9話
モチベーションの維持って難しすぎるよね(´・ω・`)
「待ちたまえ。そういう訳にもいかんのだよ」
狸おじさんは不気味な笑みを浮かべた。
「まだ、何か?」
「君、我が家に来たまえ。君の様な強者こそ我が家に相応しい」
え? 今このタイミングで勧誘? 勧誘するんだったら今回はうちの不始末ですとかってちゃんと謝罪して、暫く経ってから手紙とかじゃないの?
印象悪くなって勧誘しても断られるのわかるはずなのに……。
「お断りします」
「な、何!?」
え!? 何でそんな動揺してるの? 訳が分からないよ……。
「貴族である私の誘いを断ると言うのかぁ~~!」
し、しまった~~!! 貴族だったのかぁ。
確かによく見れば高そうな服を着てる。装飾品も贅肉の間から少しだけ見える。
体系と顔のインパクトが強すぎて他を見てなかった……。
「貴族とかは関係ありません。私は騎士を目指しておりますが、私が仕えるのは私が生涯使えたいと思える人だけと決めておりますので」
「ぐぬぬぅ~!!」
狸おじさんが顔を真っ赤にして悔しがっている。
「ブピッグ様。そこまでに致しましょう」
「むむ! アルサルか!」
狸おじさんの名前……ブピッグっていうんだ……。
燕尾服のおじさんは先程ディカルドを衛兵の所へ連れて行った付き人を連れて現れた。
「そちらの可愛らしいお嬢様。こちらはこの領地の領主であるブピッグ男爵といいます。基本的には真面目な良い領主なのですが……時々先走ってしまう時がありまして、今回はご迷惑をお掛け致しました」
「は、はぁ」
「本来ならば事前に猫の老夫婦に話し合いを行い、二人の負担を軽減すべくギルドにも宿屋を併設するという流れだったのです。私が別件で領の外へと行っていなければ止めることも出来たのですが……」
「ブピッグ男爵様が先走ってレイラさんとロイドさんに何も言わないままギルドの宿屋の営業を始めてしまった」
「そのようです。誠に申し訳ございません。宿屋のお二人には後程きちんと謝罪を致します」
レイラさんとロイドさんのお店は話し合いで宿屋ではなく食事処となることが決まった。
尚、ディカルドは完全に独断での暴走だった為。衛兵に引き渡された後犯罪奴隷として鉱山へと売り飛ばされたそうな……。