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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
激闘 スーパーモンスターズ
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18 学園に忍び寄る者たち その1

 「……ホームルームを始めます……」

 地獄の底から這いあがったような顔をして担任の錦織(にしきおり)が入ってきて、雪組の教室はざわついた。いつも明るく陽気な錦織だけに生徒たちはお互いに顔を見合わせて何があったのかをひそひそと推測し合った。


 「昨日別れた時には何ともなかったのに、心当たりはありませんか?」

 遥が後ろの席からバネッサに小声で囁く。

 「私らと別れるときは『これからデートや!』てえらい上機嫌だったけど…」

 そこまで言ってバネッサ、そして(はるか)千早(ちはや)清正(きよまさ)共に瀬利亜が非常に渋い顔をしているのに気付いた。


 「……きょうも素敵なかわいい女の子が転入やで…みんなも喜ぶように…」

 一生懸命明るい声を出そうと努力しているのがわかるだけに錦織の落ち込みぶりはあまりにも痛々しかった。


 「……羽生麗華(はしょうれいか)さんや。みんな、仲ようしたってや」

 錦織の声とともに髪が縦ロールになった目がきつめの美少女が入ってくるのを見て、瀬利亜は椅子ごとひっくり返った。


 「せ、瀬利亜はん、大丈夫か!?」

 ひっくり返る瀬利亜なんぞ見るのは初めての錦織は慌てて、ひっくり返った瀬利亜に駆け寄った。


 「錦織先生!!」

 瀬利亜はガバっと立ち上がると、錦織に詰め寄った。

 「頭痛と生理痛と神経痛が酷いので、保健室までお願いします!!」

 そのまま錦織を担ぎ上げると、あっけにとられた生徒達を残して、教室からさっさと出て行ってしまった。



 「光ちゃん、失恋して落ち込んでいるのはわかるけど、その状態は酷すぎるわよ。」

 空いた教室に光一を連れ込むと、瀬利亜はため息をついた。

 「な、なんですぐわかったん!?」

 「光ちゃんがそんなに落ち込むのは失恋した時だけだから、すぐわかるわよ。しかも、知り合ってから『九回も目撃』しているわけだから。」

 「ううっ!!そうなんや!!『私に本音を明かさないのは私を本当は信頼してないからでしょ!!』て言われたんや!!」

 「…毎回それが原因なのよね。まあ、『実はスーパーヒーローでした♪』とか簡単に明かすわけにもいかないから、『幸ちゃんが悪い』というのも気の毒な話だしね。」

 「婚約指輪も買おう思うて、一生懸命貯金もしとったのに!!」

 さめざめ泣く光一の背中をしばしさすった後、瀬利亜は立ち上がった。


 「さて、『教育者』の錦織先生!!」

 「はっ!?」

 瀬利亜の言葉を聞いて、光一はすっくと立ち上がった。

 「『あなたの生徒達』が教室で待っていますよ。今、あなたは何をなすべきでしょうか?」

 「そうや!ワイは雪組の担任やった!!こんなことでいつまでもぐじぐじ言っとる場合やないんや!!」

 「それと、『スーパーヒーロー』の電脳マジシャン殿、正体に気づかずに敵の『レディマント』を教室に案内されては困りますよ。」

 「なんやてーーー!!それマジ?!」

 「顔もオーラも間違いなく『レディマント』だわ。私に面が割れているはずなのに、どうしてわざわざ転校してきたのかも不可解だわね。」

 「…罠の可能性が高いと?」

 「そう考えるのが自然でしょうね。」

 二人は顔を見合わせると急いで教室に戻った。



 「さあ、そういうことやから、みんな、羽生さんと仲ようしたってや♪」

 教室に戻った時にはすでにいつもの錦織に戻っていたため、逆に何があったのかと教室がざわついた。

 (((瀬利亜さんすげー!!)))

