表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第二部「折り重なる世界」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/214

第十二話「戦闘空母信濃! 抜錨しますっ!」⑤

-----------------------------------------------------------

第十二話「戦闘空母信濃! 抜錨しますっ!」⑤

-----------------------------------------------------------


 続いて、スタジオには、戦術マップと呼ばれる普段リビルダーの指揮官達が使う指揮管制モニターの映像が表示される。

 

「さて……戦場は、このエーテルロードサブストリームL25区画を独占する形となっております。両陣営ストリームの両サイドが出撃拠点となっており、現状、流れを横切る形のクロスストリーム戦となっております。御覧ください……これが戦場をモニターする戦術マップです!」

 

 先程までの熱狂的な気分から切り替えると、サブ画面に戦術マップを表示する。

 そこには、各艦の配置……及び、エーテル流体の流れのパターンなどが表示されている。


 なお、我々中継クルーや観客の乗った中継船や観客船は、数百キロ離れた安全圏で観戦している。

 戦場には、カメラ搭載の小型船や中継カメラドローン、合計100台以上展開しているのですが、どれも自律無人機なので、彼女たちの周囲には合成人間も含めて、誰一人存在しない。


 可能ならば、スタッフの乗船を我々も希望したのですが……。

 信濃ちゃんの「……死にたいの?」の一言で却下されました。


 ……まぁ、生身の人間では対空機銃の一弾で即死しちゃいますからね……。

 実弾演習ともなると、容赦の無い火力の応酬で、艦のどこにも安全な場所なんてない……との事で、まぁ、安全第一でございますな。


「まずこの青い大きな光点……ご覧のように信濃ちゃんのアイコンが表示されているので解りますね? これが空母信濃……彼女は下流側へと進みながら、秋茜を多数展開……秋茜はまっすぐに二つの赤い光点……武蔵とビスマルクを目指しているようです!」


 全員、アニメ調のフェイスアイコンで表現されているので、本来無機質なはずの戦術マップもなんとも可愛らしい雰囲気だった。

 ちなみにフッドさんの現在地は、敵味方両方とも見失っている状態なので、アイコンも欄外に置かれています……。

 

「あら……意外ですね……。空母による航空攻撃のセオリー通りなんですね。てっきり、信濃も戦闘空母ギミックで変形して、突っ込んでくるかと思ったんですけどね」

 

「はっ! いきなり突撃に突撃で応えて、殴り合っての決着とか面白くねぇだろ……それにうちもおたくもお互いの戦闘機がどこまで戦えるか気になるだろ。どちらも黒船の飛翔体相手を想定してるにも関わらず、全く違うアプローチで異なる戦術戦闘機が出来上がった。コイツは見ものだぜ……さて、武蔵とビスマルクはやや上流を目指しながら、機動砲を展開か……まずは信濃航空隊の第一撃を迎撃し、然るべき後に流れに乗って一気に突撃に移る……そんな所だろうな。確かに、小細工は抜きってところか……まぁ、上等じゃねぇか」

 

「なるほど……武蔵、ビスマルク側としては、この初撃の航空攻撃を如何に凌ぐかということと、姿を消しているフッドがどう動くか? この二点に尽きるという事ですね!」

 

「確かにそうですね……。それにしても、空母による哨戒網を形成された分、索敵能力はこちらが不利って事だけど、フッドの隠蔽システムって……それどうなってるのかしら? 武蔵とビスマルク……どちらも最新のエーテル空間用レーザーレーダーシステムを搭載してるから、見つけようはあるはずなのだけど……」


「フッドは機動力と火力はあるんだが……。巡洋戦艦だけに防御力には難があるからな……。だからこそ、光学ステルス性能を付加させてもらった。ステルスってもレーダーや視認を誤魔化す程度だから、黒船相手にどこまで通じるかは解らんが……。この様子だと、レーザースキャンシステム程度であれば、十分機能しているようだな。フハハハっ! 見えない相手には戦艦の重火力と言えど対応する術はあるまいて!」


「戦艦クラスを光学ステルス艦として運用するって言うのねっ! くっ! その発想は無かったわ……流石にやるわね! 光学迷彩相手では、レーザースキャンシステムでは、分が悪いっ! ぬかったわっ!」


「ふははっ! お褒めに預かり、恐縮だ……だが、黒船は元々ステルス性能が高い……目視と電探以外の索敵手段も開発していかないとな。オタクらもそう言う地味な所を疎かにしたらいかんぞ? まぁ、レーザーを使った光学索敵システムは悪くない発想だがな。エーテル空間の空間多様性は複雑怪奇だ……もう少し煮詰めれば実用になるかもしれんな」


「そうね……アドバイス、ありがとう……。今後の参考にさせていただくわ。さすが、伊達に独力で黒船相手に戦闘ふっかけてたような武闘派企業は違うわね。実戦経験の差は認めざるを得ないわ」


 ……この二人、立場上ライバルなのだけど、実は意外に気が合うんじゃなかろうかと。

 先程まで火花をちらしていたのに、技術談義で勝手に盛り上がっている様子だった。

 

