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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
激闘 スーパーモンスターズ
16/140

14 激闘! そして

 「喰らえ!ゴージャスビーム!」

 キャプテンゴージャスが、素早く「謎の光線銃」を引き抜くと、白色の光線を放った。

 しかし、黄金マントの体が金色に光ると光線は体に届く前に、見えない壁に弾かれるように消え去った。

 「そんなちゃちな武器で『黄金バリアー』を貫くことはできん!!」

 では、今度はこちらから行くぞ!『黄金フラッシュ』!!」

 黄金マスクが右手のひらを向けると、キャプテンゴージャスに金色の光球が放たれ、ゴージャスはそのまま後方へ吹っ飛んだ。


 「ふ、そんな攻撃ではこのネオ・ゴージャススーツを貫くことはできん!!ゲホゲホ!」

 壁に叩きつけられて、キャプテンゴージャスはずるずると地面に倒れ込んだ。

 「充さん!!」

 「おっと、あなたのお相手はこの私めがいたしましょう。」

 思わず、駆け寄った千早の眼前にダンスでマントが舞うような優雅な動きで迫ってきた。

 ダンスでマントの素早い回し蹴りを千早は鞘のままの刀で受け止める。

 ダンスでマントはさらに断続的に蹴りを加えるが、千早は全て的確に受け止める。


 「ちーちゃん!何をやっているの!?刀を抜きなさい!!」

 「で、でも!!前の敵達とは違って、この人達は元は人間みたいです!!」


 「……あなたが優しいのはわかっているわ。でもね、そういう時の為にいい方法があるの。

剣を抜いた方が神那岐の太刀の力がずっと発揮できるわ。そして、『峰打ち』にすれば、鞘のままより『ずっと痛い』から!」

 「わかりました!!」

 意を決して千早が神那岐の太刀を抜くと、神那岐の太刀が白く輝き始める。

 だが、魔王の手下たちと戦った時ほどの輝きではない。神那岐の太刀は相手を「ほぼ人間認定」しているようだ。


 「ほお、ずいぶん『お優しい』お嬢さんなのだね。」

 黄金マスクが皮肉ぽく笑うと、シードラゴンマスクも笑って返す。

 「あら、私も一応『半殺し』程度でやめておくつもりだけど?」

 「ふふ、私も同感だ。一応命は助かるようには『戦ってあげる』つもりでいる」

 二人の相手を見る視線が鋭さを増し、双方の闘気が飛躍的に上がっていく。


 (こいつは強敵だわね。気を抜いた方が負けそうね。)

 (おもしろい!強敵だとは思っていたが、まさかここまでとは…)


 二人の気がさらに高まり、頂点に達しようとしたまさにその時……。

 シードラゴンマスクの左腰のポシェットから「オルゴール音のトトロのテーマ曲」が流れ始めた。

  ほぼ同時に黄金マントの左マントの上の小物入れから「もののけ姫のテーマソング」が流れはじめた。

 双方無言で視線で合図をし合うとそれぞれスマートフォンを取り出して話し始めた。


 「もしもし、光ちゃん、何があった……なんですって!!」

 「ふむ、ドクターか。一体何用…なんだって!!」


 双方叫んだあと、お互いを見やる。

 「勝負はおあずけだ!!また会おう!!

 「望むところよ!!次こそは決着をつけるわ!!」


 シードラゴンマスクはキャプテンゴージャスを右肩に担ぎ、黄金マスクは「マント三兄弟」を軽々と担ぎ上げると、それぞれ踵を返した。


 「待ってください!一体何があったんですか!」

 慌てて着いていく千早に瀬利亜が答えた。

 「学校が襲撃されたそうなの!詳しくは道中説明するわ。」




 「先生!石川さんと神那岐さんはお休みですか?」

 「二人とも『仕事』やと聞いとるで。美少女二人がおらんで残念やなあ。」

 教室に入ってきた担任の錦織の言葉に主に女生徒たちががっかりしたため息を吐いた。


 その時、空いた窓から黒い玉のようなものが飛び込んできた。

 玉は清正の机に命中するとものすごい勢いで真っ白な煙を噴出し始めた。

 生徒達がパニックになる中、あっという間に教室中に煙が蔓延したのち、警報が鳴ると、排気装置が猛烈な勢いで煙を排出し始めた。


 (これは一体どういうことだ!?)

 煙が出ると同時に錦織は警報装置を押した。そして、教壇に隠してあった暗視スコープと、ショックガンを装着した。

 (いったい何者が学校の警備を潜り抜けたか知らんが、わてらをなめるんやないで!!)

 教室内をざっと見まわした錦織はしかし、違和感を覚えた。

 生徒達の姿以外見えないのだが…いや、人数が減っているのだ!!

 「みんな無事か!!」

 錦織は思わず叫んだ。



 バネッサは煙が出ると同時にこっそり(笑)持参していた勇者の剣を身構えた。

 窓の外に何者かの気配を感じ取ったのだ。

 その二つの気配は人間とは思えないようなスピードで教室内を動いた。

 そのうち一つがバネッサのすぐそばを通ったかと思うと、『清正の気配ごと』あっという間に窓の外に遠ざかっていった。

 (清正?!)


