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転生特典の権能《創造主》をもって異世界へ  作者: 葉ノ月サトゥー
第一章 王立魔法学院編  
5/177

これから先どうするか

ブックマークありがとうございます!

これからも頑張るので応援のほどよろしくお願いします!

 うむ、逃げてきました。

 それはもう脱兎(だっと)のごとく逃げてきました。

 まさか転生して早々に地形を破壊してしまうとは、完全に予想外だった。


 だってわかるわけないじゃん?

 剣の能力まで反映されるなんてさ。

 でもまぁ作ったの俺だし、ぶっ放して地形を変えた挙句、山に風穴まで開けたのも俺だ。

 そこは認めよう。

 反省点を挙げるとするなら、最初から最強の剣とかじゃなくて、普通の鉄剣にするべきだった。


 いや、逆に考えてみてくれ。

 最初に試したおかげで早々に気が付くことができたんだ。

 もしも街中で試していたらと思うとゾッとする。


 ってことはだよ?

 俺は町を救ったことになるのでは?

 山の形と人間の命、比べるべくもない。

 つまり俺は悪くない!

 ………………すみません、完全に俺が悪いですね。

 どのみち犯人俺じゃん。

 調子に乗ってすみませんでした。


「はぁ……はぁ……ここまでくれば大丈夫か。はぁ……現代日本のゆとり世代に山道はきつすぎる……」


 俺は額ににじんだ汗を拭いながらぼやいた。

 完全に自業自得ではあるがきついものはきつい。


「あの、扇様」

「……ん? どうした?」


 俺とは対照的に息切れもなく汗一滴かいていないアイルから、そんな声が聞こえてきた。もちろん無表情だ。


「扇様はなぜ《創造主》をお使いにならなかったのですか?」

「ん? 《創造主》を使えばスタミナを無限にできたとか?」

「いえ、それも可能ですが、私が言っているのは破壊した大地のほうです」

「というと?」

「《創造主》を使って元に戻せばよろしかったのでは?」

「あ……」


 その手があったか。

 どうやら俺はパニック状態に陥っていたようだ。

 ここまで逃げてきた俺の苦労はいったい…………というかスタミナを無限にとかできるんだな。

 今度やってみよう。 


「ま、まあやってしまったことは仕方がない。今から戻っても人がいるだろうし。ということで切り替えていきましょう」


 さて、これからの話をしよう……っと、その前に、


「この剣はしばらく封印だな。危険すぎる」


 そう言いながら俺は手に持っていた剣【ダークネスドミネーション】に視線をやった。

 俺のイメージでだいぶ強化されてるっぽいからな、うかつに振り回せない。

 とはいえ、壊してしまうのももったいない。

 どうにかできないものか。


 具体的にはどこかに収納しておいて、”来い”とか言ったら来るような感じに…………ん~? これって《創造主》使えば何とかなるのでは?

 収納場所は……俺の”能力”って扱いでいいかな。

 そうしたら出し入れできるんじゃね?


「よしっ! ”消えろ”っ!」


 はい、消えた。

 ふふっ、計画通り。

 さて、最後の確認をするとしよう。

 俺は右手を正面ではらいステータスプレートを出した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

八重樫扇 17歳 男 人間 レベル1 

・筋力:105

・魔力:110

魔法

―――

能力

【言語理解】【ダークネスドミネーション】

権能

《創造主》

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 おっし! 完璧!

 ちゃんと”能力”として扱われたらしい。

 《創造主》ってマジ便利だな、優秀過ぎる。

 あと、ちょっとだけ筋力と魔力が上がってる。

 剣を作ったのと山を駆け回ったせいかな。

 

 さて、改めてこれからの話をしよう。


「この世界って学校とかある? できれば実践メインの」


 やっぱり異世界と言ったら学校だよな。


「学校、ですか。この近くだと王都に魔法学院があります」


 ほう魔法学院とな。

 なかなかにいい響きだな。

 ワクワクする。


「その学校って俺も通ったりできる?」


 日本の学校はあまり好きではないが、異世界の、それもこのチート能力を活かせる学校ともなれば話は別だ。

 チート無双で充実した異世界ライフ、最高だな。


「可能です。金銭的な問題はございますが、道中の魔物を狩って、魔石を集めれば王都に到着するころにはかなりの量になっていることでしょうし、さほど気にする必要はありませんね」


 曰く、魔石とは魔物の体内に存在する核のことらしい。

 売れば金になるとのこと。

 まぁ見事に俺のオタ知識の中にある魔石と同じだった。


 というか、魔物っているのか。

 ここまで逃げてくるときには出てこなかったな。

 やっぱりテンプレだとゴブリンとかだろうか。

 まぁ初期地点だしな、それほど魔物とかもいないだろう。

 ってことは、ここから王都までそこそこ距離があるのかもしれない。

 楽しみではあるが歩きだと考えると少しだけ憂鬱(ゆううつ)だ。

 

「王都へと向かいますか?」

「そうするかな」


 そうして、俺たちは王都へと出立した。

 アイルに先導されながら道なき道を歩いていく。

 こうしてみると本当にナビゲーションだな。

 アイルがいなかったら永遠と森の中をさまよっていたかもしれない。

 アイルとアリスに感謝だな。


 そういえばしばらく同行するとは聞いてたけど実際にどのくらいの間同行するのかは聞いてなかったな。

 この際だし聞いておくか。


「なあ、アイルってどのくらいの間俺と一緒に行動するんだ?」

「それは……私は邪魔、ということでしょうか」


 アイルは立ち止まり、こちらを振り向かずにそう返した。

 心なしか声に元気がなかった気がする。

 まぁ元から抑揚のない声ではあったが。

 表情は見えないが多分無表情だろう。


 これは、ちょっと勘違いさせてしまったか。


「そうじゃなくてさ、いざお別れって時に早いうちから知っておくのとギリギリで知るのとじゃまた変わってくるだろ? だから早めに知っておきたいんだ。いきなりお別れなんて嫌だからな」

「そうですか」


 そう言うと、アイルは再び歩き出した。

 さっきよりも声が明るい気がする。


「私が同行する期間は約半年です。その期間が過ぎると神界へと強制送還されてしまいます」

「半年か、長いようで短いな」


 ちなみに、暦は地球と変わらないらしい。

 つまり半年ということは約180日だ。

 それを長いととるか短いととるかは人それぞれだろう。

 少なくとも俺は後者だ。


「じゃあ、それまでにいろいろと思いで作らないとな」

「……っ!」


 アイルは心底驚いたといった顔でこちらを振り返った。

 俺と目が合うとすぐに戻してしまったが。


 初めて見る無表情以外の表情がまさかの驚き顔とは、こういうのは普通笑顔とかじゃないのか?

 ってそんなことはどうでもいいか。

 アイルが無表情以外の表情を見せた、という事実が大切なんだ。

 あと半年の間に笑顔が見れるように頑張らないとな。

 というか絶対に笑ったらかわいいと思うんだよ。


 俺はアイルの笑っている顔を想像して、これからの生活がさらに楽しみになった。

 そして、俺の中で新たな目標ができた瞬間だった。

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