意識レベルの高い人々への伝言
「これから、どうしますか?」
と、私が物思いに拭けているのを、知っているのか知らないのか?オーランド系が私に、そう声を掛けた。
「昨日、ヴァチカンの長老枢機卿や、世界の人々に何か意識を送るようなことを、テレパシーみたいなのをするようなことを言ってたけど、あれを全世界の人々に行えば、やっぱり簡単ではないのかな」
私は、なぜか必要以上に早く、事が済んでしまうことを望んでるのでもないが、そう意地悪的に喋った。
「前にも言いましたが、他の星の、意識レベルの低い知的生命体に意識操作や洗脳的な行為はやってはいけないことになっています」
「では、昨日のアレは一体どういうことなのか?説明してもらえない?」
「あれは、例えるならインフォメーションです。ある事実となる情報を報告することでしかありません。アレがインテリジェンスではいけないのです。ただの情報です」
「その、ただの情報でさえも、選別される、選ばれるんだよね?そのことについては?」
「そこは選別と言うよりも、受信出来るかどうかなのです。ある一定の意識レベルを持っていないと、世界の要人だからと言って、私からの呼び掛けには応じられません。反対に意識レベルが高ければ、赤ちゃんでも受信することが出来るのです」
私は、オーランド系から目を逸らし、世界の情報が映っているはずのモニターになんとなく、目を向けていた。
なるほど、オーランド系の説明は、なんとなくだが、理にはかなっているようだった。
と言うよりも、実は、その説明は、なんとなく私は知っていたような感じがしていて、それを態々(わざわざ)、もう一度、復習と言う感じで説明してもらいたかったような気がした。
そして、実は、もっと本当は聞きたかったことがあったのだが、しかし、それは何故か聞いてはいけないと言うことも、何となく暗黙の了解ごとの様な気がした。
所謂、人の死についてだ。
「実は昨日のヴァチカンでのことで、考えたのだが、一つの場所で、世界の要人で、私が選んだ、工藤潤プレゼンツの首脳会談を行いたいと思っているんだが、どうだろう」
私はそう言って腕組みをして、オーランド系とキャメロン系を交互に観た。
「宜しいんじゃないですか!」
とキャメロン系が、なにも問題は無いという表情で答え、オーランド系も静かに頷いた。
私が真剣に考えた結果なのか、なんなのかは未だに分からない。
ただ、やはり、昨日の様に色々な角度からとか、色々な人たちと話をすることによって、明確なビジョンが生まれるのではないか?と思っている自分、いや、それは大部分が責任逃れってやつだってことも知っていた。
出来るだけ大勢の人間の意見を聞いて最大公約数な意見をまとめて、民主的に行おうとする形での逃げを、自分はもう見抜いていた。
そんなのは、昨日のヴァチカン長老枢機卿の態度で分かっていたことではないか?彼ら聖職者は、神に代わって何かを成し遂げると言う行動を、リベラルには行ってきていなかったのだ。
それがいいのか?悪いのではないが、事実として受け止めねばならない。
彼ら聖職者は、ただただ、人間を超えるもの、大いなる者に表れて、自分に接触して頂くことを何よりも優先的に考えていた。
だから、その信仰心が揺ぎ無く強固であればあるほど、人類を超えた超文明の者が表れ、人類なのか自分をなのか分からないが、導いてくれる存在を待ち望んでいたに過ぎないと、なんとなくだが分かってしまった。
それは、はっきり言ってしまえば、完璧なほどに間違いは無く、完全に約束された場所に連れて行ってくれると言う、子供のような感覚に、どうも見えてしまった。
既得権が揺るがされそうな輩は恐れ慄き、虐げられた者は、まるで人生の、社会の大逆転がきたことと思い、浮かれていたり、楽しんでいるのかもしれない。
私だって、現在のような当事者ではなく、傍観者ならば、宇宙の彼方から来た超人類が、今現在の権力者のその上に立ち、今までの人類のやり方は全てダメです、こうこうこう変えてください、ってな感じだったら、今までの夢も希望も閉塞感だらけだった日常が、無血で大革命になるんだから、早く一斉に変えてくださいよ、ってな感じでいたんだけど、現実は、その当事者として、不眠不休で地球の状況を観察し、必要によりまるで魔法の様にアクセスしちゃうと言う、未来警察宜しくって感じな状態だった。
私は、そんなことを考えながらも、一方では人の死について考えていた。
特に肉親の死だ。
そして、まるで、死とは無関係な二人について、何となくだが、聞きたいと考えていた。
「前に言ってたけど、二人は何億年も前から生きていたの?
いや、今は生きていないにしても、存在?意識が存在したのは?
とか、なんて言うかな、ここで、改まって、二人の事を聞くのは、何となくお門違いかもしれないけど、その、教えてくれないかな、二人の事を?二人の星の事を、そして、死についての事を」




