ep1 邂逅
─お願い…いつまでも待つからこの手紙を───
ぼんやりとした意識の中でか細い少女の声が聞こえた。
─お願い…───に……!
よく聞こえなかった、もう一度聞き返そうとした瞬間、視界がブラックアウトした。
「こら!起きなさい!朝よ!あ~~さ~~~!!」
今度は別の声が聞こえる、少し目を開けると視界には赤色の髪の毛の壁が見える。そこからさらに上を見ると、小顔の少女が自分を起こそうとしている。
「ティア…?」
赤髪の少女の名前はティアネット・ベルトーチカ。トレジャーハンターを営んでる僕とペアを組んでいる人だ。ちなみに僕の名前はテオ。アーゼントニアの町にあるティアの家の一室に居候させてもらっている。
「やっと起きたわね。このまま寝ようものなら永遠の眠りにつかせてあげようかと思ったわ」
とあきれ顔で握りこぶしを作り、降ろす。ご飯できてるわよとティアネットは踵を返し、部屋を出ていく。
「さて、今日もお金稼ぎ頑張りますか!」
意気込んで着替えを済ませ、自室を出て階段を下りる。机の上には皿が置かれており上に小さい肉のスライス、パン一つと小さい野菜の切り身が置かれていた。健康的だ。
「今日はどこの遺跡に行くの?」
朝食をとる間に今日の場所を聞いておく。
「ベルベス墳墓よ、そこの奥にあるお宝を取りに行くわ」
ベルベス墳墓、ウェオルト大陸にある最も大きい遺跡の一つだ、大きいがゆえに沢山のトレジャーハンターたちが入っていき様々な財宝を取りつくしたといわれている、そんな空の遺跡にいったい何があるのだろうか?
「あそこってもう取りつくされてるんじゃあなかったっけ?まだ何かいいモノが?」
聞くと、ティアはふふんと胸を張って自慢げにいう。
「昨日情報屋に聞いたのよ、あそこにはまだ探索されていない隠し通路があってね、一番奥の墓を動かすと地下に道があるらしいわ!」
「──というわけで墳墓の一番奥に来たわけですが、なにか地下につながってそうな手がかりはありましたか?」
探すこと30分ほどだろうか、僕の問いかけにティアは目線を外して
「い、いやぁ~…なかなか見つからないですね…」
と、詰め寄る僕に対して一歩、また一歩と下がるティアの足元が不意に一段階さがるとともに大きな轟音が鳴り響く。
「な、何!?」
何かしらのトラップかとあたりを警戒して周囲を見渡すと、一番奥の高台になっている墓が動いている。
「ティア、あそこの墓、動いてない?」
二人でその墓の前まで行くとなんと墓石が後ろにスライドし、地下への階段ができていた。
「ほら!ほらほら!やっぱり情報屋の言ってた通り!地下があったのよ!早速行きましょ!」
元気に地下への通路が見つかったことに喜び、我先にと階段を走って下っていくティアに遅れてついていく
「ここは?…きれいなところ…!」
階段を降り切った先には鍾乳洞が広がっており、奥には泉がありきれいな翡翠色に輝いている。泉の前へ来ると、より一層翡翠色が輝いて見え、神秘的な場所だと実感する。
「ねぇ!お宝!どこにあるのかな!探してみましょう?」
ティアはウキウキであたりを探索しだす、僕はというと、泉に見とれてじっと水面を見つめていた、その時だった。
「のぉ、お主、きれいな瞳をしておるな?」
突然背後から透き通るような声が聞こえた。ティアではない誰かの声に僕は急いで振り向いたが、遅いと一言。泉から引き離され、組み付かれる。
「君は一体!?」
肺を押しつぶされ必死に出た一言に少女は
「儂か?儂はそうじゃな…エレノアとでも呼んでくれるとうれしいのぅ」
カカカと笑う少女は僕を押さえつける手を離さないまま続ける。
「なぁ瞳のきれいなお前さんよ、ここへ何しに来た?返答次第ではその首を切り離すぞ?」
おぞましいことを口にするエレノア、僕は事を穏便に済ませるため
「ここにはお宝があるって聞いたんだ、それで見つけたんだけど、ここには全然なくて…でも、きれいな泉があってじっと見てたらエレノア、君が現れたんだ!」
必死に言葉を紡いでエレノアに話す。自分が何を言っているのか全然わからないが、もうやけくそだ、なるようになれと話を続ける
「もしかして、君がそのお宝なのか!?その強い力にきれいな声!きっとそうなんだろう?」
「ほう?儂が宝とな?…ックク…アハハハ…!」
エレノアは笑い力を緩める、そのすきに僕は転がり、距離をとり、短剣を取り出し構える。黒い装束に対となるような白い肌、宝石のように輝く紅の瞳に映える金髪。
「そう構えんでよいよい、ククク…そうか、儂が宝か…!なら見つけたお主が所有者になるのは道理、あいやすまんかったなお前さん、名は何という?」
僕は何を言っているのかわからずそのまま名乗る。
「えっと、テオです…」
「そうか!テオというのか!不思議な縁もあるものよのぉ!儂の昔の知り合いにもテオという名前の小童がいてのぉ…!」
僕はエレノアが腕組みをし懐かしむような顔で僕を見て笑うのをなぜか懐かしいような風に思った。なぜだろう、会うのは初めてなのに……
「テオー!何か見つけたー?ってその人は…?」
こちらへ戻ってきたティアがエレノアを見つけて怪しむ
「この人はなんかよくわからないけどなんか敵意はもうないみたいで…」
先ほど起きたことをティアに説明するとニヤニヤした顔で
「あんたもしかして女ったらしの才能あるかもね」
耳元でそっと耳打ちする。
「さて、お主らはどうするのじゃ?戻るのならついていくぞ」
エレノアが訪ねてくる。ティアは縄を持っており、戻るつもりらしいから僕も
「うん、ゆっくりできるところで今後のこと考えたいから戻ろうか」
こうして僕、エレノアとティアの三人でアーゼントニアの町に戻ることにした。
──時代の歯車は回りだした。軋んでいた歯車は二つの潤滑油によって加速する。
数ある作品の中、この作品を見てくださりありがとうございます。筆をとるのがずいぶん久しいので表現の至らない点多々あるかもしれませんが、頑張って期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いいたします。




