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職人(♂)★★「右甚五郎」の赤坂柿右衛門の場合

老舗のメイド喫茶マイドにて


メイド達「お帰りなさいませ、ご主人様!」

赤坂「よ、予約しておいた赤坂です」

赤坂はかなり緊張して言った。

メイドA「三平さん、御予約のお客様ですよ」

三平「はーい、お帰りなさいませ、ご主人様!」

店の奥から三平がお冷とメニューを持って出てきた。

三平「ご注文をどうぞ、ご主人様!」

三平は満面の笑みでテーブルにお冷とメニューを置いた。

なにかこう落ち着かない。

テーブルや椅子が何か安っぽく感じ、ゆっくり落ちついて飲み物や食べ物を

ここで頂く気になれない。

まったくどうにもこうにも性にあわない。

しかも三平君ときたら他のウェイトレスよりも胸の発育がいい。

なるべく見ないように意識するとかえって不自然になる。

赤坂「こういう所は苦手でね、手早く頼むよ、三平君」

赤坂は周りを気にして、小声で言った。

三平は軽く頷くと周りを見回して赤坂に胸から近づいた。

三平のブラウスの胸元の牛形の小窓から谷間が覗いていた。

赤坂「三平君、その衣装はいいのかね?胸元が見えてるよ」

赤坂はそっと小声で注意した。

三平「ここに注目!」

そういうと三平は自分の胸の谷間を指差した。

モノ「くるし~い」

三平の胸の谷間に挟まれて、いわゆる乳圧で顔やら体が圧迫されてモノは

悲鳴の叫びを上げていた。

三平はにやにや笑いながら、胸の谷間から使い魔のモノを引っ張りだすと、

テーブルの上に置いた。

赤坂「しかし、他の人には見えないというのも興味深いな」

あっけに取られた赤坂だが、なんとか平常心保っている振りをした。

赤坂「では、これで」

いたたまれなくなった赤坂はモノを持って席を立とうとした。

三平「ご注文をお願いします。ご主人様」

三平は帰ろうとする赤坂を笑顔で引き止めた。

赤坂「じゃあ、ア、アイスコーヒーを」

三平の迫力に気圧されて仕方なく赤坂は愛すコーヒー(アイスコーヒー)を

注文した。


メイドA「それにしても、今回はまた渋い殿方ですね」

三平は厨房でメイドAに小声で聞かれた。

三平「でしょ」

三平は悪戯な目をしてその問いに答えた。

メイドA「ナイス、ミドルですね。ちょいメッシュな白髪や口ひげもスマートで

ポイント高いですよ」

「なんか包容力?オトナの魅力?紳士的な振る舞い」

メイドAはノリノリで言葉を並べ立てた。

三平はスマホを取り出すと、先日のオフ会での神人と赤坂のツーショット画像を

メイドAに見せた。

記念写真と言ってわざわざ二人に頼んで。神人に赤坂を斜めに見上げる構図で

撮った画像である。

メイドA「ぶほっ、ありありなカップリングですよ。三平さん!」

メイドAは萌えツボを突かれて噴出した。

メイドAはよからぬ妄想に胸を膨らませてるに違いない。


三平「お待たせしました。愛すコーヒー(アイスコーヒー)です。ご主人さま」

マニュアル通りの台詞と共にアイスコーヒーのグラスをテーブルに置いた。

赤坂はとりあえずアイスコーヒーを口に運んだ。

最初にかすかだが紙くささとパラフィンの臭いが鼻を抜けた。

次に口の中にアイスコーヒー無糖1000ml紙パックの味が広がった。

これはなんだ泥水か。

最後にカルキ臭さが、この氷は水道水をそのまま凍らせたものか。

赤坂は頭痛がしてきた。

赤坂はレシートを掴んでそそくさとレジにむかった。

三平「愛すコーヒー(アイスコーヒー)3500円になります。ご主人様!」

赤坂「なっ・・・、なんでアイスコーヒー一杯がそんなに」

赤坂はこめかみを押さえながら、言葉に詰まりながらも三平に尋ねた。

三平「この前~、神人君が来てくれたんですけど~。彼お金がなくて~、

赤坂さ~んお願い」

三平は可愛いポーズで目をうるうるさせて、いけしゃあしゃあとこの台詞を

言ってのけた。

赤坂はますます頭痛がしてきた。

言われるがままに勘定を済ませるとモノと一緒にメイド喫茶を後にした。

災難だ。まったく。


赤坂の本業はカルチャー教室の講師だ。

最初は友人に頼まれて趣味でやっていた陶芸を教えることになった。

元々、興味ある事は突き詰める性格の為か、様々な物に造詣が深かった。

次々とカルチャー教室の講師を頼まれ、なし崩し的に本業になっていったが、

流行廃りがあるので自分がやりたい物ではなく、生徒が集まるジャンルを

勉強するようになった。

そのことに赤坂はストレスを感じる様になっていた。


月曜日:

