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オフ会(人間陣営)2回目

オフ会(2回目)にて


秋葉原の酒場

ファンタジー・サーガとのコラボ企画のコスプレ居酒屋に全員揃っていた。


檜田「まずは話を整理しよう」

檜田はモノをテーブルの真ん中に置くと、皆の顔を見回しそう提案した。

檜田「モノの世界で人間と魔王の陣営が今も戦い続けている。

それは魔王が最終決戦前にあらかじめ戦場となる魔王の間に時間遅延の魔法を展開しておいたからだ。

さらに保険として、もし魔王が倒された場合も平行世界に魔王の因子を蒔くことで、復活の保険をかけておいたが、誤って人間軍の精鋭の因子も蒔いてしまった。

その因子を引き継いでるのが我々だ。

真世界と我々の世界は少なからず連動している。

魔王軍の因子を持つ連中を我々が倒せば真世界の魔王軍は不利になる」

檜田「と、ここまではいいか?」

テーブルの上のモノは頷いていた。

檜田は皆を見回した後、有子に目線を送った。

有子「何、何で私みるの?ふん」

有子は不満気だ。

檜田は有子が理解できていないとの疑問を噛み殺した。

檜田「赤坂さん補足をお願いします」

赤坂「まずは事実から、モノ君の首筋の所に文字があるだろう」

赤坂はモノの背中の首筋を指差した。

有子「えー、気づかなかった」

三平「ただの模様だと思ってたダス」

赤坂「モノ君に確認した所、真世界の文字で48だそうだ。」

「これは私の仮定なんだが、これは製造番号で最低でも48体のモノ君の同型の使い魔が存在し、それぞれ48以上の世界に派遣されている」

神人「48以上、僕たちの世界だけじゃないんですか?」

神人は驚きの声を上げた。

檜田「俺も考えなかった訳ではないが、確証がなかった」

檜田は赤坂の仮定に同意して深く頷いた。

有子「モノ君って一杯いるの?」

三平「モノ48ってとこダスな」

モノ「他の世界の事はマスターから聞いていません」

残念そうにモノは語った。


赤坂「ここからは仮定の仮定となるので言いにくいんだが」

赤坂は歯切れが悪くなった。

檜田「続けてください」

檜田は赤坂に続けるように促した。

赤坂「それぞれの世界で2つの問題が発生してると思う。

1)距離の問題で出会えない

互いの距離が離れすぎて戦いが発生せずに引き分けになる。

2)キャラの問題で出会えない

極端な話。双方が動けない場合だってあるはずだ。たとえば、赤ん坊同士だったりすれば、お互いに何もできず、引き分けという状況もありうる訳だ。」

というと赤坂は一呼吸置いた。

「もちろん一方的な勝利、一方的な敗北も想定されるが、相互に同数と仮定して切り捨てると、どうやっても統計的に5分5分に収束してしまう」

有子「えっと、だから?」

有子はかなり理解できてないようだ。

檜田「この勝負は始めた瞬間から魔王側の一方的な負けはありえない」

「引き分けで魔王の復活が保証されるという事だ」

赤坂「その可能性は否定できないな」

モノ「私にはわかりません」

そう言うとモノは俯いた。


赤坂「自分の世界を救う君の使命は重い物だ。それを否定する気はない」

赤坂はモノに慰めの言葉をかけた。

檜田「だが協力して下さいだけではどうにもならない。きちんと情報を出してくれないか?」

モノ「そう言われましても」

モノは頭を左右に振り、困惑してこういった。

赤坂「この世界での情報は君は持っていないという訳か」

モノ「はい」

モノは大きく頷いた。

檜田「質問を変えよう。真世界での魔王軍の陣営を教えてくれないか?」

モノ「人物名はこちらの発音に準拠修正しますが、よろしいですか?」

檜田「ああ、かまわない」

モノ「まず魔王のボディガードであり、古くからの右腕であるゴクドウ佐藤、

次に魔王の参謀兼マッドサイエンティストのシャドウアウト影、

彼が作成した成長する人工生命体の純愛、

そして魔王軍の台所番のラ-メン店長、後は雑魚です。」

檜田「なるほど、そいつ等の因子を持った連中が俺達の世界のどこかにいるという訳か」

モノ「重ねてお願いします。真世界をお救い下さい」

檜田「異世界からわざわざ使いに来てくれてすまないが、正直俺達が助ける義理はない」

モノ「そんな」

モノは檜田のあんまりな回答に落胆してその場に座り込んだ。

有子「ちょっと檜田!モノが可愛そうだよ」

檜田「と言ってもだ。手ぶらで帰すのもあんまりだと思う」

「そこでだ。俺達はモノに協力する決意を固める」

「俺達にできるのはここまでだ」

有子「ど、どういう事?」

有子は全くというほど理解できていない。

檜田「可能性の問題だが、珍世界の魔王陣営の面子が揃っていない場合や足並みが揃っていない場合、人間側が面子を揃え足並みを揃えるだけで優位になるという訳だ」

「ここにこうして珍世界でのPTが揃っていることになる。これって凄い事じゃないか?」

有子「ど、どういう事?」

有子は全くというほど理解できていない。

檜田「三平、有村が判る用に説明してくれないか」

檜田は有子の理解力のなさに呆れて、頭を書きながら三平に話を振った。

三平「明日、本命デートって時に勝負パンツがあるかないかの違いダスよ」

三平の妙な例え話だが、有子は理解できたようだ。

檜田「皆手を出してくれ」

「俺達PTはモノに協力する!」

ALL「おー」


檜田「今日はこれで終わりだ」

すっきりした顔で檜田は皆に声をかけた。

有子「これから魔王軍と戦うんじゃないの?」

有子はあまり事情を飲み込めていないのか不満気だ。

檜田「何言ってるんだ。お前、犯罪者になりたいのか?」

有子「何よ、お前呼ばわりって、その良いけど・・・」

有子は少し嬉しげだ。

檜田「どうだ、水晶球に変化はあったか?」

檜田はやさしくモノに尋ねた。

モノが持っている水晶球が変化を見せ、ほんの少しだが天秤が人間側に傾いたようだ。

モノの体が少し光ってるように神人は思った。

赤坂「いいかい、モノ君。君の使命は真世界の人間側を有利にすることだ。」

「この世界の魔王陣営の連中を倒す事はできないが、僕らが協力すると確認できたので、ほんの少しだが人間側が有利になったはずだ、これで勘弁してくれないかな」

モノ「ありがとうございました」

モノの顔に少し明るさが戻り感謝の言葉を述べた。

赤坂「マスターに使命を果たしたと報告できると思うよ」

モノの頭をなでながら、優しく赤坂は語りかけた。

モノ「あ、ありがとうございました」

モノは顔をくしゃくしゃにして涙ぐんでこう答えた。


モノは使命を果たし光に包まれて消えた。


人間陣営のお話はこれで一回休みになります。

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