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第28話 影の書き換えと、“存在”を奪う白紙の世界

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

世界が――消えた。


線も、色も、音も、匂いも。

 すべてが白紙に溶け、

 ただ“無”だけが広がっている。


物語の外側。

 ここでは、存在すら曖昧になる。


その白い虚無の中で、

 恒一の影だけが、はっきりと立っていた。


影は振り返り、

 静かに、しかし確かな悪意を滲ませて言った。


「恒一。

 お前の物語を――

 俺が書き換える。」


リオが叫ぶ。


「やめろ!!

 恒一さんの物語は、恒一さんのものだ!!」


だが声は虚無に吸い込まれ、

 響きすら残らない。


エイルが震える声で呟く。


「……ここでは……

 “言葉”も“存在”も……

 意味を持たない……」


残響が前に出る。


「影……お前、何をする気だ」


影は微笑んだ。


「簡単なことだよ。

 恒一の“存在理由”を書き換える。

 そうすれば、物語を壊す者の目的は達成される。」


◆影の変質

影の身体は、

 もはや“恒一の影”ではなかった。


輪郭が揺らぎ、

 黒い線がほどけ、

 “物語の外側の闇”が混ざり込んでいる。


恒一は影を見つめ、

 静かに言った。


「……お前、影じゃないな」


「そうだよ。

 俺は“影の残滓”でも“影の本体”でもない。

 物語を壊す者が与えた――

 新しい影だ。」


「新しい……影……?」


「お前の物語を壊すために生まれた影。

 お前の“存在”を否定するための影。」


影は手を広げ、

 白紙の世界に黒い線を描き始めた。


線はゆっくりと形を成し、

 “恒一の姿”を描き始める。


「……何をしてる」


「お前の“別の物語”を描いているんだよ。

 お前が少女を助けなかった物語。

 お前がつなぎ手にならなかった物語。

 お前が誰にも出会わなかった物語。」


影は笑った。


「その物語が完成した瞬間――

 お前の存在は上書きされる。」


◆存在の上書き

白紙の世界に描かれた“別の恒一”は、

 少女を見捨て、

 雨の夜をただ通り過ぎていく。


リオが叫ぶ。


「そんなの……そんなの恒一さんじゃない!!」


影は冷たく言った。


「“物語の外側”では、

 どの恒一が本物かなんて関係ない。

 描かれたものが“真実”になる。」


エイルが震えながら恒一の腕を掴む。


「恒一さん……

 このままでは……

 あなたの物語が……消されます……!」


残響が影に向かって叫ぶ。


「影!!

 お前は恒一の“終わり”を抱えていたはずだ!!

 どうしてこんなことを――!」


影は一瞬だけ沈黙し、

 そして静かに言った。


「……俺は“終わり”を抱えていた。

 でも――

 終わりを抱えたまま進む恒一を見て、

 俺は“存在理由”を失った。」


恒一は息を呑んだ。


「……存在理由……?」


「影は“終わり”だ。

 だが、お前は終わらないと決めた。

 なら――

 俺は“お前を終わらせる存在”になるしかない。」


影の瞳は、

 悲しみと怒りと、

 そして深い絶望を宿していた。


◆影の本心

「恒一。

 お前が進む限り、

 俺は“影”でいられない。

 だから――

 お前の物語を壊すことで、

 俺は俺でいられる。」


恒一は影を見つめ、

 静かに言った。


「……お前も、救われたいのか」


影は震えた。


「救われたい……?

 違う。

 俺は“消えたくない”だけだ。」


白紙の世界に描かれた“別の恒一”が、

 ゆっくりと完成に近づいていく。


影が囁く。


「さあ、恒一。

 お前の物語は――

 ここで終わる。」


◆つなぎ手の反撃

その瞬間、

 恒一の胸の光が激しく脈打った。


エイルが叫ぶ。


「恒一さん!!

 “物語の外側”でも……

 あなたの光は消えていません!!」


リオが聖剣を掲げる。


「俺たちの物語も……

 恒一さんと繋がってる!!

 だから――

 消えない!!」


残響が恒一の背中を押す。


「行け、恒一。

 お前の物語は“白紙”じゃない。

 お前が歩んできた道が――

 お前の存在そのものだ。」


恒一は影へ向かって歩き出した。


「影。

 お前が俺の“終わり”なら――

 俺はお前を抱えて進む。

 壊させない。

 上書きさせない。

 俺の物語は――

 俺が選ぶ。」


影が叫ぶ。


「来るな……!!

 来るなぁぁぁ!!」


白紙の世界が揺れ、

 黒い線が崩れ始める。


恒一は影の前に立ち、

 静かに手を伸ばした。


「……一緒に行こう。

 お前も、俺の物語の一部だ。」


影は震え、

 その瞳に涙のような光を宿した。


「……恒一……

 俺は……」


その瞬間――

 白紙の世界が砕けた。

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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