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夜の女王 5

骨の軋む音が大きくなり、土にはバキバキと言う音もしてくる。そこまで来ると、ようやく髑髏の方の爆発の魔法が終わった。足の骨の一部には既にひびが入っている。そして、そこまでのダメージを与えられてようやく骨の化け物は彼に視線を向けた。顔面だけでなく、腕や体の一部は既に欠けていたり、焦げていたりしている。見た目からはそれなりのダメージを与えらえているように見えるが、実際のところそこまでのダメージを与えられているのかはあまりわからない。しかし、爆発の魔法に対して、何とかそれを振り払おうとしているところを見ると、少なからずダメージになっていると考えられるだろう。


「ミスト、フレイズ。ペネトレーションアイスッ!」


 彼がそう唱えると彼の周りに水が出現して、彼の周囲を回るように水の流れが出来た。その流れは骨の方へと移動する。それは骨のひびや欠けた部分に入っていく。彼が作り出した水の全てが骨の中に浸透するように中に入り、表面からはほとんど見えなくなった。そして、いきなり骨のひびや欠けた部分からいきなり氷が生えた。それは骨が出した物ではなく、彼の魔法によって作られたものだ。隙間に入った水が凍り膨張して、骨を内側から壊す。ひびはより大きくなり、欠けていた部分もさらに大きくなる。骨の一部が本体から離れて一部が地面に落ちて砕け散る。地面に転がる骨の欠片は更に砕けて、塵と変わる。それは風もないこの場所では地面につもり小さな塵の山を作り出していた。


 がしゃ、がしゃ、からから


 相手が動く度に激しくなっていた骨の音が、少し少なくなる。骨同士がぶつかる場所が少なくなったせいだろう。だが、そこまでになっても骨の化け物は倒れない。体が大きい分、その程度ではまだ許容できるダメージだということなのだろう。彼はそう考えて、同じ魔法を使う。大きくなった隙間にはさらに多くの水が入りこむ。それが再び凍れば、更にひびが大きく開く。そして、骨の一部が再び地面に落ちた。一回目に地面に落ちて塵になったものが、物が落ちた衝撃で起きた風で辺りに散らばる。そして、今落ちてきた骨が塵になった。二度目の時点で骨の化け物は立っていることが出来なくなったようで、膝を地面に付けた。その衝撃で、地面に散らばる塵が宙が宙を舞った。


 がしゃ、から、から


 膝を付いた後は、その体を支えるようにして、地面に手を付いた。白希の上に覆いかぶさるような体勢になる。もはや、次の氷の魔法を耐えることは出来ないだろう。だが、彼は骨の化け物に容赦するつもりはなく、遠慮なく三度目の氷の魔法を使った。骨の化け物はガラガラと音を立てながら、体が崩壊していく。最後に残っていたの頭だ。体のひびや欠けた部分の中に残っていた氷がその髑髏を支えていたが、ついに髑髏の眼窩と口の中にあった炎が徐々に色が無くなり、消滅した。そして、髑髏はバラバラになり地面に落ちる。最後に残っていたのは氷のオブジェだけ。しかし、それも魔法の効果が無くなれば、それも消滅した。骨の全てが塵になり、その塵もいつの間に消え失せている。


「みんな、ありがとう。何とか勝てたよ。白い化け物との連戦だったけど、みんな大丈夫?」


 妖精たちは疲れた様子はなく、それぞれ大丈夫だと言ってくれた。四人とも魔法と超能力を使ってくれたため、疲れがないはずはない。大丈夫だと言ってくれているが、休んでもらえるようにしなければと彼は考えていた。その時には既に助けたヴァンパイアのことは忘れていたのだが、そのヴァンパイアの女性が彼に話しかけてきた。


「すみません。ありがとうございました、助けてくて」


「あ、ああ、うん。無事でよかったよ」


 彼は話しかけられて、そこで助けた人がいるのを思い出した。ヴァンパイアの彼女は彼に向けて深々と頭を下げて、お礼を言っていた。さすがの彼も忘れていたことに罰が悪いのか、あまり視線を合わせることが出来ない。


 骨を倒したのは良いが、まだ結界の中にいるというのは変わらない。その結界をどうにかしようと思ったところで、結界が解除された。


「行きましょう」


「結界は君の力だったの?」


「結界? それがこの場所を閉じ込めていたということであれば、そうですね。私の姉妹の超能力です」


 彼はそこで、ふと頭をよぎる顔が二つあった。つい最近にあった超能力者は三人。その中の二人の力を使えば、この場所を隔離することもできるかもしれない。そして、彼女たちの姉妹だというのなら、彼女だけ悪魔族と言うはおかしな話だ。姉妹の他の二人は確実に人間であるはずだ。つまりは、ヴァンパイアになることができるという超能力を持っていると考える方が妥当か。いや、既に常識も通用しなくなってしまったこの世界では妥当と考える意味はないのかもしれない。


「すみません。助けてもらったのに、名前も言ってなかったです。私は朝野あさの菜乃花なのかと言います。よろしくお願いします」


「僕は今江いまえ白希しらき


 彼は自分の名前だけを告げていたが、それ以降は何も言えなかった。それもそのはずで、彼も元居た世界には超能力もエイリアンもオカルトもなかった。それは全て照明されていないただの空想だった。だが、この世界にはどちらもある。つまりは、この世界はほぼ全て元の世界と同じだけれど、決定的に何かが違う世界。つまりは、元の世界と思っていたが、この世界も彼にしてみれば異世界だったということだ。

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