中華
子供達は岡持ちの中に入っていたピザと唐揚げを取り出してそれぞれもぐもぐと食べ出した。
「あ、あのぉ……おつり……」
紅詩は子供達におつりを差し出そうとしたが断られる
「ちっちっち、おつりはいらない、私たち、リッチ」
「リッチ……ですか……分かりました」
紅詩はおつりを引っ込める
これ以上ここに居ては厄介事に巻き込まれるのは確実
とっとと離れた方が賢明
紅詩はエレベーターに乗って下の階へと降り扉が開くとそこに顔に何かの模様の入れ墨が入った1人の男が立って居た。
「……レッドウィング」
と入れ墨の男は紅詩がつけていた前掛けに書かれた文字を見てそう呟く
「……」
紅詩は己のポケットに入ったナイフを手に握る
警戒していることは悟られない様にまだナイフはポケットの中
「俺と同じ臭いがするなお嬢ちゃん」
次の瞬間、紅詩の腹部に衝撃が走った。
エレベーター奥の壁に叩き付けられその場に蹲る紅詩、岡持ちは地面に叩き付けられた。
殺し屋をやってきた紅詩は大抵の痛みであればアドレナリンでその信号を黙らせ瞬時に立ち上がれるタフさがあった筈だが立ち上がれない
内臓を全て揺り動かされたかのような衝撃が紅詩の身体を駆け巡っていた。
「お前が何者かは後で聞く、取り敢えず俺に付き合えや」
ということで無事に紅詩は厄介事に巻き込まれることになった。
男は紅詩を足首を持って引き摺りながら事務所へと歩いて行き曇りガラスのドアを蹴飛ばした。
「よぉ、ジャマするぜぇ」
中にいた子供たちは既に臨戦態勢
2人とも中国剣を片手に待ち換えていた。
片方は床
片方はデスクの上に立っている
「チッ、誰も死んでねぇのかよ、全く情けねぇ……」
床に這い蹲る男達を見て入れ墨の男は言った。
「死に物狂いでガキ共にへばりつくぐらいの甲斐はねぇのかオメェ等にはよ」
男は紅詩を子供に向かって投げつけた。
子供は紅詩をひらりと避ける
「おねえさん……」
子供は紅詩を見ると顔を一瞬、曇らせたが直ぐに入れ墨の男に視線を戻す。
「どうやら知り合いじゃねぇみたいだな、すまねぇなお嬢ちゃん」
男は子供達のリアクションを見て紅詩と子供達が知り合いではないと察し謝罪しているが言葉だけで悪びれているような様子は見られない
「おまえ、ここのボス?」
「だとしたらなんだ? 中華女」
「サンビアンカ、知ってるか?」
「知らねぇよ」
だったら用はないと言わんばかりに子供たちは男に襲いかかった。
男は襲いかかってくる二本の剣をそれぞれ手で握って止めた。
「!?」
「いって……この力……ただのガキじゃねぇな」
男の手から血が流れているが指でがっちりと刃を止めたので皮の表面だけが傷ついただけのようだ。
男はそのまま2人を事務所の壁に投げつける2人は曲芸のように空中で身体を捻って壁に足をつけ衝撃を足で吸収しそのまま地面に着地する
「何モンだ? お前ら」
「美辰!」
2人は目を合わせて即座に動く美辰と呼ばれた子供は紅詩を担ぎ、もう片方の子供は事務所の大きなガラスを剣で割り、紅詩を含めた3人は割れた窓から外へと逃げた。
男はそれを追いかけることもせず割れた窓の方へと歩いて行く
「葬儀屋の次は馬鹿力中華女かよおもれぇことになってきやがったな」
と割れた窓から外を見ながらにやっと微笑んだ。