 なんとなく事情を察した遥・千早・バネッサは瀬利亜を尊敬のまなざしで見つめていた。


 「ほな、学校のことが羽生はんはまだ、不案内やろうから、石川はん昼休みにでも校内を案内したってや♪」

 「はい、よろこんで♪」



 「でねえ、ここが購買で、こっちが食堂。焼きそばパンは人気があるから、早めに来ないと売り切れちゃうから気をつけてね。」

 瀬利亜がニコニコしながら案内するが、内心ドキドキしている麗華は半分以上瀬利亜の言葉が頭に入っていなかった。

 (まさか、正体がばれているわけじゃないわよね。それにしてはあまりにも自然に親切にしてくれているし。大丈夫なはずだわ)


 グラウンドやプールの説明を受けているうちにさすがのレディマントもストレスで胃がおかしくなりそうになっていた。

 「ごめんなさい!お手洗いに行きたくなったから、今日はこれくらいでいいわ。いろいろありがとう。」

 「了解です。では、また教室で」


 瀬利亜と別れて麗華は大きく息を吐いた。

 (いざとなったら瞬殺されかねない敵と一緒というのは神経遣うわ…)

 校庭のベンチに腰掛けようとして、背後からのすさまじい殺気に麗華は慌てて振り向いた。

 「神聖な校舎に『怪人』が一体何の用だ。」

 180センチ前後の細身で作務衣を着た精悍な男が麗華を睨みつけていた。

 右手にはお札を何枚も用意している。


 (陰陽師!!それもシードラゴンマスクよりさらに霊力が高い!)

 まともにやりあったら勝ち目がないとすぐにわかり、それでも立ち向かおうとしたその時、後ろから声がかかった。


 「孔明さん、私のクラスメートに乱暴されては困ります。」

 いつの間にか瀬利亜が戻ってきていて、苦虫を潰したような顔をしていた。


 「ふざけるな!!こいつは怪人ではないか!わかっていてなぜ放置する!!」

 「ダメですよ、バラしちゃ。せっかく泳がせて情報をもらおうとしていたのに。」

 頭をかきかき言う瀬利亜に麗華は完全に自分が追い詰められたと半ば覚悟を決めた。


 「なら、バレてしまった以上、処分しても構わないな?」

 「彼女は『敵の変態怪人』と一緒にいたことしか確認されていないわ。『犯罪要件を構成していない』から、手を出すのはなしです。」

 孔明が脅すように睨みつけても、瀬利亜は涼しい顔でそれを受け流す。

 「まったく、大明さんの甥っ子だというのにもう少し性格も丸くなってくれないものかしら。」

 「お前さんがたのようなきれいごとを言う『軟弱もの』と一緒にされたくないだけだ。化け物はどこまで行っても化け物だ!」

 もはやレディマントのことはそっちのけでA級モンスターバスター石川瀬利亜とA級モンスターバスター安倍孔明は火花を散らしながら睨み合っていた。


 「まったく、いつまでたっても物の道理をわきまえん、やんちゃ坊主じゃな」

 老婆の声が聞こえて、孔明は慌てて振り返った。


 目を不自然に青く光らせて、アルテアが孔明を睨んでいた。

 「その声は『大魔女』リディアか?!」

 孔明はうろたえて二~三歩後ずさった。


 「いわゆる『人外のモンスターバスター』もずいぶん増えてきておるのにまだ、そんなことを言っておるのか。そんな狭量な事だから人間同士の争いもなくならんのじゃ。それと、本来模範となるべき『超A級モンスターバスター』同士が喧嘩とか、シャレにならんぞ。」

 気圧されながらもしばらくアルテアを睨んでいた孔明はややあって、口を開いた。

 「今回はあなたに免じて見逃しますが、次はないと思ってください。」

 孔明が式札を地面に投げつけると、孔明の姿が煙に包まれて、そのまま姿を消した。


 「行ってくれたようね。」

 いつもの状態に戻ると、アルテアはため息をついた。

 「その目は説明を要求しているわね♪じゃじゃーん、ミニ魔女リディアちゃんでーす♪」

 懐から小さな老魔女の人形を取り出すと、瀬利亜に嬉しそうに差し出した。

 「おっきい人形は修理に時間がかかるから、とりあえず、小さいのを作ってみました。

 大きいの同様おしゃべりのプログラミングをしてあるから、大魔女人形と同じようにしゃべれるようになります。私あの人苦手だから、これがないとまともにしゃべれなくって…」

