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諦めてたと思っていた鷹頭。
だがある隠し撮り写真を、雛山に送りつけてきた。
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双葉広告代理店
デザイン部
休憩所から戻ってきた雛山。
手には湯気が立つ、ホットチョコレートが入った紙コップ。
甘いもので脳を活性化、後半戦も集中して頑張るぞ!と意気込む。
スリープ状態のPCを起動させ、まず目に飛び込んできたのは鷹頭からのメール受信だった。
嫌な予感・・・・・
明の事を諦めたと思っていたが、違うのか・・・
それとも違う方法で虐め再発か・・・・
雛山はムッとした表情で、その通知をクリックする。
『これ、どういう事だ。白田さんと付き合ってるんじゃないのかよ!?』
そんな文面に、添付されている画像。
「?」
何のことだろうと、雛山はその画像を開いた。
画面に映し出された写真を見て雛山は、画面に齧りつく勢いで前のめりになる。
写真の場所は、ショッピングモールの様な所にある休憩所。
そしてベンチに腰掛ける一組の男女。
うつむき加減の明と、そんな彼の顔を覗き込む日富美。
明の膝の上にある手に日富美の手が重なり、どこをどうみても恋人同士に見える。
ベンチの周りにはかなりの買い物袋が置いてあり、2人はショッピングに来ていたのだろうとはわかる。
2人は付き合ってないと知ってはいるが、ただのショッピングでこんな親密な雰囲気になるものなのだろうか。
本当にただの幼馴染?
日富美は明の事を想っているのだろうと予想はついているものの、明も日富美に対して幼馴染以上の感情を持っているように見える。
写真に映し出された明の表情は、雛山は今まで見たことがない。
弱々しく、不安そうに歪んだ顔。
雛山はその画像を、自分の携帯に転送する。
そしてデスクの引き出しにあるスマホをポケットにしまうと、勢いよく立ち上がる。
血相を変えた雛山の顔に、鷲森は不思議そうな表情で彼を見上げた。
「急いで、うんこしてきます!」
声の音量もお大きめにそう伝えると、転びそうになりながらも事務所を駆けて出ていった。
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フローラ
商品企画部
ブ〜〜と短いバイブ音。
それだけでもデスクの上に置いた、スマホの主張は激しい。
由美は伏せて置いていたスマホを手に取り、画面を開く。
相手は雛山だった。
『桜庭さん!これどういう事ですか!?本当に明さん、この人と付き合ってないんですか!?』
そんなメッセージの下に、添付された写真が表示されている。
「え・・・隠し撮りっ」
明らかに第三者によって撮られた、二日前の2人。
由美は綺麗に描かれた眉を寄せる。
『これ何よ、雛山君が撮ったの?隠し撮りなんて趣味悪いわよ』
『僕じゃありません!明さんに付き合ってって言い寄ってた奴が撮ったんです』
「何その展開!!!?」
思わず声を荒げて驚いた由美に、周りの人間の視線が集中する。
『どう言う事、雛山君の知り合いの女の子?』
『女性じゃないです、同じデザイン部の鷹頭です』
「え・・・・鷹頭って、あの新卒者の・・・マジで・・・昼ドラな展開すぎる」
自分の知らない所で物凄いそんな展開が!と驚きで、隣前からの訝しげな視線は全く気にしていない。
『白田さんが、明さんの恋人のフリをして一度は諦めたんですけど、この写真送られてきて、どういう事だって』
『恋人じゃないのは本当よ、一昨日私と3人でショッピングに行った時の写真だもん』
『ですけどどう説明しても、この写真では納得させれないです。僕にもただの幼馴染には見えないです』
『解った、作戦会議よ!追ってまた連絡する』
『解りました、連絡待ってます』
そこで雛山とのやり取りは、一旦終了。
由美はどうしたものかと考えながら、明のデスクの方に視線を向ける。
当の本人は、仕事モードで書類を作っている。
「私の知らないところで・・・そんな面白い事になってたなんて・・・」
