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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
20 九尾・琥珀の力
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九尾・琥珀の力 3

(冷静さをかいておる。このような男に菜乃花を任せることは出来ないな。しかし、もう少し遊んでやろうか)


 琥珀は、菜乃花を落ち着けた彼の力を試すために、魂を使い戦わせたのだが、彼はどうやら戦闘の技術はあるようだ。菜乃花よりも年下に見えるが、それにしては明らかに戦闘慣れしていると思った。だが、琥珀は力を試すというのもそうだが、彼の知力と言うか、洞察力なども試していた。明らかに彼を試すようにして戦ったのだが、彼はそれについてなんの疑問も感じていないようだった。それどころか、菜乃花のあの状態を琥珀のせいにしたまま、彼の言葉を信じようともしない。こんなわからずやに自身の恩人である菜乃花の近くにはいてほしくない。菜乃花の友人であれば、菜乃花のために仲良くすることもやぶさかではないなと考えていたが、この程度の人間であれば、仲良くする必要はないだろうと思った。


 しかし、彼の周りには小さな妖が飛んでいるのが、不思議だった。琥珀が感がているような人であれば、妖はよってはいかない。どれだけ知能がない妖だとしてもそういた馬鹿な人間には従わない。妖側が人間を言葉や力で従わせるというのが妖のやり方だ。それにもし馬鹿な妖で人間がそれに勝ったとしても四体も力で従えるというのはまず無理だ。力だけで従えている場合は四対一の状態になり、力で人間が任されるのだから。


(それとも、わしが知らないだけで、あの小さな妖はそれだけの《《脳》》無しと言うことか?)


 もし、そうだとするならば、あれだけ強力な力を持っているとは思えない。脳が無ければ、扱える力も小さな影響力の少ないものになるはずだ。火や水、土や風、それ自体を操るという力は明らかに脳無しが持つ力にしては強すぎる。


「それも合わせて、確かめてみるか」


 彼はどこからともなく白く輝く刀身を持った刀を出現させた。それを軽く二度ほど軽く振るい、その軌道と辿る形の白く光る刃となって彼に向かって飛んでいく。彼は明らかにそれを認識していて、テレポートで回避する。


「魂よ。見えざるものを映せ」


 彼が魂に命令すると魂から白い輪っかが一瞬で広がっていく。十字とバツの形に交差した我が広がり、辺りの情報を琥珀に渡す。テレポートは移動中は見えないが、テレポート先に実体化するときには、硬直しているような状態になる。それもそのはずで、テレポート先の情報を使用者の体や意識が認識するせいで、体を動かすのが遅れるのだ。だが、その硬直を隙として捉えらえるのは人ではない。その証拠に白希もそれを自覚しながらもテレポートをよく使用している。


 琥珀は彼が出現する場所に、魂のクズを移動させる。彼の体が完全に実体化して、彼の意識に琥珀の攻撃が入ってくる。


「……っ!」


 白希もまさか、テレポート先を完全に読まれているとは思わず、驚いた表情をしていた。琥珀は自身の価値を確信した。彼の扱う小さな妖の力は魂の爆発で無効化できる。防御する手段はないだろう。そして、魂が爆発した。クズとは言え、人一人を葬るには十分すぎる威力。琥珀は完全に自身の勝利と、彼の魂の死を確信していた。油断している彼は突如頭の上から衝撃を受けて地面に落ちる。


 彼の背中が地面について、上にのしかかっていた何かを認識した時、彼は驚いていた。


「どうやって逃げた? テレポートを連続で使用できたということか。いや、出現と同時に爆発したはずだ」


「危うく死にかけたね。だけど、僕らの力を見くびってたってことだよ」


 白希の手には丸い盾が装着されていた。それは先ほどまで持っていなかったものだ。いつどこから出したのかわからないが、確実にそれが彼を守ったものなのだろう。


 琥珀と言うか、朝野姉妹もその盾の存在を知るわけがなかった。それは異世界で押し付けられた欠陥品の盾だ。使えば、半球状の盾が展開されて、使用者を守るが中から外の様子を見ることは出来ないし、盾が重く持ち上げて移動することもできないという、守ることに特化しすぎた欠陥品。異世界では使うことはなかったが、まさかこの世界で役立つとは思わなかった。


「今の攻撃でよくわかったよ。貴方は僕を殺そうとしたってことがね。でも、僕が怒っているのはそれじゃない。妖精たちまでまとめて消そうとしたことだ。今、降参するなら、朝野菜乃花を治すことで手を打とう。拒否するなら……」


 琥珀はこの世界に存在し始めてから初めて、人間に恐怖した。今までも、人間に敵意や殺意を向けられたことはある。だが、どれも今の彼には及ばなかった。いや、この状態になるまで彼は人間ごときには殺されることなんかないと思っていたのだ。それが、琥珀は、彼には自分を殺す方法を確実に持っていると直感していた。彼から感じる戦闘経験の多さがその直感を確信に近づけていた。

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