モノをカルチャー教室につれていった。

今日の内容は陶器に専用の転写紙を使って、オリジナルの器を作る。

生徒は女性が8割、男性が2割だ。

それぞれ選んだ器に自分で絵を書くか、赤坂が用意した模様の転写紙を

組み合わせて貼る。

赤坂が後日、器を焼成して完成となる。

やはり生徒には気づかれない、いつもと同じに進んでいく。


火曜日:

モノをカルチャー教室につれていった。

今日の内容は手作り石けん。

生徒は女性が9割、男性が1割だ。

無添加の天然素材を使い石鹸を作る。

人気はお茶石けんや、ローズの石けん、オリーブ石けんなど。

やはり生徒には気づかれない、いつもと同じに進んでいく。


水曜日:

モノをカルチャー教室につれていった。

今日の内容はキャンドルアート

生徒は女性が9割、男性が1割

まず、蜜蝋を、湯せんで加熱して溶かす。

匂いや色を足し、芯の位置を決め、溶けた蜜蝋を型に流して

完全に冷えて固まったら、芯を適当な長さにカットして、完成だ。

やはり生徒には気づかれない、いつもと同じに進んでいく。


帰宅し、まどろんでいると、誰かに話しかけられたような気がした。

赤坂は気にも止めずファンタジー・サーガ・オンラインを始めた。

チームから注文のあった品物をてきぱきと作っていく。

そもそも赤坂はゲームなど興味がなかったが、今は違う。

小さい頃から可愛がっていた甥っ子がライトノベル作家になった。

最初は反対もしたが、プロデビューして以降、作品を全て買い揃え応援した。

関連商品も全て買った。

ゲーム化されたファンタジー・サーガ・オンラインも始めた。

プレイしてみるとゲームの中で物を作るのにはまった。

自分が好きな物を作れるというのがいい。

簡単な物を作ると次の複雑な物を作れるようになる。

今や材料さえあれば、作れない物はほとんどない。

現実ではできない事が仮想現実ではできる。

赤坂は右甚五郎という職人キャラクタを突き詰めてしまった。

依頼のあった品物を作ったので、赤坂は床に着いた。


木曜日:

朝に赤坂は目覚ましの音ではなく、使い魔のモノに起こされた。

赤坂「おはよう、モノ君」

「事情は皆から聞いていて、把握しているつもりだ」

「君の世界が危機に瀕しており、回避する為の使命を担っているという事でいいね」

赤坂は寝起きにも関わらず、冷静に対応した。

モノ「さすがです。私を作ったマスターの因子を持つお方です」

モノは赤坂の冷静な状況把握に賛辞の言葉を述べた。

赤坂「君の世界の私が君を作ったという訳なのか」

赤坂はモノに確認した。

モノ「はい、マスターは大変聡明な方です」

モノは尊敬のまなざしで赤坂を見ている。

赤坂「これからいくつか質問をするがいいかね?」

身だしなみを整えながら赤坂は言った。

モノ「はい、構いません」

モノは大変協力的な態度だ。


赤坂は自分のスマホに画像をだしてモノにみせた。

モノ「これは真世界の文字です」

「珍世界の言葉にすると48ですが、これがなにか?」

赤坂「これは君の襟首にあった」

「君を作ったマスターと私は思考が似通っているとすれば、これは君の製造番号だろう」

モノ「そんな、知りませんでした」

モノは全く知らない素振りだった。

赤坂「そうか、最低でも48の世界に君の同型が派遣されていることになる」

「もっと多くの世界がターゲットになっているとしても可笑しくないと思うんだが」

「君の分身もしくは仲間が、無作為か作為的に選ばれたそれぞれの世界へ派遣されているはずだ」

モノ「そ、そんな」

モノはマスターから与えられた使命を果たすという責任感が揺らぎ始めていた。

赤坂「君は全てを語っていないか、私達に絞って情報を出している」

「いや、もしかしたら君も知らないのかもしれないな」

モノ「知りません」

モノは赤坂の言葉が信じられないようだった。

赤坂「後、揺らぎが生じている。新世界と珍世界では性別が違っていたり、年齢が

違っている・・・」

「それについては心あたりはないかね?」

モノ「いいえ」

モノはすっかり落胆して力なく答えた。



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