プロローグ
最初は 物語が展開される世界で語り継がれた物語から始まっています
昔 昔 自然に見守られた 名も知られぬ小さな国があったそうです
この国には とても珍しい髪と目の色を持った姫君がおられました
姫君は 自分の立場を威張り散らす事もなく とても心優しい姫君だったそうです
彼女には 同い年の兄がおりました
彼は 次に国を担う跡継ぎとして 申し分のない責任感を持っていたそうです
2人の両親である国王と王妃に人望がなかったわけではありませんが 姫君と王子の周りには それは優秀な人材が集まっておりました
誰もが 姫君を慕い 大切に想っていたそうです
国民は まだ若い彼等の仲睦まじい姿を見て 未来に希望を持っていたとか
ある日 姫君に縁談が舞い込んで参りました
これは とても名誉あることで 古き時代から続く大帝国の王太子妃にという話です
何でも お忍びでこの国を訪れていた王太子殿下が 孤児院に慰問してきていた姫君を見かけたとか
この時に見た 何気ない笑顔に一目惚れしたらしい
その話を聞いて 誰もが 姫君の幸せを願いました
王宮でも 帝国へと継ぐための準備が進められ 国中が お祭り騒ぎとなったそうです
誰もが この結びつきを国と国の親交を強めるものではなく 純粋な想いとして受け止めておりました
けれど それを面白くないと思う者もいたのです
それは 王太子妃になると夢見ていた他国の姫君や令嬢達………
帝国に取り入ろうと目論んでいた 貴族達………
名も知られぬ小国の姫君に その座を奪われたと聞いて 大層 怒り狂ったとか
彼等は 姫君だけでなく その国の王族を含めた 王族にも憎悪を募らせました
この結果は とても残酷な悲劇を齎せたのです
狂った歯車は どこまでも どこまでも続く
狂気に満ちた感情は 時として 人を邪悪な存在に変えてしまう
小国は 帝国の迎えの使者が訪れた時 跡形もなく消えておりました
後に残されたのは 残虐的な痕跡のみ………
何が起こったのかは 誰にもわからないまま
王太子は 妃に迎えるはずだった姫君の祖国の変わり果てた様子に言葉を失ってしまったそうです
そして 慰霊碑を建てました
いつまでも 姫君の事を忘れないと誓って………
王子は その後 世継ぎがたった1人という事もあり 他国の姫君を妃に迎えたそうです
けれど その心の中には いつまでも 姫君の存在があり続けたとか
※~※~※~※~
「どうしました?先ほどのお話 お嫌いでしたか?
これは、古くからこの国だけでなく 各国で語り続けられている物語ですが」
1人の女性が 不安そうな顔で 膝を抱えて黙り込んでいる少年に声を掛けた。
「嫌いではない………ただ 納得がいかない。
1人の女性を忘れないと誓っておきながら 違う女性を妃に迎えているではないか。
僕は そんな風にはなりたくない。
誰かを想い続けるのならば その意思を貫くべきだ」
「仕方がありませんよ、殿下………。
王族には 王族にしか出来ない定められた役割があるのです。
新しい世代に続く 後継ぎを世に送り出さなければならない」
その言葉を受けて 少年は、面白くなさそうな顔になる。
「だけど 僕は、それに抵抗するつもりだ。
次期国王は、兄上に決まっているのだから 気楽にやらせてもらう。
王族に生まれた以上 何かに囚われるかもしれないけれど………まだ時じゃないんだから」
「殿下は、本当に先のことを考えられていますね?
うちの子供達にも言い聞かせたいところです」
ニッコリと微笑む様子に 少年も、クスリと笑った。
「あいつらにとっては、耳にタコだろう。
だけど 後先考えずに行動しなくなったら 逆に気持ちが悪いぞ?
あれが、あいつららしいんだから」
女性は、小さく溜息をついて ”それもそうですね?”と 微笑んだ。
「さぁ~てとッ!今日は、もう寝るッ!
明日は、あいつらと一緒に 城下に下りる約束をしているんだ」
「また………殿下達は、どうしてそんなに。
それに わざわざ わたくしに話されなくてもよろしいのでは?
まぁ 王宮が大騒ぎになる事はありませんけれど………」
「父上達も諦めておられるんじゃないか?
まぁ 乳母のお前が叱られなくて何よりだ」
天使の如く笑顔を向けてこられて 女性は、何も言えなくなってしまったらしい。
「最初にお会いした時よりも 子供らしくなられて何よりですわ。
けれど 無茶だけは なさらないように」
寝息を立て始めた少年に囁くと 女性は、ゆっくりと部屋を後にした。
※~※~※~※~
ある時 1人の少女が旅をしていると噂が流れた
その姿は あまりに儚げで とても弱々しい
けれど 彼女が赴いた周辺地域では 不思議な話が語り続けられていたそうだ
── 少女は 神が遣わした使者なのかもしれない と ──
彼女と遭遇した人々は 様々な喩えで熱弁する
── 困っているところを あの子が助けてくれたんだッ! ──
── 何に対しても 一生懸命な子だったなぁ~? ──
けれど 逆に畏怖も含まれているのは 間違いないだろう
なぜなら 彼女の髪の色と瞳の色は 古くから語り継がれてきた 物語の中に登場する姫君と同じなのだから
少女の正体は 誰も知るよりもない
だが 何とか知ろうと目論む者も少なくなかった
けれど そうやって彼女がいるであろう場所に足を運んだ者は 戻ってくると憑物が落ちたかのように 別人となる
ある家族や民を省みらなかった好色家な若き領主は それはそれは素晴らしい人徳者に
ならず者の凶悪な傭兵は 周りから慕われるほどの勇敢な軍人に
旅をする少女の正体は 結局 誰にもわからずじまいだ
読みにくかったかもしれませんが 少しずつ更新していくのよろしくお願いします




