ep2-4 キサラとキール
まただよ。
キールがグリーン家の入口で怖そうな顔をして立っている。
隣のキサラも負けじと睨み返している。
ため息しか出ないよ、これってどう収めりゃいいんだよ。
キールが一歩前に出て、
「シルバー家の方ですかな?ここまでで結構、お引き取りを。」
パシン。
キサラがキールの手をはらい、
「下がりなさい。私は王女の命でここにいる、そちらこそ、消えなさい。」
キールは、拳を握りしめ、顔を引きつらせながら
「それは、申し訳ありません。私は自身の持ち場に帰ります。」
あ〜あ。背中が怒りで震えてるよ。
「さぁ、グレン殿参りましょう。」
キサラがにこやかな顔でオレを引っ張るがその先では凄い形相で見ているミアがいた。
「やぁ、ミア。来てたんだね。」
オレは棒読みのセリフを吐いた。
ミアがキサラを指差しながら突進して来た。
「グレン様!この女は誰なんですか!!」
「あ〜。教育係?かな?」
オレは頭を掻きながら言った。
「ブラックナイト家の姫君ですね」
「だったら何?!」
「不法侵入です、衛兵!捕らえなさい。」
ミアが髪の毛を逆立たせて、
「ふ、不法侵入?!我々とグリーン家では盟約があり、自由に行き来できるの!勝手なこと言わないで。」
キサラはミアを突き飛ばし、
「それは、王女様が国王になる前の話。今は七大貴族と言えど勝手なことは出来ません、不法侵入です。」
ミアはキールを見て助けを求めるような目線をおくったが、キールは目線をはずして、
「確かに、自治権の剥奪は通知は来ています…とは言え、不法侵入というのは。」
キサラはキールを、指差し
「他国の者がこの国で活動するには何が必要か言えますか?」
キールは目を瞑って
「滞在許可証です。」
キサラは、キールを問い詰め、
「それを見せなさい。見せられない場合は不法侵入です。」
と追い込んだ。
キールは唇を噛み、
「私どもの事務手続きミスです、滞在許可証の手続きを失念していました。」
キサラはニヤリと笑い、
「後追いの手続きは無駄ですよ、敵国の姫の滞在許可なんて降りるわけ無いでしょ、悪ければ処刑よ。」
ミアは青ざめて、ようやく今自分が非常に不利な立場にいることを理解した。
キールは頭を下げ、
「今回は見逃して貰えないだろうか?」
キサラは、頸を振って
「なぜ、貴方が頼むのか理由がわからないわ、敵国のスパイってことかしら?」
「なに!キサマ言わしておけば。」
キサラは不敵な笑みを浮かべて
「では言って下さい。」
キールは拳を握りしめ、
「我等の不手際をミア様に押し付けるわけにはいかない。」
キサラはキールの肩を叩いて、
「では、貴方の独断ですればいいわ。その代わり処分は覚悟したほうがいいわよ。」
「グレン様そんなことより、あそこの出城でお話をしましょう。」
ミアは、キールのところへ行き、頭を下げた。
「私のために申し訳ありません。」
キールは頸を振り、
「今直ぐ戻った方がいい。追手がくるかもしれません。」
ミアは、キールに頭を下げグリーン家領を去って行った。
「あのさ、キサラ。やり過ぎじゃない。」
「いえ、王女に仇なす虫は容赦無用です。」