 バネッサは慌てて、窓に駆け寄ったがもはや気配はどこにも感じられなかった。



 煙は排気装置の稼働で、あっという間に晴れていった。

 そして、錦織は清正と、綾小路遥の姿が見えなくなっているのに気付いた。


 「先生!清正が何者かに窓から連れ去られました!」

 叫ぶバネッサに錦織が慌てて駆け寄る。

 「どうした、バネッサはん!何があった?」

 バネッサが自身の体験したことを語ると錦織は頭を抱えた。

 (この学校の『魔法&科学的防御』を抜けた上に、勇者であるバネッサはんが全く対応できないとはとんでもない化けもんやな…)


 「先生!これ!」

 生徒達の指さす先を見て、錦織は驚愕した。

 清正の座っていた席には学生服を羽織った小さな丸太が、遥の座っていた席にはセーラー服を羽織った細い丸太がそれぞれ置いてあったのだ!!

 (これは一体どういうこと…)

 「…あの、先生…ちょっといいですか…」

 呆然としている錦織に内気で小さな声でしか話さない「浅水雫」がおずおずと声を掛けた。


 錦織ははっとした。

 浅水雫はこのクラスの人外の中でも「要注意とされている真祖の血を引く吸血鬼」で、しかも太陽光に耐性があるという『人類の敵だったら』非常にやっかいな生徒だ。

 実際には両親を含めて、「虫を殺せないくらい優しい」ので、問題を起こしたことは一度もなく、優しい性格とちまちましたかわいい雰囲気で千早と共にクラスのマスコットになっていた。


 「言いにくい話なんやな。では、外で聞くで。」

 雫はこくこくとうなずくと、錦織と一緒に外へ出た。

 「…先生、信じられないかもしれないですが、清正君と遥さんは二人の忍者に連れ去られました。窓の外からものすごいスピードで入ってきて、あっという間に二人を抱えて、窓の外に飛び出していきました…」

 「マジかよ…」

 「……あの、先生?信じてくれますか?…」

 小さな声で雫が不安そうに見上げる。

 「ああ、もちろんや。信じるからこそ、信じたくない気持ちになるんや。」


 「現身の術?」との関連から、シードラゴンマスクが以前姿を見ないまま遭遇したという例の忍者本人か、仲間の可能性が高そうだと錦織は判断した。

 (瀬利亜はんが取り逃がすくらいやから同クラスモンスターバスターでないと対応できんやろうなあ)

 タブレットで、状況をモンスターバスタ―協会本部に知らせると同時に錦織は瀬利亜に連絡を取った。



 「で、遥さんとキヨマーが教室で忍者にさらわれたと。

 その30分後くらいに安倍家にこんな『矢文』が刺さっていたのね。」


 光一、瀬利亜、千早、バネッサ、清正の父の正明が理事長室に顔をそろえていた。

 『さらわれた者を返してほしくば、魔王の力の秘密を知る者のみこの場所へ来い 秘密結社『スーパーモンスターズ』闇の忍者軍団より』

 全員で和紙に墨で書いた手紙をじっと見やっている。

 「しかし、付属の地図は『ゴーグルマップ』を使っているあたりは文明の利器もちゃんと使えるゆうことやな。」

 「それで、場所は特定できたの?」

 「ここからやと、車で30分、徒歩で1時間くらいかかる森の中や。本来ならなにもないはずなんやが、最新の衛星地図だとこんな建物が建ってるな。

 お寺みたいな和風の建物に見えるな…。」


 「では、ここにいる五人で救出作戦ね。敵はブルースリーの映画をもじって、五重の塔でモンスターバスターズVS忍者軍団を目論んでいるわけね。」

 「瀬利亜はん、よく、この写真で五重の塔と断定できまんね?」

 「うっすらだけど、建物の影が五重の塔の形になっているからね。」


 「瀬利亜さん、『魔王のこと』をわざわざ書いているなら、どうして遥さんをさらったんでしょうね?」

 千早が首をかしげながら聞いた。

 「……それがわからないのよね…。というか、連中がキヨマーをさらう理由もイマイチわからないし…。」

 瀬利亜の言葉に正明がうなずく。

 「確かにシズたんの血を引くとは言え、能力的には『ちょっと何かを感じるだけ』の一般人だもんなあ。シズたん自体も「魔王の血族」とかでは全然なくて、たまたま父ちゃんが魔王を名乗って、その成り行きで本人も魔王を名乗らされただけだからね。

 元々の種族は『普通の人間より魔術的な素養が高い』くらいなわけだし。

 清正に『魔王の力』を求められても困るんだよな。」


 「しかたないわね。とりあえず状況を見ながら『忍者軍団をボコって二人を取り返す』ということで」

 四人は瀬利亜の言葉にうなずいて車に乗り込むと、人質奪還作戦に乗り出したのだった。


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