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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
外伝「出撃前夜」

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外伝1「幕間:彼女達の休日」①

 わたくし、利根が示現体として稼働し始めて、早くも3日が過ぎましたの。

 

 早急なる戦力化をと言われて、雪風さんと初霜さんに一日20時間くらいの訓練、訓練、また訓練。


 柏木様と直に触れ合える……そんな願いを叶えるべく、本格稼働を受け入れたのですが……もうこんなにハードだなんて予想外。

 

 ……おまけに、あの二人の練度の高いこと、高いこと。

 

 シミュレーター上でも、十分ヤバかったんですけど……。

 実戦演習と言うことで、急造の標的艦に搭乗したお二人の相手をさせていただきましたが……もう別次元でしたの。

 

 わたくし、軽く36回ほど撃沈判定を受けましたの。

 

 初霜さん……紙一重の回避がどうのと言ってましたけど、納得致しました。


 cm単位の操艦で砲弾を避けた挙げ句、カウンターショットでバーベッド直撃、一撃轟沈判定とか、意味がわからないですっ!

 

 わたくし、追いつける気が全くしませんけど……。

 お二人にボッコボコにされた後、インセクターのエミュレート艦を相手にしたら……もう面白いようにパカパカ当たるんですの。

 

 ちょっと、弾道計算と乱数回避を組み合わせるだけで、被弾確率も一桁台まで低下。

 

 ピンポイントで艦橋炎上、バーベット直撃だの、弾薬庫直撃狙いなんて事もありませんから、わたくしの利根の防御力とダメージコントロールなら、一発二発程度なら余裕で耐えられましたの。

 

 これくらいが普通とか言って、10対1とか無茶な戦力比想定でしたけど、蓋を開けてみれば余裕でしたの。

 

 ……なんだかんだで、わたくしも……それなりに戦える程度にはなってるみたいです。

 

 正直、あの二人を相手にして、自信喪失しかけていたんですけど、訓練教官役のレベルが色々おかしい……そう言うことのようです。

 

 今のわたくしであれば、同格の重巡種と正面から殴り合っても勝てますし。

 有人艦相手でも負ける気がまったくしません。

 

 僅か三日で、ヒヨッコ新兵のわたくしをここまで鍛え上げる……わたくし、あの二人を心から尊敬しちゃいましたの……面と向かっては、絶対言えませんけど。

 

 さて、今日は……と言いますと。


 なんでも、わたくしの本体、利根にもシミュレーションや演習から、複数の問題点が発覚したとかで、急遽改修を行うと言うこととなり、暇になってしまいましたの……。


 シミュレーターシステムも、駆逐艦初霜の大改装とそのデータを反映させるために、アップデートが必要ということで、おやすみ。

 

 たまたま、この斑鳩基地に慰問船……大型ショッピングモール船なんてのが入港したと言うことで、社会勉強をしてこいと言う話になりまして……。

 

 でも、柏木提督様がエスコートしていただけると言う事なので、不安は全然ありませんの。

 

 むしろ、これは世に言うおデートと言うものっ!

 

 どうしましょう……わたくし、ドキドキが止まりませんわーっ!

 思わず、いつも手にしてる傘をブンブン振り回して、ぴょんぴょん飛び跳ねていると道行く人から、物凄く見られてますの……。


 あらやだ……わたくし、淑女を自称してますのに、お恥ずかしい。

  

 ちなみに、わたくしのいるところは、慰問船「陽華堂参号」の入船ゲート前。

 ここ斑鳩基地も、後方の支援基地と言うこともあって、非戦闘員も相応の人数の方が詰めてますし、人によっては、ご家族共々赴任と言う事もあります。

 

 斑鳩基地にも、娯楽や飲食店などもあるにはありますけど、所詮は軍事基地なので、たかが知れています。

 そこで、このような慰問船が比較的安全な基地を巡って、ちょっとした贅沢や娯楽を提供して回っていて、軍人やその家族にとっては、楽しみとなっているとの事ですの。


 確かに、インセクターとの戦いの戦況は良くはないのですが、だからと言って、下を向いていては経済も萎縮してしまいますからね。

 

 なので、家族連れの方も多いのですけど、一応出入りにはIDチェックとかありますので、もうゲート前はごったがえしてます。

 

 ……そんな所で、一人で飛び跳ねてたりしてたら、そりゃあ、目立ちますわね。

 

 けど、ここでうろたえたら、もっとみっともないのです。

 とりあえず、にっこり笑ってペコペコとお辞儀でもしておけば、大抵何とかなりますの!

 

 案の定、こっち見てた人達も笑顔で会釈……パフォーマーか何かと思われたのかしら?

