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Episode 38. 孤児院のお話

マリーがカップに二人分の紅茶を注ぐ。

やがてテーブルに着いたマリーにローズが話しかけた。

「で、なんて言ってたの?孤児院の厄介者がいなくなってせいせいしたとか??」

「そんなこと言ってないよ!!今、何してるのか気にしてたから、今までの活躍を話したら自分のことのように喜んでたよ!!」

マリーが『とんでもない』とばかりに実際の様子を話す。

「ホントに??喧嘩ばかりしていつも怒られてたのに...」

ローズは半信半疑のようだったが、

「でもローズちゃんは自分より弱い人はいじめなかった!!むしろ強い人に挑んでいく勇気のある子だって言ってたよ!!」

マリーはそんなローズに院長先生の本当の気持ちを話してあげる。

「それじゃ、なんでサクラノなんかに放り出したのよ!!」

ローズは怒ったように言うが、

「それは...理由があったんだって...私も詳しくは聞けなかったけど...」

マリーは少し考えてからそう言った。

「ほら!!やっぱりろくな理由じゃないんでしょ!!」

その様子を見てローズは不機嫌になる。するとマリーは、

「きっと、ローズちゃんの為を思ってだと思うな...それにおかげで私はローズちゃんに会えた!!こんなこと言うと不謹慎かもしれないけど、それは感謝してるの!!」

落ち着かせるようにそう言って笑った。

「それは...あたしも感謝してるけど...」

ローズはその言葉を聞いて考え込んでしまう。

しかし、院長先生に対する疑念が晴れたわけではないようだった。

「あっ!!それと小さい時の話も聞けたよ!!...なかなかおねしょが治らなかったとか...」

「わぁぁぁ~~~~~~~~!!!」

マリーの突然の話に、ローズは大声を上げてしまう。

恥ずかしさのあまり両手で顔を隠してしまった。

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに...『可愛いところもあったんだな』って思ったよ!!」

