21.クレア3
クレア目線の幕間です
フフ……
全て順調、計画通り!
ヴィンなら絶対冒険者試験に合格できると思ってた。
だからご褒美でデートとは言ったけど、これは私が望んだ結果なのだ。
普通のデート。
お義姉ちゃんたちからずっと聞かされてきたからずっと憧れて来た。
でも冒険者になったとき忠告された。
『あんたねぇ! 冒険者なんて荒くれ者ばっかりよ! やめときな!』
『ガサツで汚いし女のことなんて性欲のはけ口ぐらいにしか思ってないのよ』
『おまけに計画性もないし、すぐ他の女に目移りするしね』
『弱いくせにプライド高いし、言い訳ばっか』
そんな彼女たちに私はこう言い返した。
『お父さんも冒険者だよ』
『『『『『――お父さんは別!』』』』』
みんなファザコンなんだから。
お父さんに似てる人を好きになって裏切られての繰り返しだ。
でも私は違う。
ヴィンとお父さんじゃ……
『大体並みの冒険者じゃお父さんが認めないでしょ』
ヴィンをお父さんが認めるかはわからない。
というかお父さんが認める男なんて師匠ぐらいだもん。
お父さんにはヴィンを会わせないようにしないと。
「娘が欲しければおれと闘え」とか言い出しそうで怖い。
でもヴィンは汚くないしガサツでもない。計画性があるし、弱くも無い。
それに私を大事にしてくれる。
私はお義姉ちゃんたちみたいにはならないぞ。
◇
夢みたいに楽しかった。
ヴィンはちゃんと私のおしゃれを褒めてくれたし、何を話しても興味深そうに聞いてくれるし、サプライズで素敵な夜空をプレゼントしてくれた。
冒険者じゃ青春できないなんて嘘だよ。
二人でご飯を食べながら次の目的地について話すだけで大盛り上がり。
当たり前の日常がヴィンといると何倍も幸せに感じた。
だからこの日、私はヴィンと結ばれることに抵抗も無かった。
迷いもなかった。
でもテンパって変な感じだったかも……
夜が明けて、隣で寝ているヴィンを見ながら私はようやく理性を取りもどした。
それと同時に義姉たちの言葉を思い出した。
『上手くいっていて、絶対運命の人だと思っても油断しちゃだめよ! 同じベッドで一夜明かしたらすぐ飽きられるなんてことよくあるんだから!!』
『軽い女と思ったら男は優しくなくなるのよ』
『いい彼女と都合のいい女を間違えないでね』
『勢いに任せたら大抵失敗よ。身体を許すのはキチンと相手のことを見極めてからにしなさい』
私、早まった……?
一回目のデートで。
これでヴィンの私への態度が急変するかもしれない。
そう思うと段々不安になって来た。
ヴィンは私とのデートで楽しかったのかな。
彼の合格祝いだったのに私ばっかり楽しくて舞い上がって……
それに、そうだ。
ヴィンには『二回目』があるんだ!
今目が覚めたヴィンは私の知らない二回目のヴィンかもしれない。
もう私との関係が終わっている、私への興味が無くなった彼になっているかもしれない。
「――クレア?」
「……お、おはようヴィン」
恐る恐るヴィンの顔を見る。
するとヴィンは黙って私を抱き寄せた。
「離れてたら、さ、寒いだろ」
ヴィンの腕の中は温かくて心地よかった。
「ウーン、サムイサムイ!」
私の不安な心が生み出すヴィンより、現実のヴィンの方がなんだか非現実的だ。
だって私がして欲しいことを私が分からなくてもしてくれるのだから。
そうしてしばらく私たちは言葉を交わすのも省き、二人でまどろみのなかにいた。
唐突に扉がバンと音を立てた。
「おはようさん!! ちょっと失礼するよ!! 昨夜は随分お楽しみだったわね、あはは!! ここに湯置いとくから早く朝飯食べに下りて来な!!!」
「「……キャー!!!」」