 ひとしきりトークを終えると、スポットは対する戦艦武蔵。


 撃つ側、撃たれる側……この臨場感溢れる中継の演出の妙技は、稀代の演出家リック・ロージャン氏に依るもの。

 

「ふん! さすが信濃、本職の空母だけはあるな。見事なまでの機体統制だ。それに……索敵機による警戒網か……実に手際が良い。すでにこちらは補足されていると言うことか……ビスマルク! 敵機見ゆっ! 来たぞ! 確かにこちらは空戦なんて素人だが……甘く見るなよ! 全砲塔、各銃座! 対空戦闘用意! 主砲ッ! 三式弾準備っ! Type-Rは三式弾で編隊が崩れた隙に一気に半包囲陣形を取り、アウトレンジで敵機を殲滅せよ! 打ち方ー! 始めっ!」

 

 武蔵嬢の掛け声とともに、戦艦武蔵の46センチ砲が火を噴く。

 その光景は凄まじく、エーテル流体面が衝撃波で大きな波紋を描く……安全距離で中継しているドローンも衝撃波に巻き込まれて、画面が激しく揺れる。

 

 お茶の間では、発射前の警告ブザー音も含めて、その轟音が3D音声で再生されているはずだった。

 一拍ほどの間を置いて、秋茜の編隊の前に紅蓮の華が立て続けに開く。


「す、凄まじい迫力っ! これが20世紀最強と言われた大和級戦艦の46センチ砲! 中空に咲いた紅蓮の華! なんと! なんと! 凄まじくも美しい光景なのでしょうかっ! この圧倒的火力の前には、さしもの秋茜もひとたまりもないのではないでしょうかぁっ!」

 

「はんっ! ……あめぇな……こちとら、黒船のアホみてぇな対空砲火を強行突破する前提で作ってんだ。こんな程度で落とされる訳がねぇ……そうだろ? 信濃ちゃんよっ!」

 

 カドワキ氏の余裕の表情と、不敵な笑み。

 モニターの向こう側で、やはり不敵に微笑む信濃ちゃん。

 

 徐々に煙が晴れると、秋茜の真紅のボディが次々とその姿を見せる。

 

 数機ほど、煙を吹いているようだが……落とされた機体は……皆無ッ!

 

「こ、これはッ! あの砲火を平然とくぐり抜けたのかっ! 何というタフさっ! 秋茜! す、凄いぞっ!」


「三式弾ってさ……言ってみれば、ただの打ち上げ花火みたいなもんなんだよね。もちろん、ゼロみたいなヤワな機体じゃひとたまりもないけど、秋茜は重装甲と冗長性に重きを置いた防御重視の重戦闘機なのよね……エンジンがかたっぽ止まったって、翼がもげたって飛び続けるっ! 三式弾程度……話にならないわよっ! ……さぁっ! 武蔵っ! 驟雨のごとく降り注ぐロケット弾! まずは、挨拶代わりよっ! 避けれるもんなら避けてみろっ!」

 

 秋茜から一斉にロケット弾が放たれ、それはまっすぐに武蔵めがけて降り注ぐッ!

 

「ふん、そんなまっすぐにしか飛ばない物をそんな距離で撃って当たるとでも思っているのか! 緊急加速ブースター起動っ! 全開加速! いけぇっ!」

 

 武蔵の艦尾部に増設されていたロケットブースターが点火!

 一気に増速する事で、ロケット弾の射線を掻い潜る……ロケット弾は武蔵の遥か後方へと向かう!

 

 これは……上手いっ!

 

「あ、こんにゃろっ! うちとおんなじもん積みやがったなっ! エスクロン、てめぇら堂々とパクってんじゃねぇぞ! 訴訟だ訴訟っ! 訴えてやる!」


「あら……パクリなんて失礼な……やってる事は似たようなもんだけど、使ってる技術、仕組みは別物です! そっちのは固体燃料だけど、こっちは独自開発の二液混合液化燃料方式ロケットなのよ……。アドモスさんの特許とかには一切触れてないので、ご安心を……我が社の法務部を舐めないでね」

 

 また技術者同士が不毛な争いを続けているのだけど、それはそれ。

 

 けれども、全弾ハズレが確定したように見えるのにも関わらず、信濃ちゃんは不敵な表情を崩さない。

 

「ふふっ……武蔵! あんたが避けるってのは織り込み済み! むしろ、増速しなかったらどうしようって思ってた! ジャストタイミング……Shoot Down! ドーンッ!」

 

 楽しそうに信濃ちゃんが刀を振り下ろすのと同時に、ロケット弾が一斉に真下を向き、一斉に加速!

 

「なっ! まさか……私の増速を読んでいたのか!」


 武蔵さんの驚愕の声と共に、モニターがフェイドアウト。

 俯瞰映像では、ロケット弾の集中砲火に包まれる様子が克明に映っていた!