マリーが微笑ましげに言うが、

「ち、ち、小さい時の話でしょ!!今はおねしょなんかしないわよ!!」

ローズは顔を赤くしてそう言う。

「もちろん、知ってるよ!!...でももし、おねしょしても私がお世話してあげるからね!!」

その様子を見て、マリーは笑った。

「だからしないし、しても自分で片付けるわよ!!もう!!マリーったら変なこと聞いてくるんだから!!」

ローズはプイっと横を向いてしまった。

「ふふふ!」

しばらく笑っていたマリーだったが、

「でも、本当に剣が好きなんだね!小さい時から棒を振り回してたって...」

剣の話に話題を変える。

「そうね。それを止めるようなことはしなかった...それどころかどこからか中古の剣まで持ってきてくれて...それだけは感謝してるわ!!」

ローズは懐かしむように話した。

「そうだね...今でも剣が大好きだもんね!!...私よりも...」

「それは...」

マリーの言葉にローズは言い淀むが、

「でもそれでいいの!!だから私は安心していられる!!ローズちゃんが冒険者の道を捨てるなんて考えられないもの!!」

マリーは突然、そんな事を言い出した。

「ええ、絶対に捨てないわ!!...でもなんでそんな事を...」

ローズは不審に思い、問い返したが、

「ううん。ならそれでいい!!」

マリーはにっこりと微笑むだけだった。


「それでローズちゃんはどうだったの??ミランダさん、強かった??」

すると今度はマリーが、ミランダとの試合について聞いてくる。

「あっ!そうなのよ!ミランダさんの剣はあたしの知っている剣じゃなくて...」

その後、ローズの話は微に入り細に入り長々と続いた。


「...という訳なの!!あたし、剣の新たな使い方を教えてもらっちゃった!!今すぐにでも練習して早く自分のものにしたい気分だわ!!」

ローズが興奮した様子でミランダとの戦いの詳細を締めくくった。すると、

「えっ!!ローズちゃん、気を失ってたの??しかもその間、ベッドで寝てたなんて...」

マリーは別のところに食いついていた。

「大丈夫よ~!!誰もあたしになんか興味ないって!!マリーだったら大変だったけどね!!」

ローズは笑ってそう言う。しかし、

「そんなことない!!ローズちゃんはとっても綺麗だし、憧れてる子もいると思うの!!そ、それにそんな裾の短いドレスじゃ下着、見られたんじゃ...」

マリーは気になって仕方がないらしい。

「いいじゃない。その為に可愛いのつけてるんだし...見たければ...」

「ダメ!!」

ローズは軽く考えているようだが、マリーは必死な目で叫ぶ。

「ローズちゃんの下着姿はそんな簡単に見せていいものじゃないの!!自分の価値に気づかなきゃ!!」

その言葉を聞いたローズは、

「マリーじゃあるまいし...確かにマリーの下着姿は絶対に他人には見せられないわね!!見ていいのはあたしだけ...」

「そうでしょ!!ローズちゃんもだよ!!」

二人してすごい事を言っている気がするが、二人は特に違和感は感じていないようだった。

「そうね...今度から気をつけるわ!!...今回は多分、大丈夫...」

ローズはそう言うが、

「ホントに??」

マリーが心配そうな目で見つめてくる。

「なんなら確かめてみる??」

ローズがなんとはなしに口にする。すると、

「えっっ!!!」

マリーは驚いて言葉を失っている。

その様子を見たローズは自分の言った意味をようやく理解した。

(な、なんであたし、こんなことを!!)

顔がみるみる赤くなっていく。

「...い、いいの?」

恐る恐る聞くマリーに、ローズは優しく答えた。

「マリーになら...いいよ...」

ローズは立ち上がると身につけているものを全て脱ぎ去った。


☆彡彡彡


マリーの観察が終わり、服を着直したローズがテーブルに座る。マリーも既に対面に座っていた。

「「・・・」」

無言で俯き、黙り込む二人。

顔が赤く染まっていた。


(み、み、見られちゃった...あたしの全部...マリーはどう思ってるのかしら...)

チラッとマリーを見るローズ、一瞬、目が合い、すぐに二人とも顔を逸らしてしまう。

(み、み、見ちゃった...ローズちゃんの可愛いところ全部...綺麗だった...思った通り...それに...純潔の証も...)

そんな事を考えているとマリーの顔が更に赤くなる。

(や、やっぱり、マリーとじゃ比べ物にならないわよね...きっとがっかりされた...こんなんじゃもう見てくれないかも...って何考えてるのよ!!)

ローズはちょっぴりセンチな気持ちになったが、自分の考えていることを思い返すと思わずツッコんでしまう。

そして、沈黙に耐えかねたのか話を切り出す。

「ゴ、ゴメンね...変なもの見せて...がっかりしたでしょ...」

その言葉に、

「えっ!!なんで?!...あんなに綺麗なのに!!...私こそ今まで変なもの見せて悪かったなって反省してたの...」

マリーはそう言って悲しそうに俯く。

「そんな事ないでしょ?!とっても可愛かったわよ!!...それに...胸だって大きいし...」

ローズがそう口にすると、

「大きければいいってもんじゃないよ!!ローズちゃんのは綺麗だし、あのくらいの大きさが一番可愛いんだよ!!...私のなんか...」

マリーはそう言うが、

「マリーのがダメならこの世に綺麗な胸は存在しないわ!!大きさといい、形といい、色といい...まるで女神様みたい...」

ローズが恍惚とした表情で言う。

「そ、そんなこと...」

マリーは照れて俯いてしまうが、

「だから...これからも...」

ローズが恥ずかしそうに言葉を発する。

「...うん...」

マリーは頬を染めながらそれに答えた。


☆彡彡彡


その夜、

「ついにローズちゃんの見ちゃった...お互い見せ合うなんて、もう、こ、こ、恋人といってもいいよね...」

マリーはベッドでそう言いながら顔を赤くしていた。

「それに私の綺麗だって...良かった...これからも...喜んで欲しいな...もっと...いろいろしてもいいのに...」

そう口にすると更に顔が赤くなる。

「でも焦っちゃダメ!!ここまで来たらもう一歩だよ!!...でも...」

マリーはふと孤児院での事を思い出す。

「ジークさんにも話を聞いてみたいな...『久しぶりにサクラノに帰りたい』って言ったら、ローズちゃん、なんて言うかな?」

そう口にすると、布団を顎までかけるのだった。


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