第57話 “深層の歪み”と、守人たちを試す影の声
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歪みの地の一つを整えたあとも、
世界の揺らぎは止まらなかった。
むしろ――
揺らぎはさらに深く、
さらに複雑に広がっていく。
リオが眉をひそめる。
「なんか……さっきよりヤバくないですか?
歪みの気配が増えてる……!」
エイルは震える声で言った。
「はい……
世界の核が生まれたことで、
“隠れていた歪み”が表に出てきているんです……
まるで、世界が自分の傷を見せているみたい……」
影は空を見上げる。
「つまり……
これからもっと厄介になるってことか。」
ナギは静かに頷いた。
「うん。
世界が再構築される前に、
“深層の歪み”を整えなきゃいけない。」
残響は短く言った。
「進むぞ。
次の歪みは……
もっと深い場所にある。」
◆深層の歪みへ
光の道が再び開き、
恒一たちはその先へ進んだ。
そこは――
先ほどの歪みの地とは比べものにならないほど荒れていた。
空は黒く裂け、
大地は沈み、
光と影が混ざり合って渦を巻いている。
リオが息を呑む。
「ここ……
なんか、嫌な感じがします……
まるで“誰かの感情”が渦巻いてるみたいな……」
エイルは目を閉じ、
揺らぎの気配を探る。
「これは……
“強い未練”……
選ばれなかった未来の中でも、
特に強い感情が残っている場所……!」
影は拳を握る。
「未練ってことは……
恒一の未来の“別の可能性”が暴れてるってことか。」
ナギは静かに言った。
「そう。
深層の歪みは、
“つなぎ手の心”に近い場所にある。」
残響は恒一を見る。
「つなぎ手。
覚悟はあるか。」
◆影の声
そのとき――
深層の闇から声が響いた。
――どうして捨てた
――どうして選ばなかった
――どうして“あの未来”を閉じた
リオが剣を構える。
「また声だ……!
でも、さっきの歪みとは違う……!」
エイルは震える。
「これは……
“恒一さん自身の未来”の声……
選ばれなかった未来の中でも、
特に強く残ったもの……!」
影は低く呟く。
「つまり……
恒一の“別の自分”ってことか。」
ナギは静かに言った。
「そう。
深層の歪みは、
恒一の心の奥にある“影”そのもの。」
残響は短く言う。
「つなぎ手。
逃げるな。」
◆深層の影との対峙
闇が形を持ち始めた。
それは――
恒一に酷似した“影の恒一”。
だが、
その瞳には怒りと悲しみが混ざっていた。
影の恒一は言う。
「おまえは……
俺を捨てた。」
恒一は息を呑む。
「……お前は……
俺の“選ばなかった未来”……?」
「そうだ。
おまえが選んだ未来の裏で、
俺は閉じられた。
消されるはずだった。
でも――
消えたくなかった。」
リオが叫ぶ。
「恒一さん!
こいつ……危険です!」
エイルは震える。
「でも……
攻撃しちゃダメ……
これは“恒一さん自身”なんです……!」
影は恒一の肩に手を置く。
「向き合え。
逃げたら世界が壊れる。」
ナギは静かに言った。
「恒一。
あなたが選ばなかった未来にも、
“あなた”がいたんだよ。」
残響は短く告げる。
「つなぎ手。
答えを示せ。」
恒一は影の自分を見つめた。
「……俺は――
お前を捨てたわけじゃない。」
深層の影が揺れた。
「なら……
なぜ俺を閉じた?」
恒一は拳を握りしめた。
「それは――
“未来を選ぶ”って決めたからだ。
でも……
お前を否定したわけじゃない。
お前も俺の一部だ。」
影の恒一は沈黙した。
深層の歪みが震え、
世界が息を潜める。
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