 

「き、決まったぁ! 何と言うことでしょう! 武蔵がっ! 炎上しているっ! 今のは一体……外れると思ったロケット弾がいきなり真下へ向かいましたが……何が起こったのでしょう! カドワキ氏、これはちょっと説明していただかないと! まさかエーテル空間戦用の誘導装置の開発に成功したのですか!」

 

「さすがに、そこまで上等な代物じゃねぇよ……。高速飛翔体に誘導装置積むとどうしてもエーテル大気との摩擦電磁パルスで電子回路がイカれちまう。こいつは先端部に巻きつけた指向性爆薬を機械式時限信管で起爆して、強制的に飛行コースを捻じ曲げるって代物だ。先読みによる起爆タイミングがキモだからな……大規模並列演算能力を持った空母頭脳体にしか出来ないスゴ技なんだぜ?」

 

「なるほど……つまり、信濃ちゃんは武蔵さんがあのタイミングで増速すると読み切った上で、予め起爆タイミングを調整していたと……そういう事ですね? カドワキさん」


「そう言う事……あのお嬢ちゃん、ああ見えて結構な出来物なんだぜ? うちの秋茜にしたって、彼女の意見を全面的に取り入れているからな……」

 

「カドワキさん、解説ありがとうございます! ……視聴者コメントでは、武蔵ファンの方々の悲鳴のようなコメントが並んでいます! 武蔵……まさか! まさかっ! このまま終わってしまうのか! どうなのか!」

 

「……カドワキさん、勝ち誇るのはまだ早いと思いますよ。私、言いましたよね? 戦艦を甘く見るなって……ジョニーさん、ここからですよ!」

 

 ロケット弾の爆炎が晴れると、アレだけ盛大に炎上していたにも関わらず、ほとんど無傷の武蔵がその威容を見せつける。

 

「おおっと! これは……あれだけの集中砲火にも関わらず! 武蔵は無傷だぁっ! 何ということでしょう! これが大戦艦武蔵! 圧倒的な防御力! さすが不沈艦と言われただけのことはある!」

 

「信濃よ……今のはちょっと驚いたぞ。だが……いかんせん軽いな……その程度の花火では、我が武蔵の装甲は射抜けぬぞ? 被害状況は……センシティブ系と対空兵装の一部が破損したか……まぁ、さしたる問題ではない。ビスマルク! そっちはどうだ?」

 

「問題なしよ……信濃ちゃん、私は始めっから狙う気なしだったみたいだし……。それに……この機動砲……確かに当たらないけど、攻撃ポジションに付けないように牽制するには十分。そっちの赤とんぼも結構、イイ装甲してるみたいだけど、流石に70mmが当たれば一撃じゃない」

 

 言いながら、ビスマルク麾下の機動砲の放った一発が秋茜に直撃し、一撃で粉砕する。

 さすがに、駆逐艦を一撃で沈めるほどの火力……秋茜の防御力もかなりの物のようだが、70mmレールガンが直撃すれば一撃必殺!

 

 エスクロン社の「Kazakami」も防御力はかなり高いようで、秋茜の機関砲の直撃でもなかなか落ちない。

 けれども、機動力については秋茜の方が上らしく、複数機で当たることで「Kazakami」も一機、また一機と落とされていく……。


 もっとも、武蔵とビスマルクは機動砲の射撃は当てにせず、自前の対空砲火網に追い込んで、撃墜しているようで、全体的には互角……。

 戦艦の装甲を撃ち抜く決定打に欠ける信濃側が徐々に押されている印象だった。

 

「さぁ……どうやら、戦線膠着のようです! どうする信濃ちゃん! さすが戦艦武蔵ッ! ……その底力は計り知れない! まさに、立ちはだかる黒鉄の城壁の如しだーっ! このままでは、為す術無く押し負けてしまうぞー! それとも何か、必勝の秘策があるというのでしょうか! ……と言ったところで、ここでCMに入らせていただきますっ! チャンネルはそのまま、チャンネル667! 667をキープでお願いしますっ!」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 現在、2chRead 対策で本作品「宇宙そら駆けるは帝国海軍駆逐艦!」においては、

 部分的に本文と後書きを入れ替えると言う対策を実施しております。

 読者の方々には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願いします。 

                  Copyright © 2018 MITT All Rights Reserved. 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




さて、なんだかヘンテコなノリで始まった第二部。

CMはそのままでー! なんて引き、ほんとバラエティ番組のノリです。(笑)


今回、お互い新兵器の応酬による技術力勝負みたいな感じです。


なにぶん、信濃ちゃん達戦闘艦頭脳体は大和砲がブリッジに直撃しようが、服が脱げて煤ける程度で済む上に、艦自体も轟沈しても一週間もあれば再建出来てしまうので、割りと容赦ない実弾実戦形式でやりあってます。


なお、次回は再び舞台が飛んで、第一部の続き。

島風ちゃん編を予定しています。


第十三話「深く静かに未知との遭遇」


タイトル、混ぜるな危険(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