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春の一人テンプレ祭2020~悪役令嬢でチートで無双します~  作者: 砂臥 環


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5/12

前世の記憶を手繰り寄せてみた!!

「……この世界は乙女ゲームの世界だ」

「うん。 やってたから知ってる。 アンタもやってたの? 男のくせに」


 差別をするつもりではないが、今の状況を気持ち悪いとか言ってるくせに、ゲームはやってたというのが解せぬ。

 何度も言うが殿下は隠しキャラなのだ。

 そして彼女(ヒロイン)は男爵令嬢。

 やりこんでなければ絡むのすら難しい筈だ。


「俺は長谷部。 ライターで……uチューバーでもある」

「ふーん」


『uチューバー』に、おもわず笑みが溢れそうになる。

 ……テンプレじゃないか。

 でも真面目な話をしているので、我慢した。


「……君はこの乙女ゲームをどこで購入した?」

「ええ? 覚えてないな~……」



 私はゲームには拘らないタイプのやりこみゲーマーだったので、名も知らぬ中古ソフトをランダム購入して気に入ったらひたすらそれをやる。

 趣味はネット小説の閲覧とアニメ。

 ゲームは人生(ライフワーク)と言っても過言ではない。生活(ゲーム)の合間に小説とアニメ。

 学校とバイト先では密かに持ち込んだゲーム機でゲーム(ある程度放置可能なやつ)。



「そんな生活をしてたから、前世の事はゲームと小説とアニメ位しか覚えてないわ!!(どやぁ)」

「親が泣くわ」

「ふっ……アプリゲームに手を出していないのは廃課金ゲーマーになる自信があるからよ……」


 廃課金ゲーマーになったらガッツリ働かなくてはならない。しかしガッツリ働いたらゲームができないではないか。


 よって中古ソフト一辺倒な私。



「まあ……俺の話をすると、だ。 uチューバーはライター稼業と文字通り兼ねている。 俺が担当しているのは所謂(いわゆる)アングラ誌ってやつで……uチューブで都市伝説を検証したりするんだ」

「都市伝説!! ……じゃあなに?異世界エレベーター(※注)でこの世界に来たとか?!」

「いや、それなら転生しないだろ……」



 彼の話によると、『呪いの乙女ゲーム』なるものがあるらしかった。

 全クリ直前でリセットボタンを押して台無しにすると、その乙女ゲームの世界にキャラクターとして異世界転生するのだとか。



「全クリ直前でリセットボタンを押さなかったか?」

「ええぇぇぇぇ? そんなことするはず……」



 私は『ルビー』の記憶に邪魔されて朧気な記憶の中……前世の記憶の糸を手繰り寄せた。




 *************************

 私、間(あいだ) 咲(さき)!16歳!

 ピッチピッチのJKなの☆

 *************************



「──ちょっと待て、君は女の子だったのか?! 俺と同じTS転生者ではなく……しかもJK?!」

「は?! 失礼な輩だな! この私のどこが男だというのか!」

「いや、態度とか……大体なんで昭和な感じの少女漫画風モノローグ調なんだ! 年齢おかしいだろ!!」

 

  どうやら長谷部氏はツッコミ気質のようだ。

 テンプレ通りにアラサー喪女じゃないといけない案件だとでもいうつもりか。


 しかし話が進まないので口調を戻す。




 *************************

 あの日、私は入ったばかりのバイト代にイイ気になり……贅沢にもカフェで珈琲を嗜みながらゲームに耽っていた。


「よーし階段落ちも悪役令嬢のせいにしたぞ~♪ ……はぁ、長い道程(みちのり)だった……階段落ちスキルを手に入れるのに騎士(ジェラルド)のところで身体能力を磨かなきゃならなくて、何度騎士ENDを迎えそうになったことか……」



 ヒロインは悪役令嬢(ルビー)から嫌がらせを受けている。

 しかし決定的な証拠を出さないので、敢えて階段落ちをしてそれをルビーのせいにするというゲームの流れだ。

 そこで初めて殿下と出会い、好感度ゲージが発生する。

 そこから殿下の好感度をひたすら上げ、尚且つ外堀を埋めて、嫌がらせの証拠を集めなければならない。


 好感度を上げると殿下から夜会に誘われる。

 メインイベントだ。


 夜会に乗り込んできたルビーに、彼女の数々の嫌がらせの証拠を提示し、婚約破棄を行わなくてはならない。

 アイテムが足らなかったり、殿下以外の好感度が下がっていると『階段落ち』がルビーのせいでないことがバレ、逆断罪されてしまう。



「うふふ~♪ 最後は歓喜に咽(むせ)び泣きたいからお家まで我慢しよ~っと」


 そうして私はカフェを出た。

 鞄にゲーム機をしまって。



 カフェから出て、少し歩いた時だった。


 ──バァンッ!


「キャァァァァァ!!」


「?!」


 今しがた出たばかりのカフェから銃声と悲鳴……それに振り向きつつ歩いた私は


 車道に出ていた。


 ──ドン!


 そして、トラックに跳ねられた。

 *************************



「君は……あの事件の!!」

「え? 知ってんの?」


 長谷部氏曰く……


 宙を舞った私の身体は、先ほどのカフェのオープンスペースであるテント的な屋根に引っ掛かるという、中華アクション張りの偶然の下、落ちてきた私によって頭を強打したテロリストは周囲の人によって捕縛され、そこにいた全ての人を助けるという奇跡を巻き起こしたらしい。



「……」

「……」

「…………そのお陰かな? チートなの」

「さぁ……」


 とりあえず『トラックに跳ねられた→転生』はテンプレだった。

 多分その時にリセットボタンが押されたと思われる。

 都市伝説が事実なら、の話だが。


(※注)ざっくり解説。

【異世界エレベーター】

都市伝説のひとつ。

幾つかの条件をなぞって屋上までいくと、異世界に着くらしい。

詳しい条件はググってみてください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 咲ちゃん☆ 名字が間♡ これはもー我らがアイドルになるしかありませんねっ! [一言] アプリゲームはまじ危険です……ww
[良い点] ……なんだ……どっかのハイテンションな乙女系兄さんが脳裏をちらつくのはなぜだ……。 いや、きっと気のせいだ。そうに違いない……。
[良い点] 物語動き出した感があります。 じっくり楽しませてもらっています。 JKの間咲ちゃん。わ~い\(^o^)/
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