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【連載版】没落貴族に置き去りにされた庶子(幼女)ですが、使用人たちと楽しく屋敷を立て直します  作者: 二角ゆう
第二章・もふもふ牧場〜シエル編

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第51話・ぐはぁ、可愛い!! ロアン、安定のオーバーリアクション

 ロアンがやってきた。


「アーノルド様、メルリア様、皆様、おはようございます! あれっメルリア様、その腕にある人形は何ですか!? きらきらオーラしか感じられません。女神の神々しい光です。髪の色もメルリア様とお揃いですね。よく見たいです!」


 ひと呼吸で、よくそんなに長い言葉を言えるものだ。

 メルリアは呆れながらも感心していた。

 シエルの人形が絶賛されている。

 こんな気持ちのよいことはない。


「ロアン、見て! シエルの手作りなの。可愛いよね〜」


 メルリアはぴょこぴょこと足を上下させながら、ロアンに向かって背伸びする。


 メルリアは人形の足も前後に動かして可愛さをアピールする。


「ぐはぁ、可愛い!!」


 美形の見た目も台無しなほど、後ろに仰け反り大袈裟なくらい可愛さに悶えるロアン。

 メルリアからも得意気な笑みを隠しきれない。


「メルリア様、とても可愛らしいですよ! え、女神!? 翼も生えてる。やっぱり女神だ。これ売ったら、メルリア様ブームきますよ! 絶対に皆欲しがりますって!」


 熱意溢れるロアンの言葉に、アーノルドも満足そうに聞いている。


 カイルが小さな歩幅でシエルに近づいた。

 ニックに振り返る。


 メルリアは二人の様子を興味深く見ている。


「お母さん、これ」

「まあ、ありがとう。指ぬきね」


 厚い布を縫う時に押し込んだり、針が刺さないようにする大きな指輪のような裁縫道具だ。


「ニックさんに頼んで、リコルディから持って帰ってきてもらったの」


「ただの鉄の指輪ですよ」


 表面には凹凸がついている。


「カイ坊が表面は加工したんだよな」


 ニックの言葉にカイルが頷いた。


「カイル、とても嬉しいわ」


 シエルはカイルを優しく引き寄せると抱擁する。


 そしてそれが終わると、シエルは闘志の灯る瞳に変わった。


「私、頑張りますね!」


 このメルリア人形、この後、シエルの努力で量産されていくことになるが、貴族令嬢ではないところで、大ブームになるのは、もう少し先の話だ。


 メルリアは椅子に座る。

 コップから伝わるホットミルクの温かさにホッと息をついた。

 メルリアはコップに口をつける。

 温められた牛乳特有の甘い匂いに癒される。


「そういえばロアン、ギルドを作ってくれ。どれくらいでできる?」


 パンの出来上がりを聞くくらい簡単に、アーノルドがロアンに訊ねる。


「はいぃ!? アーノルド様、ギルドですか?」


 驚きのあまりロアンはメルリア人形を落としそうになる。


「⋯⋯父に相談しないと」


 ロアンは慌ててメルリア人形を抱き直す。


「そうですよってギルド!?」


 メルリアもアーノルドの爆弾発言に固まった。


 先程、ニックが男爵に会った話を聞いたばかりだ。


 意地悪な男爵の元側近に男爵位授与を白紙にされた。メルリアはそれでも怒りが収まらなかったが、バルドから人ならざる禍々しいオーラを感じたので、落ち着いた。

 あれ、絶対になんかする気だ。

 バルドのことだから、物理的に何かするのかもしれない。


 それから、ニックが男爵の誘いを断った。

 そして聖礼祭のリース用の飾りを売って、追加の注文を取ってきた。

 それしか聞いていない。


「ニックが男爵に売りつけた聖礼祭のリース飾りで、金貨十枚の値がついた。このままではクアココット領の商売は確実に大きくなる」


「「金貨十枚!?」」と驚愕のメルリアとロアン。


「旦那、これから作る木彫りも含めての金額ですよ」


「いや、木彫りの出来を見たら、もっと支払いたいと言うはずだ」


 リコルディ男爵に会ってから、アーノルドのニックへの信頼が急上昇したようだった。


 それにしてもロアンは可哀想だ。

 一度も相談もされずに、ギルド設立が決まった。

 しかもそんなに簡単なわけではないはずだ。


 ロアンは父宛の手紙を早速書くと言った。


「ロアン、後で今までの売り買いの一覧、まとめておくね」とメルリアは申し訳なさそうに告げる。


「そちらは父と照らし合わせながら書類を作りますから、メルリア様は確認してください」


 なんとも頼もしい限りだ。


 すぐに伝書鳩でロアンの手紙を持っていってもらう。



    *    *    *



 夕方にガルドが来た。

 これは重大かつ緊急事態だと判断したのだろう。

二角的イチオシシーンは

「ねぇ、反対にギルドがないと困ることはないかしら?」


 メルリアの言葉が部屋に響く。

 誰も何も言わない。


「困ることあるぞ」

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