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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
5章 モブキャラ、風紀委員会と接触する

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第88話 モブキャラ、囲まれる

「ねぇ、なんでぇ!! せっかく風紀委員会の空気が良くなったのに!!」

「……落ち着け」


 ここまで取り乱すとは思わなかった。

 どうやら楽になった生活にすっかり慣れてしまったらしい。

 思惑通りではあるが、効きすぎて逆に怖い。


「あらあら、風紀委員長様がずいぶん情けないですわね」

「レア……いつの間に」

「面白そうだったので見学してましたの。おかげでいいものも見れましたわ♪」


 上機嫌にステップを踏みながら、レアがこちらへ近づいてくる。


「ねぇナターシア、これは慈善事業じゃないのよ」

「わ、わかってる……だから報酬の上乗せも……」

「ノンノン、全然違いますわ」


 涙目のナターシアにも動じず、己の目的を貫くその姿は、まさしく原作で見た“悪役令嬢”そのものだった。


「風紀委員会の権限を、わたくしたちにも分けていただきたくて♪」

「っ!? 我々を乗っ取るつもりですか!?」

「ふふっ……さぁ、どうでしょうね……」


 元から風紀委員会の弱体化が目的だった。

 かつて上から物を言っていた風紀委員会も、今では破教委員会の手助けなしではやっていけないほど依存している。


(リーンたちが優秀すぎるんだよな……)


 彼女たちへの信頼は絶大だ。

 仕事を振られる側から、指示する側へ。たった二週間でその立場をひっくり返してしまった。

 ここまで優秀なリーンを雑用に閉じ込めていた風紀委員会は、正直どうかしている。


「ですが要求が飲めないとなると……支援する気にもなりませんわねぇ?」

「ううううう……!!」


 風紀委員会としては破教委員会を利用したい。

 だが、下手な態度を取れば離れてしまう。

 かといって全てを任せれば支配される。

 ――ナターシアに、非情な選択肢が突きつけられた。


 俺が成り行きを見守っていると――


「私の……身体……」

「「ん?」」


 震える声。

 そして、覚悟を決めたように叫んだ。


「私の身体、自由にしていいので……!!」


 真っ赤な顔で放たれたその言葉が、部屋中に響き渡る。


「身体? 貴方の?」

「む、胸は膨らんでます……肌はちょっと怪しいですけど……」


 地位を渡すくらいなら身体を差し出す、か。

 整った顔立ちとスタイル、そして恥ずかしそうにモジモジする仕草――。


「胸の膨らんだ子なんて星の数ほどいるのよ? その程度で許されるなんて……」

「構わんぞ」

「「へっ?」」


 その初々しさが、俺の中に強く突き刺さった。


「よいしょっ」

「うわぁ!? ほ、本当に抱くんですか!?」

「また悪い癖が出たわね……そうなると思ってたけど」


 美少女が自ら身体を差し出してきたんだぞ?

 動かない男がいるか。


「安心しな。たっぷり可愛がってやるから」

「ううう……」


 そのまま俺はナターシアを執務室の奥――ベッドルームへと誘い込んだ。

 そして本能のままに交わり続けた。


 結果的に言えば、悪くなかった。

 初々しく何も知らないナターシアの姿が、逆に興奮を煽った。


 だが翌朝。レアに裸のツーショットを撮られ、その写真がリーンの元へ渡り……

 最終的に風紀委員会中へと出回ってしまった。


 ◇◇◇


「あの不届き者を許すなー!!」

「公女好きめ!! よくも委員長に手を出したな!!」

「ブチ殺せぇえええええ!! うぉおああああああ!!」


 そして、こうなった。

 破教委員会の周りを、鬼の形相の風紀委員たちが取り囲み、怒号を上げている。


「リーン、何か言うことあるでしょ?」

「……ごめんなさい」

「謝れて偉い」


 ポンポンと彼女の頭を撫でる。

 まぁ、ここまで騒ぎが大きくなるとは思ってなかった。

 風紀委員たちの反応は、まったく読めない。


(まさか、風紀委員会の反発を生むとはな……)


 「風紀委員長が身体を差し出してまで現状維持に努めた」

 ――その事実が、彼女たちの怒りを爆発させてしまったのだ。


 マッサージのときみたいに、同情を買えるかなーと思ったが……

 流石に“抱く”のはライン越えだったらしい。


「で? どうするのよこの状況」

「一応、臨戦態勢は取ってるよ。全員倒す? 倒さない?」

「戦うのはまだ早い……風紀委員長はこっちにいるからな」


 後ろをチラッと見ると、ナターシアが気まずそうに立っていた。


「私のために怒ってくれるのは嬉しいんですけど……ですけど……」


 内容が内容なだけに、あまり乗り気ではないらしい。

 脅したとはいえ、身体を差し出したのは彼女の方からだ。

 本人としては、複雑な心境なのだろう。


 さて、こいつらを片付けるか。


「おいお前ら!! それは風紀委員長のことを思っての行動か!!」


 俺は風紀委員たちに見える位置まで出て、思いきり声を張り上げた。


「なんだと!?」

「貴様ー!! こっちに来やがれぇ!!」


 挑発により、怒りの熱がさらに高まる。

 誰もが武器を構え、臨戦態勢へ。あと五分もすれば襲われるだろう。


「バカ!! さらに喧嘩を売ってどうするのよ!!」

「クレイジー……ゼクスは規格外」

「そこがダーリンのいいところだよねぇ。いつでも自信満々でさ♡」


 だが俺は屈しない。

 なにせ、ナターシアの本音をまだ伝えていないからな……くくく。

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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