僕は夢を見た(54) 思わぬ事態
ラクシャーサの地下迷宮の宿やの自室に立っている僕。
時刻は早朝といったところか。
エルマと供に朝食を摂る。
よしひろう:「この後、武器屋に行くけど付いてくる?」
エルマ:「いいわよ。行くわ。」
武器屋で昨日預けたドロップアイテム「こん棒」の評価結果を聞く。
武器屋の主:「あ、調査できてるよ。」
よしひろう:「どんな感じですか?」
武器屋の主:「10段階評価でLv.2ってとこかな。」
武器屋の主:「これを持つと攻撃力が約20%UPだな。」
よしひろう:「その他には?」
武器屋の主:「無いよ?」
よしひろう:「価値はどのくらいですか?」
武器屋の主:「うちでの買い取り価格は5千Gかな…」
よしひろう:「調査費用が5千Gで買い取り価格が5千Gってこと!?」
武器屋の主:「そういうことになるね。」
武器屋の主:「こん棒を欲しがる冒険者があまりいないからね。」
エルマ:「残念だったわね…」
落ち込む僕の肩を叩いて慰めてくれるエルマ。
「こん棒」はそのまま武器屋に渡す。
プラスマイナスゼロだ。
よしひろう:「このまま地下迷宮に行く?」
エルマ:「私は準備できてるわよ?」
よしひろう:「それじゃ、行こうか?」
地下迷宮の入り口目指して歩き始める。
エルマ:「そんなに悄気ないの。」
エルマ:「また見つければいいじゃない。」
よしひろう:「うん…そうだよね。」
地下迷宮の入り口に到着し、皆がリターンの魔方陣を貼っている場所に行き青い魔方陣の側を千切り地面に張り付ける僕。
そうしていると、昨日、受け付けの列に割って入ってきた「銀狼」のジェレミー達が現れた。
付近にいる者達に大声で聞いて回るジェレミー。
ジェレミー:「今からリターンで地下に潜るヤツはいないか?」
ジェレミー:「おまえはどうなんだ!」
と言って近くにいた男の胸ぐらを掴んで凄んでいる。
男:「僕は地下20階に行くところです。」
ジェレミー:「チッ。使えねえな!」
そう言いつつこちらに近づいてくる。
ジェレミー:「おい!そこの兄ちゃんは何階だ?」
僕に向かって話しかけてくるジェレミー。
よしひろう:「40階。」
嫌そうに答える僕。
ジェレミーが僕の肩に手を回してきた。
ジェレミー:「俺達もちょうど40階に行きたかったんだ。」
ジェレミー:「おい!お前らー!」
と仲間を呼び寄せる。
ジェレミー:「なぁ、いいだろ?」
顔を近づけて凄んでくるジェレミー。
虫酸が走る。反吐が出そうだ。
エルマに目をやると目を細めてあからさまに嫌そうな顔をしていた。
嫌な予感がしたので、もう一枚、リターンの巻物の青い魔方陣を千切り地面に張り付ける。
一枚は雑嚢の中に収納し、もう一枚はこっそり籠手の内側に隠した。
よしひろう:「エルマ、どうする?」
エルマ:「私は構わないわ。」
ジェレミー:「女連れとはいいご身分だなぁ」
ジェレミー:「俺にも紹介してくれよ(笑)」
いやらしい目付きでエルマを舐めるように見るジェレミー達。
たまらず声を上げる僕。
よしひろう:「行くのか行かないのか?」
エルマの事を見つめながらニタニタと答えるジェレミー。
ジェレミー:「もちろん行くさ。」
銀狼達と僕とエルマで手を繋ぎ、リターンの巻物を発動させる。
よしひろう:「リターン!」
目映い光が僕たちを一瞬に包み込む。
次の瞬間、薄暗い大広間に現れる僕たち。
よしひろう:「ん!?」
僕がリターンの巻物を貼った場所とは明らかに違っていた。
ジェレミー:「ここは40階のどこらへんなんだ?」
周囲から「おぉぉぉ…」という声にならない声がしてくる。
何かに囲まれているようだった。
それらが近づいてくる。
両手を前に出し、何かを掴もうとしながらユラユラと近づいてくるそれら。
エルマ:「ゾンビよ!!」
よしひろう:「!!」
ジェレミー:「なんてとこに連れてきやがる!」
僕の胸ぐらを掴むジェレミー。
エルマ:「そんな事よりゾンビを倒す方が先でしょ!」
戦闘体勢に入る僕たち。
銀狼達が銀の指輪を持っているのは伊達ではなかった。
次々とゾンビ達を倒していく。
ジェレミー:「おい!ヒヨッコ!頭を狙え!」
よしひろう:「分かった!」
僕もゾンビを数体倒していた。
エルマも呪文の詠唱を始めた。
エルマ:「赤き炎よ現れ出でよ。集いて舞いて火球とならん。」
エルマ:「ファイヤーボール!」
「ズゴォォォォーー!」
ゾンビ達の集団の真ん中で炸裂するファイヤーボール。
十数体が一発のファイヤーボールで消し炭と化した。
ジェレミー:「これがファイヤーボールだと!?そんな馬鹿な!?」
驚きの表情を隠せないジェレミー。
ゾンビは百数十体はいたであろうか。
各人奮戦し、なんとかゾンビを全て倒し終わった。
ジェレミー:「40階じゃこんな数のゾンビなんていねーはずだぞ!(ハァハァ)」
よしひろう:「そうなのか?(ハァハァ)」
エルマ:「この場所にも見覚えが無いわ(ハァハァ)」
「パチパチパチパチ…」
突然拍手の音がしたので全員がそちらに目を向ける。
女の声:「さすがね。」
女の声:「でも、二つ間違いがあるので教えて差し上げますわ。」