昼ドラ韓ドラ、どろどろ展開バッチコイの由美はニヤニヤと口元を緩めている。
そこでハッと何かを思いつき、再びスマホをいじり出す。
『緊急事態発生です!姉さん!』
そう相手のLINEにメッセージを送ると、ほんの数秒経って既読がついた。
『どうしたの!?由美ちゃん』
『桃ねぇさん!本日作戦会議を開きたいです』
『明ちゃんと、白ちゃんに何かあったのね。解ったわ。今夜フスカルで作戦会議を行いましょう』
『議題は雛山君が用意してます』
『ではグループLINEを作成しましょう』
そんな桃のメッセージの後、作成したばかりのグループ勧誘の通知が送られてきた。
題して「チョコミント応援団」。
その名前を目にして、由美は盛大に吹き出してしまった。
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白田御用達のスポーツジム
「はい、では今日はここまで」
「有難うございました」
専属のトレーナーの終了の言葉に、白田は会釈をしてお礼を言う。
そして部屋の隅に置いていた鞄から、タオルを取り出し滝のように掻いている汗を拭う。
「それにしても、だいぶ筋肉ついて来ましたね」
トレーナーは白田の体をマジマジと見る。
Tシャツを着ているとは言え、見える範囲でも解るぐらい白田の体には変化が見れた。
「メニュー変更から、そんなに経ってないのに。家でも筋トレしてるんですか?」
「勿論、それに食事にも気を使ってるんです」
以前から通っているこのスポーツジムでは、専属のトレーナーが居る。
利用者の希望にそったメニュー作りをし、ワンツーマンでトレーニングを行う。
今までの白田は、年齢によって落ちる体力や崩れる体型をキープする運動をしていた。
それをキープではなく、体型をもう少し大きくする為に筋力アップのメニューに変更してもらったのだ。
元々骨太なので、軽い筋トレだけでも充分に引き締まって男らしい体型だったが・・・・・・ボクシングで絞っている明の体付きを見て、もっと男らしくあらねば!と思い立ったのだ。
お陰で最近、身に着ける物が窮屈になりつつある。
胸や肩や二の腕が成長し、曲げ伸ばしするのと生地が引っ張られる感じがした。
そろそろスーツやシャツも新調しなくては、ならないだろう。
「ストイックですねぇ〜。さては、白田さん好きな人が出来たとか?」
からかい半分でそう聞いてきた、相手に白田は口元が緩む。
「えぇ・・まぁ・・」
白田の表情だけでも充分に伝わったトレーナーは、「あははは頑張ってください。それじゃ30分で締めますので」と部屋を出ていった。
残った白田は残りの30分で汗を流す為、鞄を手にして隣りのシャワー室へと入る。
そして服を脱ぐ前にスマホを起動させて、緊急の連絡が無いことを確認する。
「!?」
そして気がついた、LINEの通知に明の名前が表示されているのを。
心臓が止まりそうになった。
明から連絡がくる事が初めてだからだ。
ドキドキする心臓の鼓動を感じながら、通知ボタンを押す。
『鷹頭、余計なこと言ってなかったか?』
鷹頭がフスカルに突撃してきた日から、今日が初めての出勤日だった。
白田が恋人のふりをした事で、鷹頭が社内で明との事を触れ回るのではないかと心配しているのだろう。
『心配いらないよ。いつもと変わらない一日だったよ』
『あっそ』
安心させるように返した返事に、素っ気ない一言。
それでも明から連絡があった事に、舞い上がるほど嬉しい。
不器用ながらも少しずつ歩み寄ってきてくれる明が、愛おしく感じる。
「はぁ・・・・顔が見たいな」
狭い脱衣所に響く、白田の独り言。
フスカルが休みで会えない日があると、一日がとても長く感じる。
だが、明日は明が来社する日。
しかもランチを一緒にと約束もしている。
そう思っただけで、気分はウキウキだ。
今日は早く寝て、明日のランチに備えよう!と胸の中で意気込み、ふんふんと鼻歌交じりに服を脱ぎ始めた。
39へ続く
応援団の名前、良いのが浮かびませんでした。
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