第26話 物語の主と、つなぎ手の存在理由
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
影の本体が光の粒となって消えたあと、
物語の底には静寂が訪れた。
だが、その静寂を破るように――
コツ、コツ、と規則正しい足音が響いた。
闇の奥から現れたのは、
黒いローブを纏った人物。
その人物はフードを外し、
穏やかな笑みを浮かべて言った。
「はじめまして、つなぎ手。
私は“物語の主”――この世界の創造者です」
恒一は息を呑んだ。
「……創造者……?」
リオは聖剣を構えたまま後ずさる。
「この世界の……創造者……?」
エイルは震える声で呟いた。
「……物語の主……本当に……存在したのですね……」
◆物語の主の姿
ローブの人物――物語の主は、
人間のようでありながら、
どこか“物語そのもの”のような気配を纏っていた。
瞳は深い光を宿し、
声は静かで、しかし絶対的な力を感じさせる。
「驚かせてしまったかな。
だが、私はずっと君たちを見ていたよ」
「見ていた……?」
「もちろん。
つなぎ手の物語は、
この世界の“根幹”だからね」
恒一は眉をひそめた。
「じゃあ……影の本体も、
影の勇者も……
全部、お前が作ったのか?」
物語の主は首を振った。
「いいや。
私は“物語の始まり”を作っただけだ。
影は……物語が積み重なった結果、生まれた存在だよ」
◆影の誕生
「影は“未完の物語”の集合体。
私は物語を創ったが、
すべての物語が終わるとは限らない」
物語の主は静かに語る。
「終わらなかった物語、
途中で止まった物語、
誰にも読まれなかった物語。
それらが積み重なり、
“影”という存在が生まれた」
リオが息を呑む。
「じゃあ……影は悪じゃなかったんですか……?」
「悪ではない。
ただ“終わりを求めていた”だけだ」
恒一は影の本体が消える直前の声を思い出した。
――つなぎ手よ……ありがとう……
「……影は、救われたのか?」
物語の主は微笑んだ。
「君が“第四の終わり”を選んだからね。
影は初めて“終わりへ向かう道”を得たのだ」
◆つなぎ手の存在理由
物語の主は恒一の前に歩み寄り、
そっと手を差し伸べた。
「恒一。
君は“終わりを抱えて進む”という、
誰も選ばなかった道を選んだ」
「……俺はただ……
終わりたくなかっただけだ」
「それでいい。
つなぎ手とは、
“終わりを抱えたまま進む者”だからね」
恒一は目を見開いた。
「……それが……つなぎ手の本質……?」
「そうだ。
つなぎ手は、
終わりを恐れ、
終わりを抱え、
それでも進む者。
だからこそ、物語をつなげることができる」
エイルは静かに頷いた。
「……だから、恒一さんは……
影を救えたのですね……」
◆物語の主の目的
物語の主はローブの袖を揺らし、
空間にひとつの“扉”を生み出した。
扉は白く輝き、
その奥には新しい世界が広がっている。
「恒一。
君に頼みたいことがある」
「頼みたいこと……?」
「“物語の底”は、
影が消えたことで安定を失った。
このままでは、
世界の物語が崩壊してしまう」
リオが叫ぶ。
「そんな……!
影を倒したのに、まだ危機が……?」
「影は“結果”にすぎない。
問題は“原因”だ」
物語の主は扉を指差した。
「原因は――
“物語の外側”にある」
恒一は息を呑んだ。
「物語の……外側……?」
「そうだ。
そこに“物語を壊す者”がいる」
◆新たな敵の存在
物語の主は静かに告げた。
「その者は、
影とは違う。
終わりを求めるのではなく――
物語そのものを消そうとしている」
リオが震える声で言う。
「物語を……消す……?」
「そう。
影は“終わりたい”存在だったが、
その者は“始まりも終わりも消したい”存在だ」
エイルは顔を青ざめさせた。
「……そんな存在が……本当に……?」
「いる。
そして、影の本体が消えた今、
その者は動き出すだろう」
物語の主は恒一を見つめた。
「恒一。
君にしか止められない。
“第四の終わり”を選んだ君にしか」
恒一は拳を握りしめた。
「……行くよ。
影を救ったように、
今度は“物語そのもの”を守る」
物語の主は微笑んだ。
「ありがとう、つなぎ手。
さあ――
物語の外側へ」
扉が光を放ち、
三人と一人(残響)はその前に立った。
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