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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
外伝「出撃前夜」

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外伝1「幕間:彼女達の休日」②

 そんな訳で、早速突入……と思ったら、ゲート前には長蛇の列。

 軽く二時間待ちと言われて、さすがにゲンナリしていたのですが……。


 スタッフさんがわたくしのIDカードの中佐の階級章を目にするなり、こっそりと関係者用の別ゲートを案内していただきまして、大幅ショートカットに成功しましたの。


 さすが、わたくしです!

 

「凄いね……お飾りだと思ってたけど、階級章ってこんな使い方も出来るんだ……。あの行列に並ぶとか、その時点でもう帰りたくなってたよ」


「あら、ご存じなかったので? 尉官クラスはともかく、佐官ともなると民間人からは特権階級って認識されてるので、色々と優遇してもらえるみたいなんですの! 階級は大いに便利使いしろって、柏木様もおっしゃってましたわーっ!」


 ……ウソですけどね。

 たまたまスタッフの方が気づいてくれて、そんな説明をしてくれただけだったりしますの。


 まさに受け売り! 即売なのですわーっ!


「そう言えば、僕らは少佐で君は中佐相当なんだっけ。そうなると一応、上官殿って訳だね。……そう言う事なら、今日はプライベートだけど、一応上官殿の顔を立てて、君に任せてみるよ。初霜に任せたら、甘いものの食べ歩きで一日終わりそうだ」


「そ、そんな事ありませんよ? でも、まずはちょっと軽く食べながら、作戦プランを立てませんか? お腹減りました! ハイッ!」


 そう言って、食い入いるようにパンフレットを見ていた初霜さんが片手をビシっと上げて、お腹へってますアピール。

 

 そう言えば、わたくしも朝ごはんまだでしたの。

 ここは、やはりオシャレにトーストとかが乙女の朝って感じですわよねー!

 

「では、朝は優雅にモーニングトーストと言うのが基本ですから、ここにしましょう」


 そう言って、目の前にあった「ヨネダ珈琲」と言う所に入りますの。

 とりあえず、問答無用! てぃっ!

 

 

「……利根、僕としては朝は、ご飯とお味噌汁がいいな……。それに鮭の切り身! それが基本だろ?」


「わたし、このソフトクリームがいいですっ!」


 ……この二人、戦場から離れると途端にポンコツになるようですの……。

 一方は、メニューにない鮭定食とお味噌汁を要求、一方はデザートのアイスクリームを所望……。

 

 お店の方も、とってもお困りな様子なんですの……。


「お二人とも! お聞きなさいなっ! このお店では、午前中なら珈琲を頼めばトーストもタダで付いてきますの。これがモーニングの基本なのですわっ! そんな訳でモーニングみっつーっ!」


 三本指を立てながら、他の二人に有無を言わせませんの。

 ……わたくしはデキる女なので、初めての喫茶店でも、慌てず騒がず優雅になのですわーっ!


※※※※※※※※※※※※※※※

 

「利根さん、このあんこトースト! 最高ですねっ!」


 ……とても、嬉しそうな初霜さん。

 

 このお店のモーニングは、あんこバタートーストと言うまさかのスイーツ系。

 

 わたくしとしては、フレンチトーストとかお洒落なのを想像してたんですけど。

 思ってたのと、ちょっと違いましたの。

 

 でも、あんことバターの組み合わせって、意外と美味しいんですの。

 しかも、あんこはどんぶりにぎっしり山盛りサービスなので、塗り放題。

 カロリーとかは……まぁ、あまり気にしたら、ご飯が美味しくなくなってしまいますの。


 けど、盛り放題だからって、トーストの上にあんこてんこ盛りにして食べるのはどうかと思いますわよ? 初霜さん。


 ……トーストより、あんこ層の方が分厚いとかどうなのかしら?