 

「……何やってるのさ……利根」


 振り返ると、白い上着と灰色のスカートのセーラー服姿の雪風さんと、真っ黒のセーラー服の初霜さん。

 

 とっても、対照的なお二人。

 そう言えば……この二人も、暇を出されてしまったのですよね。

 

 雪風さんなんかは、一日だって無駄には出来ないって言ってましたけど……。

 お休みは大事……だと思いますの。

 

 初霜さんと目が合うと、ニッコリ微笑まれてしまいます。

 

 ……雪風さんは、鬼軍曹みたいな方ですけど、初霜さんは当たりも柔らかで、物腰が丁寧なので、好感持てます。

 この方……絶対、怒らなさそうですわ。

 

 と言うか、怒っても可愛いとか、そっち系のような気がします……。

 

 ……この二人がなんで、仲良くしていられるのか……とっても不思議なんですけど。

 尖ったナイフのような雪風さんと、マシュマロみたいな癒し系の初霜さん……案外、いい組み合わせなのかもしれませんね。

 

「……うふふ、実は柏木様とおデートなんですの!」


 日傘をクルクルと弄びながら、そう告げると初霜さんと雪風さんが怪訝そうな顔で、お互いの顔を見合わせます。

 

「そうなんだ……何か話がちがうよ? 初霜」


「そ、そうですね……利根さんは、そのように聞いてるんですか?」


 困ったような様子の初霜さん。


「ま、まぁ……デートと言うのは、語弊があるかもですけど……。柏木様にエスコートしていただいた上で、慰問船を見て回ると言われてますの……。わたくし、こう言うの初めてでして……一人だとどうして良いか解りませんの」


「……すみません、利根さん……そのエスコート役っての……。たぶん、わたし達の事だと思います。柏木提督、上層部との会議があるとかで、わたし達だけで楽しんで来いって言われてまして……聞いてません?」


 ……がーんっ!

 なんですの……それっ! き、聞いてませんの……。


 思わず、膝から力が抜けて、うな垂れてしゃがみ込んでしまいました。

 

「……この様子だと、聞いてなかったみたいだね……どうしよう」


「だ、大丈夫です! わたし達もこんな慰問船なんか入ったことも無いですけど、このわたしに抜かりはありません! さっきそこでパンフレットもらってきたんで、ここはひとつ……三人で仲良く周りましょう!」


「……僕も付き合わないと、駄目なのかい?」


「駄目です! これも任務って言われたじゃないですか! 見てください……これをっ! ケーキにドーナツ、アイスクリーム! 基地の喫茶室とか売店のとは訳が違います! 選り取りみどりです!」


 ……そう言って、初霜さんがパンフレットを見せながら、熱弁を振るい始めましたの。

 

「雪風さん……そんなに、そのスイーツと言うのは美味しいので?」


 延々とスイーツの魅力について、語り始めた初霜さんを横目に、雪風さんに囁いてみましたの。


「そう言えば、君は目覚めてから連日訓練三昧だったっけ……。実は彼女……柏木提督に喫茶室で色々甘いもの食べさせてもらってから、ずっとこんな調子なんだ。……この慰問船だって、道すがらネットワークで色々調べてたみたいでね。凄く楽しみにしてたみたいなんで、この際、諦めて付き合ってくれ……」


 ……初霜さんの以外な一面を見た思いですの。

 けど、柏木提督も正式に作戦司令官に任命されて、とっても忙しいのも解ってます。


 それに、わたくしも実はちょっと楽しみでしたの。

 

 可愛いお洋服とか、アクセサリーとかも売ってるそうですし。

 ファンシーショップってのがあって、わたくし的注目株は、わたくしの身長大のビッグくまさん!

 

 その素敵可愛らしいデザインに、わたくし一目惚れ。

 

 それに考えてみれば、わたくし……重巡洋艦ですので、正式に中佐の肩書もありますの。

 つまり、この二人の上官!

 

 ……であれば、休日に部下を楽しませるのも、わたくしの上官としての務め!

 訓練では、ヒヨッコ扱いですけど、この二人を見返すチャンスですの!


 どう見ても、オシャレとか疎そうですし……ここは二人と違って、大人のレディ……重巡洋艦として!

 ……利根のちょっといいトコ見せちゃいますの!

 

「ふふん……そう言う事でしたら、このわたくしがお二人をエスコートして差し上げますわ!」


 そう言って、腰に手を当てて、胸を張る……お二人とも声も出ない様子。


「……君、さっき一人だとどうして良いか解らないとか、言ってなかった?」


 さすが雪風さん、良く聞いてましたわね……けど、こう言うときは……。


「気のせいですわ! ……ささ、お二人とも参りましょう!」


 きっぱりとそう言って、わたくしはお二人の手を取るといざ突撃!

 わたくし、目的が定まればまっしぐらなのですわーっ!

ちなみに、利根パートのナレーション、及び利根のCVは新井里美で。

とあるの白井黒子の人。(笑)

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