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黒鳥奇譚  作者: ヤマトゥー
腐敗した翼
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「呪眼と黒羽」

「頼む、ゾンビ狩りに協力して欲しい。オマエにしか頼めない」

 

 そう言って僕をじっと見つめる目、足組を解き、さらにさっきまで関西弁だったのが、いつのまにか標準語になっている。

 それほどまでに真剣(マジ)に頼んでいるのだろう。

 もしこれが演技なら最優秀男優賞ものだ。


「…なぜ僕にしか頼めないのか、理由を聞いても?」

 再び、関西弁に戻るが、そこから感じる熱量は変わらない。


「ワイが作った組織の目標は『未成年隊員の安全確保』や、

MARSは実力主義、“力”を持ってれば年齢関係なくスカウトされるし、年齢関係ない待遇を受ける。

皆この世界に来た時に覚悟はしてきたはずや。

せやけど、18のワイがこんなこと言うのもおかしいが、子供はまだ子供、子供なんや。度が過ぎた危険な任務に派遣され、酷いことになった事例はたくさん見てきた」

 静かに、だが重く落ちる言葉。


「せやから作ったんや」


「ここからは私が説明しよう」

 翠綺さんが話し始める。


「ここ近頃のゾンビ騒動、その正体は能力でゾンビ化させられた一般人。

それを殺すというは一般人を手にかけると同じであり、倫理的観点から、未成年隊員のゾンビが介入する可能性の高い任務への参加が規制された。

さて、廻、現在ゾンビは何%の確率で任務に発生してると思う?」


「さぁ?20%ぐらい?」


「残念。正解は80%を超えている」


「はぁ?!そんなにいるんですか?」


「せや、つまりそれは裏を返せば未成年隊員は80%の任務に参加できない、っちゅーことになるんや」


「MARSは魔物発生件数と隊員の数に大きな差が開いているのが現状。人手不足だ」


「それで、僕と組んでこのゾンビ事件を解決するって訳ですか………僕もまだ15ですけど」


「残念と捉えるか幸運と捉えるか、最高幹部たち(ボケ老人ども)権限(嫌がらせ)で、君には未成年待遇が適応されてない」


「それに君がMARSへの入隊が決まった日が、最初のゾンビ発生日だったことから、君はこの件に関して重要人物扱い。だからワイはそれを利用させてもらうで」


「いいでしょう、僕もゾンビにはかなりイラッとしてるんで、ヤツをぶん殴るためならどんな誘いにも乗りますよ」

 使える存在と証明したからには、使え続けられる。という証明をしなければならない。

 だから僕にはこの策に乗るしか道はない。


「まっ、お互い仲良くしよや」

 慧さんが右手を差し出して、握手を求めてくる。

 こちらも右手でそれに応じる。

「はい、よろしくお願いします」


*〈バディになり、最初の任務〉

「2日前、近隣住民から毎晩毎晩山から妙な唸り声がする、と報告が入りました。そして実際調査したところ…魔力の反応があり、正式な討伐任務が組まれました」

 山の麓で、今までの人と違い、黒服っていうよりかはくたびれたOLって感じの女性から、今回の任務の説明を受けていた。

 まぁ、くたびれて見えるのは主に僕たちのせいなんだか………


「…えぇなので、今回は慧Aランク隊員と廻Bランク隊員のお二人での作戦となります」


「はぁー」「チッ、」


「………ぇえ…以上が任務の概要ですが…、あの…ワタクシ…何か気に障ることでも…」


「「いえ、別に!」」 「あっ?…」 「なんやテメェ、あっ?」

 バディになって、最初の任務。その時の僕たちの仲は


___________________________メチャクチャ悪かった。


「君たち、もちょっと仲良くしよーかー」

 龍美さんが僕たちの肩に手を置く。

 その手には絶妙な力が込められている。

 怖いもの見たさで恐る恐る振り返るってみると…、案の定ブチギレてた。

 アタマに青スジを浮かべてる。

 この手の表現でよくあるのが〈顔は笑ってるが、目は笑ってない〉だか…

(こりゃ顔も笑ってねぇよ)

 口調だけなんとか笑ってる風に保ってる。て感じ。

 ここはおとなしく「はい…すいません」と謝り、流しとこう。


 慧が「すんません」って頭を下げてるのは流石に見ものだったなw。同じAランクなのにw

 などとニヤついてたら、また龍美さんに睨まれた…

 もうやめ………イヤ、続きは後にしとこ。


湿っぽい山道に入り、魔物の痕跡を探す。

 魔物の痕跡は何も魔力の残留だけではない。

 ヤツらも所詮生き物、足跡や不自然に草が倒れてるところ、フンなどなど、そこら辺からでも証拠は期待できる。


「オラッ!とっととカラスばら撒いて探させんかい!」

「…チッ。じゃ、テメェもその目ん玉に望遠鏡ぶっ刺して周り見ろやボケッ!」

 ぎゃぎゃやかましい罵り合いが森に響く。

 さっきのターゲットを探す方法には1つだけ特例がある。

 それは相手が、【自分は狩る側】と思い込んでいた場合____

 大声を出しとけば勝手に寄ってくる。


「ギャーッ!」

「じゃかぁしぃは、このタコ!」

 慧のノールックの蹴りが猿型の魔物の顔を潰す。

 だがまだ声はする。

 烏で上空から見る限り、ざっと6、7匹はいる。


「廻ッ!」

「1と3と12時の方向に3匹。5、6時の4匹は僕が」

「OK!」

 やる時はやる。

 さっきまでの空気を完全に流し、スイッチ1つで完全仕事モードに入れる男。

 鷹宮 慧(たかみや けい)

 やはり翠綺さんが1番信用するというのも納得できる。

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