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第32話 物語の核と、“世界とつなぎ手”の境界

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

裂けた黒い円の奥――

 そこに浮かんでいたのは、

 まるで心臓のように脈動する“光の球体”だった。


それは世界の中心。

 すべての物語が生まれ、

 すべての物語が帰る場所。


“物語の核”。


その表面には、

 無数の名前が刻まれていた。


英雄の名。

 魔王の名。

 旅人の名。

 案内人の名。

 勇者の名。


そして――

 その中心に、ひときわ強く輝く名前。


「恒一」


リオが息を呑む。


「恒一さんの……名前が……

 物語の核に……!」


エイルは震える声で言った。


「……つなぎ手は……

 “物語の中心に最も近い存在”……

 だから……

 核に名前が刻まれているのです……」


残響は静かに頷いた。


「つまり……

 恒一は“世界の物語そのもの”に繋がっている。」


◆物語を壊す者の焦り

物語を壊す者は黒い筆を握りしめ、

 核を睨みつけた。


――つなぎ手……

――その核に触れれば……

――おまえの物語は世界と同化する……


恒一は影を見た。


「同化……?」


影は苦しげに言った。


「恒一……

 物語の核に触れたら……

 お前は“個人”じゃなくなる……

 世界の物語そのものになる……

 つまり……

 お前という存在が消える……!」


リオが叫ぶ。


「そんなのダメだ!!

 恒一さんが消えるなんて……絶対にダメだ!!」


エイルも涙を浮かべる。


「恒一さん……

 あなたは……あなたのままでいてください……!」


物語を壊す者は静かに言った。


――つなぎ手。

――おまえが核に触れれば、

――世界は救われる。

――だが、おまえは消える。


――触れなければ、

――世界は壊れる。

――だが、おまえは残る。


――選べ。


◆つなぎ手の葛藤

恒一は拳を握りしめた。


「……世界を救うために、

 俺が消える……?」


残響が言った。


「恒一。

 それは“つなぎ手としての終わり”だ。

 案内人の書にあった三つの終わりのひとつ。」


影が震える声で言う。


「でも……

 お前は“第四の終わり”を選んだはずだ……

 終わりを抱えて進むって……

 消えるんじゃなくて……

 進むって……!」


リオが叫ぶ。


「恒一さん!!

 俺たちの物語は……

 あなたと一緒に進みたいんです!!

 あなたが消えたら……

 俺たちの物語も……!」


エイルは静かに言った。


「恒一さん……

 あなたは“つなぎ手”である前に……

 ひとりの人です……

 あなた自身の物語を……

 あなたが選んでください……」


恒一は目を閉じた。


胸の奥で、

 無数の声が響く。


影の声。

 リオの声。

 エイルの声。

 残響の声。


そして――

 少女の泣き声。


あの日の雨の匂い。


自分が選んだ“始まり”。


◆物語の核が語りかける

そのとき、

 物語の核が脈動し、

 恒一に直接語りかけてきた。


――つなぎ手よ。

――おまえは“終わりを抱えて進む”と選んだ。

――ならば問おう。


――“世界と共に進む”覚悟はあるか。


恒一は目を開いた。


「……世界と……共に……?」


核は続ける。


――同化は“消滅”ではない。

――“境界の消失”だ。


――おまえは“個”でありながら“世界”となる。

――世界の物語をつなぐ存在となる。


――それが“第五の終わり”。

――つなぎ手が辿り着く、

――物語の外側の終わり。


リオが息を呑む。


「第五の……終わり……?」


エイルは震える声で言った。


「……そんな終わり……

 案内人の書には……

 書かれていませんでした……!」


残響が呟く。


「書かれていない終わり……

 つまり……

 “つなぎ手が自分で作る終わり”……!」


◆つなぎ手の決断

恒一は核を見つめた。


「……俺が世界と同化したら……

 俺は俺じゃなくなるのか?」


核は答える。


――おまえは“おまえのまま”だ。

――だが同時に“世界の物語”にもなる。


――個と世界の境界が消える。

――それが“第五の終わり”。


影が叫ぶ。


「恒一!!

 そんなの……そんなの……

 お前が遠くに行ってしまうみたいじゃないか……!」


リオが涙をこぼす。


「恒一さん……

 俺……嫌です……

 あなたがいなくなるなんて……!」


エイルは震える声で言った。


「恒一さん……

 あなたの選ぶ道が……

 どんな終わりでも……

 私は……あなたを信じます……」


恒一は深く息を吸い、

 そして――

 静かに手を伸ばした。


「俺は……

 進む。

 終わりを抱えて、

 世界と共に。」


物語を壊す者が叫ぶ。


――やめろ!!

――つなぎ手!!

――それは“物語の呪い”だ!!


恒一の手が、

 物語の核に触れた。

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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