第22話 案内人の書と、つなぎ手の“選択”
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
闇の裂け目が閉じたあと、
その残滓からふわりと光が舞い上がり、
ひとつの古びた書物が姿を現した。
“案内人の書”。
エイルが震える声で呟く。
「……これは……
つなぎ手の“終わり”が記された書……」
書は勝手に開き、
最初のページに文字が浮かび上がった。
《つなぎ手の終わりは――
つなぎ手自身が選ぶ》
恒一は息を呑んだ。
「……選ぶ……?」
リオが不安げに尋ねる。
「恒一さん……選ぶって……どういう……」
エイルは書をそっと撫で、
静かに説明を始めた。
◆案内人の書の真実
「案内人の書は、
つなぎ手の“運命”を記す書です。
でも……運命は決まっていません」
「決まってない……?」
「はい。
つなぎ手は“終わりを抱えた存在”。
その終わりをどう扱うか――
それを決めるのは、つなぎ手自身です」
書のページがめくれ、
次の文が浮かび上がる。
《つなぎ手の終わりは三つに分かれる》
リオが息を呑む。
「影が言ってた……三つの終わり……」
エイルは頷いた。
「つなぎ手は、
“どの終わりを選ぶか”で世界の形が変わります」
◆三つの終わりの記述
書の文字が光り、
ページに三つの項目が浮かび上がった。
1.つなぎ手としての終わり
《世界の物語をつなぎ終え、
つなぎ手は“物語の外”へ還る。
その存在は世界から消える》
2.人としての終わり
《誰かの物語を守るために命を落とす。
つなぎ手は“英雄”として終わる》
3.物語の外へ出る終わり
《つなぎ手は物語を拒絶し、
世界の外側へ消える。
その終わりは“無”》
リオが震える声で言った。
「どれも……嫌だ……
恒一さんが消えるなんて……絶対に嫌だ……!」
エイルも唇を噛む。
「私も……そんな未来は望みません……」
恒一は書を見つめ、
静かに言った。
「……でも、選ばなきゃいけないんだろ?」
エイルは首を振った。
「いいえ。
“選ぶ時”が来るまでは……
選ばなくていいのです」
「時が来るまでは……?」
「はい。
つなぎ手の終わりは、
“影が完全に現れた時”に決まります」
◆影の“本体”の存在
リオが眉をひそめる。
「影って……まだ本体がいるの?」
エイルは静かに頷いた。
「はい。
今まで戦ってきた影は、
“影の意志”や“影の残滓”にすぎません」
「じゃあ……本体はどこに?」
エイルは書の最後のページを開いた。
そこには――
黒い円が描かれていた。
《影の本体は“物語の底”に眠る》
恒一は息を呑んだ。
「物語の……底……?」
「はい。
すべての物語が流れ着く場所。
“終わり”と“始まり”が混ざり合う場所です」
リオが震える声で言う。
「そこに……影の本体が……?」
「そして――
そこに、恒一さんの“終わり”もあります」
◆影の笑みの意味
恒一は自分の影を見下ろした。
影は静かに揺れ、
まるで“待っている”ように微笑んでいた。
「……お前は、俺に選ばせたいんだな」
影は答えない。
だが、その沈黙が肯定のように思えた。
エイルが恒一の手を握る。
「恒一さん。
あなたはまだ選ばなくていい。
影の本体と向き合うまでは……」
リオも聖剣を握りしめる。
「俺たちが一緒に行きます。
影の本体なんて……絶対に倒す!」
恒一は二人を見つめ、
ゆっくりと頷いた。
「……ああ。
影の本体を倒す。
そのうえで――
俺の終わりを選ぶ」
案内人の書が光り、
新たな文字が浮かび上がる。
《つなぎ手よ。
物語の底へ向かえ》
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