 瀬利亜が気まずげに麗華をさりげなく指さすとアルテアは不思議そうに首を振った。


 「瀬利亜ちゃんのお友達のいわゆる『超能力者?』が人外扱いされて孔明さんにいじめられてたんでしょ?」

 「わかってなかったの???この子、マント四天王の一人、レディマントだから。」

 「えーーー!うそでしょ??だって、この娘人間だよ?」

 「元は人間だとはわかっていたけど、今も人間なの??」

 「うん、オーラから何からどう分析しても『人間』だけど?」


 さらっと「人間扱い」されて、麗華は逆上した。

 「ふざけるな!!私が人間なんかであるわけがない!!私はマント四天王の一人レディマントだ!!」


 しかし、瀬利亜とアルテアは顔を見合わせて困った顔をした。

 「正直なところ私たちの方が困っているの。わけがわからなくて。でも、いいじゃない。人間だろうが、そうでなかろうが友達は友達だから。」

 にっこりほほ笑むアルテアに麗華はさらに怒った。


 「ふざけんなーー!!」

 叫ぶとそのまま校舎に向かって走り出していた。



 (私が、私が人間なんかであるわけがない!!)

 気が付くと自分のクラスの目の前まで戻っていた。

 (落ち着け、麗華。相手もすぐに私をどうこうするつもりはないようだし、今日やり過ごしたら黄金マント様の指示を仰ごう。)

 なんとか、冷静に戻ると、麗華は教室の扉を開けた。


 「おかえり、麗華ちゃん、遅かったね。」

 ホットドッグを食べながら瀬利亜が涼しい顔で手を振ってきた。

 「いくらなんでも戻るの早すぎない?!」

 麗華は思わず叫んでいた。

 「乙女には人に言えない秘密がいろいろあるのよ♪」

 「えーー、どんな秘密なんですか?」

 千早が瀬利亜の話に嬉しそうに乗っかっていく。

 「どうしても、聞きたい?後悔しない?」

 「うん、しないしない♪」

 瀬利亜も含めて誰一人麗華を全く警戒するそぶりも緊張のかけらもない状態をみて、麗華は愕然となった。

 (私なんぞ全然相手にならないということか?)

 麗華は怒りのあまり叫びそうになるのを何とか抑えて自分の席に戻った。



 「というわけで、放課後の作戦タイムです。」

 瀬利亜がタブレットを取り出して、周りのメンバーを見回した。

 「ちょっと待て、このメンバーでいいのか?」

 清正が言いにくそうに口を開いた。

 「光ちゃん、ちーちゃん、バネちゃん、遥ちゃん、キヨマー…、そうか、なんだったらキヨマーは帰ってもいいよ。」

 「待って!そこで帰るのがおれになるわけ!?」

 「だって、この中で唯一の一般人じゃない。無理して付き合わなくても大丈夫だから。」

 「この前までの『魔王扱い』はどうなったわけ?!それと、また襲われたら困るし!!」

 「『魔王の血に目覚めたか?!』と思ったら全然目覚めてなかったわけだし。それと、勘違いしてた人達もいなくなったので、大丈夫大丈夫。」

 勘違いしてた人の一人、『勇者』バネッサはさりげなく、顔を反らせた。


 「そして、講師の入場です。」

 「はーい、お待たせしました♪」

 扉を開けていつもよりカラフルな魔女服を着たアルテアが教室に入ってきた。

 「日本の夏をテーマに水色を基調に涼しげなデザインにしています♪」

 「わー!素敵♪」「さすがでんね♪」

 衣装のことでひとしきり盛り上がった後、ようやく会議は始まったのだった。


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