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お茶会

馬車を走らせ半日程で、王都が見えてきた。

ここまで来たら屋敷までもうすぐだ。


うちの領地は王都から比較的近いとこにある。


自然が豊富で資源もあるし、穏やかな気候なので色んな農産物が育てられる。

何より過ごしやすいから私はこの地を気に入ってる。



ただ魔法学園に通う時は学園の寮からになるので、それが少し寂しくもある。




そう思ってるうちに屋敷に着き、今日は明日に備えてゆっくり休むことにした。




次の日事前に決めていたドレスに身を包み王城に到着した。


城内はおおまかには知っている。何回も来たもん。


一応王太子の婚約者候補だしね、でも全く王太子殿下に相手にされてなかったな…。

他の婚約者候補の令嬢には一応愛想は振りまいてたけども、私には大体いつも無表情だった。

…うわぁ思い出して悲しくなったわ…。私の嫌われようときたら…まぁ我儘すぎて余程ドンびいたんだろうが…。というか一国の王子から嫌われるってある意味奇跡よね…。



そりゃ人間嫌われるよりは好かれたい生き物だしね…。無表情で対応されるよりにこやかに対応されたいじゃないですか?

好かれなくてもこれ以上嫌われないように頑張るわ…



…と心の中でブツブツ呟いていると、中庭の奥の方にこのお茶会の主催者であるクリストファー殿下がにこやかに招待者に挨拶していた。


クリストファー殿下の隣にはウォルハルト公爵家の長男、ルーファス・ウォルハルトがいた。



ルーファスは黒髪が後ろに流され黒曜石のような瞳でキリッとした男前で、クリストファー殿下といい15歳にしては大人びてる。

さすがはこの国の未来を任される人たちだ…。




ルーファスは私に気づくと眉間に皺をよせて鋭い眼光で睨んできた。


あぁーー、そういえば私がしつこく殿下に付きまとったあげく他の婚約者候補を近寄らせないように威嚇してたから、目に余る行為だということで殿下だけでなくその親友のルーファスも私のことを嫌ってたんだった。



ルーファスの視線で隣にいたクリストファーも私の方を見た。途端にさっきまで和やかだった表情が一気に無表情と化す。表情はないもののオーラは刺々しさがあった。



「グリアベル嬢、お忙しい中よく来てくれたね。」

クリストファー殿下の前に行くとその様な言葉を投げかけられた…無表情で。


はたから見れば労りの言葉に聞こえるが、「わざわざお前に来てもらいたくない」という心の声が鈍感な私でさえ分かった。



「王太子殿下、お招きいただきありがとうございます。ウォルハルト様もつつがなくお過ごしの様で何よりです。」


挨拶したときの私の顔が苦笑いだったのは許してほしい。

表情はアレだったけどそれ以外の所作は完璧だったと思う。


幼少期からしつけられ今や大人顔負けの優雅なカーテシーをし、挨拶終わればこっちのもんだ!と言わんばかりにその場を後にした。


あんな絶対零度なオーラ2つ分を受けるメンタルは私は持っていない!



とりあえず今後はあの人達の逆鱗に触れない様に極力関わらずひっそりと生きていこうと改めて思った瞬間だった。



王太子からすぐに離れた私を、王太子は意外そうに一瞬目を見開いていたのを視界の隅に捉え、私は会場の端の方に寄った。



お茶会という場じゃなければここの花々を思う存分愛でたかもしれない。

うちの中庭も色んな花々が咲いていて、とても美しく自慢の中庭だがさすがお城の中庭はスケールが違う。


周りの人間の様子を見つつ、美しく咲き誇った花々を眺めていた。結局愛でているじゃないか、というツッコミはなしで。




花のおかげで先ほどの緊張状態が少し和らいだ。一応王家のお茶会なのだから完全なリラックス状態ではないけども。




ふと何やら近くで言い争い…の様な声が聞こえてきた。

近くと言っても具体的な会話の内容は聞こえてこなかったので、私の思い違いかもしれないが…。




近づかず魔力を耳の方に集中させてみた。

そうすることで普通に耳で聞くには聞き取れないことも聞くことができる。


ちなみに補足情報だが魔法学園で魔力のコントロールも実践で勉強するのだが、あくまで自分の力を制御できるようになる為で、ここまで体内の魔力を思いのままに体の一部分に集められる人はそうそういない…というよりそんなことをしようと思う者はそうそういない。


私の場合魔力を持ったらどの様なことがどの位のことをどこまでできるのだろうという、好奇心の塊で前世の記憶が戻ってから色々試したりしたのだ。

前世のRPG好きの影響で魔法が使えると知った時の私の興奮といったらもう人前では見せられないぐらいだった。万歳魔法!!万歳異世界!!



…とまぁ話は脱線したが器用に魔力を耳に集中させてみたわけだが…。


あぁ…聞いてみた途端、本当に嫌な気分になった。




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