 

「……雪風も! どうです? このあんこ盛りトースト! 一口どうぞっ!」


 雪風さん……初霜さんにあんこ特盛りトーストを勧められて、助けを求めるようにわたくしを見ていますわ。


「あ、ありがとう……。うん、僕は普通にバターだけのを食べるから……モガグガ……」


 ……初霜さんって……案外、人の話聞かない方みたいです。


 わたくしは、二人のお向かいに座ってるのですけど、お隣の雪風さんは一方的にやりたい放題されてます……。

 今もその口に、容赦なくトーストを……いえむしろ、あんこをねじ込まれて、黙らされてます。


 ……凄いですわ。

 あの雪風さんが、為す術ありません。


「人それぞれだから、あまりそうやって押し付けるようなのは、よろしくないのではありませんか? それに、せっかくの珈琲に、そんなドバドバ蜂蜜入れるのはどうかと思いま……」


 言い終わる前に、今度はわたくしの珈琲に容赦なくドバブリャ……と言う音と共に蜂蜜が……。

 

「ごめんなさい……ちょっと力加減間違えちゃいました」

 

 初霜さんを見つめ返すと、にこやかに微笑まれます。

 雪風さんは……ジト目でわたくしを睨んでます。

 

 その目は雄弁に物語ってますの!

 

 俺の女のやることに文句あんのかと。

 

 怖いですわーっ! きゃわわーっ!

 

 ……そう言えば、艦内の兵隊さん達の日常生活のワンシーンで、古参兵の食事にフケを混ぜ込んで意趣返しするフケ飯ってのが、ありましたわねーと……。


 わたくしは、そんな益体もない感想を懐きながら、珈琲風味の蜂蜜を飲み干すのでした。

 

 って……甘っ! し、試練です! これはっ! ですのーっ!

 

 

「二人共、和の心をもっと大切に思うべきだよ……日本人はお茶だよっ!」


「はぁ、お茶とおせんべ、いいですねぇ……」


 続いてやって来たのは、おせんべ屋さん。

 その場で焼いてくれて、抹茶のサービス付き。

 畳の座敷で、寛ぎながらの醤油おせんべと抹茶……組み合わせとしては抜群ですの。


「抹茶オレと羊羹グッドです! ……どうぞ、利根さん、おせんべに羊羹もきっと合いますよ」


 食べかけのおせんべの上に羊羹の切れっ端がドンっと!


 期待に満ちた初霜さんの笑顔に負けて、恐る恐る一口……。

 

 お、お口の中が……甘じょっぱいですわぁっ!

 

 

「アイス! アイス! アイスとっても美味しいですよっ!」


 今度は、ジェラートのお店……41種類ものフレーバーから好きな組み合わせを選べるのが売りなんですの。

 

 ああ、冷たくて美味しいかもですわー。

 わたくしは、メロンとイチゴとバニラの三色ミックス……素敵なお味に思わずウットリ。

 

「雪風さん、その味噌ジェラートってどうなんですの?」


 このお店、わざわざ人気ランキングを出してるのに、敢えてぶっちぎりの最下位を選ぶその姿勢。

 嫌いじゃありません。

 でも、正直傍目にも美味しそうに見えないのですが……。


「わ、和の心……お、美味しいと思うよ? たぶん」


 なんか、お味噌が頑張りすぎてるように見えますわ……斑になってて、茶色部分は拘りの生味噌ズイって書いてます。

 

 雪風の様子からすると……アウトみたいですの。


 さすが最下位ですわっ!


「この極甘練乳スペシャル! もう痺れますよ? どうぞ……あーん」


 あーんなんてされて、断れるほど、わたくしは強くありませんの。

 

 でも……初霜さん、これもアウトですわぁああっ!

 

 そんな貴女に、痺れますぅ! 主に舌がっ!

 

 

「ワッフル! ワッフル! おいひぃれす!」


「……柴漬けとお茶漬けが食べたいなぁ……」


 コテコテに練乳と蜂蜜がトッピングされたワッフル片手に遠い目をする雪風さん。

 一方初霜さんは、もう絶好調と言った様子。


 パンフにも『甘党の貴女にお勧め、超甘々ハニーミルクワッフル!』って書いてありましたけど、看板に偽りなしっ! ですのーっ!

 

 もう甘くて甘くて甘々で、どうしょうもありませんわー!


「……って、何で甘々スイーツ食べ歩きになってるんですのーっ!」


 わたくしとしたことが……すっかり、初霜さんペースでスイーツ食べ歩きになってましたの!


 しかも、甘味フルコースの連続で、ちょっと初霜さん基準のスイーツ感に慣れてきてる自分がいて……なんですのー!


 ですのー! ですのーっ! ですですのーっ!

なんだこりゃ……?

利根ちゃんパートは「ですの」でいっぱい。(笑)

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