第56話 歪みの地と、“守人”としての最初の戦い
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
光の道を抜けた先――
そこは、世界のどこにも属さない“境界の地”だった。
空は裂け、
大地は波打ち、
色は混ざり合って形を失っている。
リオが剣を構えながら言う。
「ここが……歪みの地……
世界の再構築がうまくいってない場所……!」
エイルは震える声で続ける。
「はい……
選ばれなかった未来の残滓が、
まだ完全に溶けきらずに残っている……
だから世界が“形を見失っている”んです……」
影は地面を蹴り、
揺らぎの感触を確かめる。
「なるほどな。
ここを放っておけば、
世界全体が崩れちまうってわけだ。」
ナギは静かに目を細めた。
「だから私たち守人が必要なんだよ。
世界の核が生まれた今、
その核を支えるために“歪み”を整えなきゃいけない。」
残響は短く言った。
「つなぎ手。
ここが守人としての最初の試練だ。」
◆歪みの正体
そのとき――
大地の裂け目から黒い霧が立ち上った。
霧は形を変え、
やがて“人影”のような輪郭を持ち始める。
リオが叫ぶ。
「出た……!
これが歪みの正体か!」
エイルは目を見開く。
「違います……
これは“閉じられた未来の残滓”が、
形を求めて暴走している状態……!」
影は拳を握る。
「つまり……
恒一が選ばなかった未来の“影”ってことか。」
ナギは静かに言った。
「でも、これは敵じゃない。
ただ“行き場を失っている”だけ……
だから――
壊すんじゃなくて、整える必要がある。」
残響は頷く。
「つなぎ手の力で“つなぎ直す”んだ。」
◆守人としての戦い
黒い影が揺れ、
恒一たちへ向かってくる。
リオが前に出る。
「恒一さん!
俺が前を守ります!」
影も続く。
「後ろは任せろ。
お前は“つなぐ”ことに集中しろ。」
エイルは両手を広げ、
光の魔法陣を展開する。
「歪みの力を弱めます……
今のうちに……!」
ナギは恒一の隣に立つ。
「恒一。
あなたの力が必要だよ。」
恒一は深く息を吸い、
胸に手を当てた。
そこには――
未来の自分が残した“温度”がある。
「……わかった。
俺がつなぐ。」
◆つなぎ手の力
恒一が手を伸ばすと、
世界の核と同じ光が指先に宿った。
その光は黒い影に触れ、
影は苦しむように揺れた。
だが――
消えない。
恒一は気づく。
「……拒んでるんじゃない。
“帰る場所”を探してる……!」
ナギが頷く。
「そう。
だから恒一が“つなぎ先”を示してあげて。」
恒一は光を強め、
影に語りかける。
「……お前は消えない。
俺が選ばなかった未来でも、
俺の中に“可能性”として残ってる。
だから――
帰ってこい。」
影は震え、
やがて光に溶けていった。
歪んでいた大地が静まり、
空の裂け目が閉じていく。
リオが叫ぶ。
「やった……!
歪みが消えていく!」
エイルは涙をこぼす。
「恒一さん……
あなたが“つないだ”んです……!」
影は笑う。
「守人としては上出来だな。」
ナギは静かに微笑む。
「これが……
守人の力だよ。」
残響は短く言った。
「次の歪みへ向かうぞ。
世界はまだ安定していない。」
恒一は頷いた。
「……行こう。
世界を守るために。」
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