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未来へ繋がる絆  作者: 香月 よつ葉
大学2年生
160/160

竣と紅羽の未来への絆

菜須よつ葉side

 鳴治館大学の学位授与式も無事に終わり、思い出の詰まった講義室などで記念撮影もほぼ済ませた……。


 そして、いよいよお別れの時──


「紅羽、ちょっと時間いいかな?」


 竣が紅羽に声を掛けた。


 お佳もうのっちも子供じゃない。


 何となくこのあとのことは想像出来たのだろう。


「それじゃあ、俺ら帰るわ」


「じゃあね。あっ、何かあったらいつでも連絡してよ? 何もなくてもいいけど」


 ふたりはそう言い残して帰って行った。


 きっとお佳は、先輩が迎えに来ていて、お互いに大切な時間を紡いでいくのであろう。


 竣と紅羽は少し歩き、誰もいない講義室へとたどり着いた。


「なんだかあっという間の学生生活だったなぁ」


 懐かしそうに色々なことを思い出す紅羽。


「なぁ」


「あのさぁ」


 同時だった──


 それが何だかうれしくて、思わず笑みを溢すふたり──


「紅羽。今まで傍で支えてくれてありがとな」


 竣が真剣な表情で感謝を伝えた。


「私も……同じこと言おうと思ってたんだよ。支えてもらったのは私の方。竣、いつも助けてくれてありがとう」


 広い講義室に、瞬きほどの静寂が訪れ──


「俺、紅羽とはこれからも支え合っていきたいと思ってる。紅羽? これからも一緒にいて欲しい。俺と……付き合ってくれないか?」


 素直な言葉で、心の中に伏せていた思いの丈を伝えた竣。


 紅羽は目を閉じ、胸に手を当てると、ギュッと服ごと握った。


 そして──


「……私も、竣とずっとずっと一緒にいたいよ。こんな私だけど、これからも……よろしくお願いします」


 頬に感情を流す紅羽。


 お互いに4年間想い続けたことが、実を結んだ瞬間だった。


 カツカツカツという軽やかな靴音がひとつ、ふたりだけの講義室に響き渡る。


 外は桜──


 これから教師として歩んでいく未来、支え合う人生を決めた竣と紅羽の門出を祝うかのように、小さく美しい花が咲き誇っている。


 未来に繋がる絆を心に、ふたりはこの先も歩んで行くのだろう──


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