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第41話 現在の影と、“今を選ぶ”という戦い

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

過去の檻が光に溶けた直後、

 恒一たちは再び“未来の書”の前へ戻ってきた。


だが空気が違う。

 重い。

 張り詰めている。


ページの中央に、

 黒い染みのような影が立っていた。


それは未来の影とも、

 過去の恒一とも違う。


もっと鮮明で、

 もっと鋭く、

 そして――

 恒一と同じ“今”の匂いをまとっていた。


影が低く呟く。


「……あれは……

 “現在の影”……!」


ナギは目を見開く。


「過去が救われ、未来が揺らいだことで……

 “今の恒一”の可能性が分岐した……

 その“もうひとつの現在”が形になったんだ……!」


リオは剣を構える。


「つまり……

 “今の恒一が選ばなかった今”ってことか……!」


エイルは震える声で言った。


「現在の影は……

 過去や未来よりも強い……

 だって“今”は、

 まだ確定していないから……!」


残響は静かに頷く。


「現在の影は、

 “今この瞬間の迷い”が生んだ存在だ。

 恒一……

 お前の心の揺らぎが形になっている。」


◆現在の影の言葉

現在の影は、

 恒一と同じ姿で、

 しかし冷たい瞳で言った。


「つなぎ手。

 おまえは過去を救い、未来を語った。

 だが――

 “今”を選んだことは一度もない。」


恒一は息を呑む。


「今を……選んでない……?」


「そうだ。

 おまえはいつも“誰かのため”に選んできた。

 少女のため。

 影のため。

 リオのため。

 エイルのため。

 ナギのため。

 世界のため。」


影は眉をひそめる。


「それの何が悪い……!」


現在の影は影を見下ろす。


「悪くはない。

 だが――

 “自分のために選んだことがない”のは問題だ。」


恒一は言葉を失った。


現在の影は続ける。


「つなぎ手。

 おまえは未来を選ぶ資格があると言った。

 だが――

 “今の自分”を選べない者に、

 未来を選ぶ資格などない。」


◆恒一の迷い

恒一は拳を握りしめた。


確かに――

 自分はいつも“誰かのため”に選んできた。


少女を助けたのも、

 影を救ったのも、

 ナギに名前を与えたのも、

 未来を選ぼうとしたのも。


全部、誰かのため。


自分自身のために選んだことは――

 ほとんどなかった。


ナギが静かに言った。


「恒一……

 あなたは優しい。

 でも……

 優しさは時に“自分を消す”ことになる。」


影も続ける。


「お前は……

 自分のために選んでいいんだ。

 俺たちは……

 お前が“自分の物語”を選ぶのを見たい。」


リオは拳を握りしめた。


「恒一さん……

 俺たちは……

 あなたの“今”を応援したいんです!」


エイルは涙を浮かべながら言った。


「恒一さん……

 あなたが“自分のために選ぶ今”が……

 未来をつなぐ力になるんです……!」


◆現在の影の挑戦

現在の影は手を広げた。


「さあ、つなぎ手。

 “今の自分”を選べ。

 過去でも未来でもない。

 誰かのためでもない。

 おまえ自身のための選択を。」


恒一は深く息を吸った。


胸の奥で、

 何かが静かに脈打つ。


「……俺は……

 “今”を選ぶ。」


現在の影が微笑んだ。


「ならば――

 証明してみせろ。」


世界が揺れ、

 現在の影が恒一へ向かって歩き出した。


“今”を選ぶ戦いが始まる。

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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