と吠えるとトンファーを自在に操りながらザップマンに迫った。
「行くぞ、トンファーハリケーン!!」
ザップマンはトンファーの嵐のような猛攻を避けきれず、後方へ吹っ飛ばされて、動かなくなった。そして、おそらく変身が解けたのであろう。姿が見えなくなった。
「はっはっはーー!わしの作ったメカゴメラは完ぺきだ!!本物の一〇〇倍強い!!」
高笑いしていたドクターフランケンはしかし、メカゴメラの眼前に急に現れた高さ一〇〇メートルを上回る巨大な火の玉に仰天した。
「なんじゃ、こりゃーー!」
火の玉はメカゴメラに抱き付くと、発する光の色が青白くなり、輝きも大きく増した。
火の玉が発する閃光は火の玉の中心から一定範囲だけ広がり、轟音と共にしばらく輝き続けた。
「め、メカゴメラが蒸発した!!あれはなんだ?!!」
メカゴメラから通信が途絶え、『例のもの』に設置されたモニターからの映像を見ながらドクターは仰天した。
「地球防衛軍副隊長・最強の陰陽師である美夜さんの式神『小太陽』ですね。設定・展開に時間がかかりますが、1万度以上の高温で、「結界範囲内のモノ」すべてを焼き尽くしますから、地上で壊せないものはほぼないでしょう。」
水晶球から立体映像を映し出しながらアルテアが解説する。
「…美夜さんて、先日見せていただいた『超A級モンスターバスター』のお一人ですよね。そんなことが出来るのであれば、一番強いのでは?」
遥が半ば呆然としながらつぶやく。
「『小太陽』は高速で動き回る相手には使えないのが欠点なの。『高速の相手用の式神』もいろいろ持っておられるから相手に合わせて使い分ける感じね。」
「チャンスは今しかないわ、黄金マント!指定のポイントに撃ち込んで!!」
『小太陽』がメカゴメラを仕留めるのを『視認』すると、『みっちゃん』は小太陽の核を画面に提示した。
「わかった、T砲発射!!」
黄金マントが叫ぶと『都庁ビル』から、青白い閃光が小太陽に向かって撃ちこまれた。
核を破壊された小太陽は実体を保つことが出来なくなり、砂の城のように一気に崩れ去った。
(『小太陽』が消失??そんな術師がいるの!!?)
スーパーファルコン二号で待機していた土御門美夜は全身を裂かれるような痛みに襲われて、倒れ込んだ。
陰陽術師は、操る式神を倒されると、相応のダメージが本人を襲う。
式神が強力であればあるほど、術者の受けるダメージはその強さに比例して大きくなる。『小太陽』クラスの式神であれば、通常ならやられると同時に術者が即死してもおかしくないくらいであった。
幸いにも美夜はショックに耐え、操縦を自動操縦、基地帰還に切り替えた。
そして、何とか救出した誠也に目をやると、そのまま意識を失って倒れた。
「まさか、『小太陽』がやられるとは…。美夜さんは下手をすると一週間くらい戦闘不能になるでしょうね…。」
『小太陽』が崩れ去る映像を見ながらアルテアの顔が真っ青になった。
「そして、使った武器は『念弾』!それもゴメラを瞬殺するクラスの怪物を一撃で仕留めるくらいの強力な念弾を放てるとは…」
アルテアはそこまで言って黙り込んでしまった。
「そこまでの強敵を美夜さんなしで何とかしなくてはいけないのね。
私たち以外になんとかできるものはいないみたいね!」
瀬利亜が不敵そうに目を光らせた。
「ドクター!T計画始動だ!」
「ラジャー!エネルギー転送します!!」
黄金マントの声に合わせて、ドクターフランケンが制御室でタブレットにいろいろ打ち込んでいった。
ほどなく、『都庁ビル』の建物全体が金色に輝きだしたかと思うと、中に残っていた人間をドンドン排出し始めた。
同時に建物全体が鳴動し、ゆっくり変形を始めた。
都庁から放り出された職員たちや近くにいた人たちはその光景を見て、四方八方に飛び散っていった。
ビルからは左右に腕のようなものを形作り、同時に下の方に足らしきものが映えだしたかと思うと、間もなく『巨大な人型』になっていった。
「『都庁ロボ』完成!」
トランスフォーマーの悪役ぽいフォルムのロボットが完成すると、黄金マントが叫んだ。
都庁ロボもポーズを付けると同時に空に向かって吠えた。
「うわーでっけえなあ!あんなん倒そうと思ったら、中に侵入して、中心部の機械をぶち壊すしかなさそうだよなあ。」
「そうですね。私が援護しますから、斎藤さんお願いします。」
パトカーから降りた小早川充と斎藤警部は都庁ロボを見上げながらゆっくりと近づいて行った。
「近づくのはそこまでにしてもらおうか!」
二人の前に白いローブを被った大男が現れた。
「おや、警備はお一人だけなのかね?とんでもない警備ではあるようだが…」
「結界を破って侵入できるのはごくごく一部なものでね。私一人で充分なのだよ。」
大男は白い歯を見せて笑った。
「そちらのお兄さんは怪我をしないうちに帰りたまえ。私は無駄な戦いは好まないのだよ。」
男が淡々と語るのを聞いて、充は笑った。
「怪我をするのがどちらか、試してみるかい」
充が羽織っていたコートを翻すと、その姿がキャプテンゴージャスに変わった。
「魔王すら一撃で倒すという『聖なるレイピア』の威力をみるがいい!」
キャプテンゴージャスが目にもとまらぬ速さで男に斬りつけると、『聖なるレイピア』は簡単にへし折れた。
「そんなおもちゃでこの私の『マッスルの壁』に傷一つつけることなどできん!!」
男はローブをはぎ取ると同時に右手を高速で一振りした。
キャプテンゴージャスは人形のように宙に舞いあがり、止まっていた車に突っこんで動かなくなった。
「安心しろ。急所は外してある。」
男は鋼のような肉体のあちこちを機械部品や装甲が覆っていた。
「私の名は『メカマッスル』!!地球最高のマッスルだ!そして、スーパーモンスターズの首領でもある!」
瀬利亜「美夜さんの式神は本編では超高熱を発する『小太陽』でしたが、別の案もありました。
どんな敵でも叩き潰す『百(万)トンハンマー』になるかもしれなかったのです。」
光一「ちなみに『百トンハンマー』の外見はどんな感じになる予定やったん?」
瀬利亜「もちろん、ギャグを飛ばした時にツッコミを入れるのに使う『巨大なハンマー』か、『巨大な重り』が天から降ってくるみたいな♪」
光一「…それを都庁ロボからの射撃で撃ちぬいて…。シュールな光景やね…。」
瀬利亜「そうそう、お便り(特に疑問や応援)をくれると、こんな感じで私たちがツッコミ…もとい、返事をするかもしれないって♪」
光一「……以前某同人誌で『必ずボケた返事を返した』逸話があるらしいんやけど…」
瀬利亜「そろそろ第一部も佳境に入ってきましたので、お見逃しなく♪」




