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未来へ繋がる絆  作者: 香月 よつ葉
大学1年生
77/160

竣の笑顔

香月よう子side

「おはよう」

「ぉはよ」


 朝一コマ目が始まる前のひととき。

 学生達が講義室に入って来て皆、挨拶を交わす。


 いつもの風景。


 その日も紅羽は誰よりも早く入室し、最前列真ん中の席に座っていた。

 そこはもう、「紅羽の指定席」という不文律になっている。

そして、


「おはよ、紅羽」


 竣が、その右隣に座る。

 これもまた、ルーティンだった。


「どうした? 紅羽」


 しかし、その時。

 竣が訝り、怪訝そうに紅羽に声をかけた。

 紅羽が緊張したような面持ちで、竣を見つめているのだ。


「あ、あのね……。竣……」

「うん?」


紅羽は口籠り、次の言葉がなかなか継げずにいたが、遂に思い切って口にした。


「次の日曜日、映画観に行かない……?」


 その紅羽の言葉を聞き、竣は一瞬、ぽかんとした。


「紅羽と二人で?」

 そう、竣が尋ねたら、

「ううん! 違うの!」

 紅羽が即座に否定した。


 しかし。


「あの……例の幼児教育学科の茉莉ちゃんがね。映画のチケット4枚もらって、茉莉ちゃんは彼氏連れてくるから、私にも誰か男の子を連れてきて、て……」


と、紅羽はしどろもどろになりながら、そう説明した。


竣は一瞬、真顔で考えたが、

「俺でいいの?」

と、軽く問うた。


 竣のその一言に、

「うん……」

 紅羽は、真っ赤になって俯いている。


「次の日曜な。予定空けとくよ。詳しい話が決まったら、またLINEして」


 破顔一笑。


 竣は、いつものように明るく言った。

 しかし、その笑顔は清々しく、嬉しさに満ち溢れている。


 竣のその眩しい笑顔を見て、何故か胸の安堵を覚える紅羽だった。




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