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第十二話「第九潜行艦隊」②

 空間投影モニターに、工廠っぽい雰囲気の天井や壁、潜行艦が浮上状態で浮かんでいるのが映し出される。

 バタバタと、黒髪のショートカットのスクール水着みたいなのを着た浅黒い肌の少女が出て来て、嬉しそうに笑う。

 

「おお、島風じゃない。おひっさーっ! どうしたの?」


「ヨーコ! 誰からの通信? 私にも見せてっ!」


 ……その横から、同じ顔をした肌の白い茶髪のツインテールが顔を出す。

 こっちは、水着じゃない……白いセーラー服みたいなカッコをした娘。

 

 ……桜蘭伊400のイオン。

 まぁ、桜蘭帝国との前哨戦で、派手に暴れまわってくれたヤツだ。

 

 今では、すっかりこっちの世界が気に入っちゃって、第9艦隊でお世話になってるって話だったけど。

 ヨーコと並ぶと、ほんと双子みたいだ。

 

 あの時は、アタシらも最終防衛ライン受け持ちだったけど、その前にすでに伊400系っぽいのと交戦、撃退してたから、戦っても勝ててたと思う。

 

 もっとも、アレ、飛行機出される前に、アタシの勘で機雷沈めたら、運悪く触雷して一発で沈めちゃったんだよね……。

 

 でも、実際島風とハーダーなんて、精鋭揃ってて、結構危うかったみたいだし、当時はエーテル空間戦闘機の性能が桜蘭の方が高かった上に、流体面下からでも撃てる特殊荷電粒子砲まで装備してたって話だった……。

 

 普通に戦ったらちょっと解らなかった……まぁ、要らないことは黙っとくけどね。

 

「ヨーコ、それにイオンも久しぶりね。実はグエン提督がそっちの佐竹提督と内緒話したいみたいでね。ちょっとアンタとの共鳴通信回線使わせてもらうけど、いいよね?」


「ほぅほぅ……なかなかどうして、島風さん耳が早いね……さては、あの件だね? ところで、そこのドレス姿の美人さん……もしかして、噂の遥提督? シュバルツの大艦隊相手に、島風達を指揮して、大勝利に導いたって……。しかし、これはまた……イオンどう思う?」


「……どう思うって……。ちょっとこれは我々では歯が立ちそうもないわね……。悲しいことに、私達……胸のサイズまで一緒……たぶん、考えてることも一緒……」


 言いながら、揃ってため息を吐きながら、自分達の控えめな胸を撫で回して、その視線は揃ってアタシの胸に……。


 この娘達、揃いも揃ってぺったん胸……お前らもかっ!

 

 無いなら、無いでそんなもん気にするなって言いたいんだけど。

 それ言うと、持つものの驕り……とか言われちゃうんだよね……。

 

 結論、とりあえずスルーッ!

 

 腕組みして、モギューッと押しつぶしておく。

 ほんと、何とかなんないかな……コレ。

 

「……あはは、どうも。えっと、佐竹少将……そちらの提督と色々お話をしたくって……お取次ぎをお願いしようかと……。あ、グエン提督からの連絡と言えば、話も早いと思いますよ。本人も目の前にいますし」


「二人共、胸のことで遥提督をいじっちゃ駄目よ。これはこれでそれなりに苦労してるみたいだし……そりゃ、私も羨ましいって思うくらいのご立派様だけどさ。グエン提督や永友提督も、その実力を高く評価してる凄腕の指揮官なんだから、まずは敬礼っ! 戦闘艦の頭脳体としては、武勲誉れ高き指揮官には、敬意ってモンを見せるのが礼儀でしょ!」


「「はいっ! 失礼しましたぁっ!」」


 揃って、ビシッと敬礼。

 声も敬礼も、一糸乱れぬって感じで……ホント、同位体ってのは、仲いいとこうなるんだなぁ。

 

 同位体って、戦場でもお互いの意思や状況が何となく解るとかで、特に潜行艦ではその意識同調と言えるものが恐ろしく有用なのではと言われ、その研究も兼ねて、第9艦隊に呼ばれたと言う話だった。

 

 それと……島風、ナイスフォローッ!

 

 と言うか、島風もそれなりのサイズなんだから、羨ましがるなよ……。

 アタシ的には、島風くらいの大きくも小さくもないサイズが、ベストだと思う。

 

「では、両名とも! 佐竹提督へグエン提督から秘匿回線経由での極秘連絡ありと報告っ! 駆けあーしっ!」


「「りょ、了解ーっ!」」


 二人がバタバタとフェイドアウトすると、再びドタドタと足音が響き、頬のコケたサングラスの中年が顔を見せる。

 モミアゲを伸ばした鳥の巣みたいなテンパー頭……なんか古い劇画漫画の主人公か、昔の刑事ドラマの主人公みたい。


 所謂昭和のセンス……こう言うのも、ちょっとありかなー。

 

「なんなんだよ……まったく。おお、島風ちゃんじゃねぇか。グエンの野郎からの連絡じゃなかったのか? それに、隣の巨乳ちゃんは誰だ? 見ない顔だが……どっかで見たこともあるような気もするな」


「よぉ、佐竹の旦那……ちょっとアンタに用事があってな。アンタの仕事に関係するちょっとした内緒話ってところなんだが……わりぃけど、ちょっと付き合ってくれねぇか?」


 グエン提督が顔を見せると、向こうも破顔する。

 

 割と仲がいいのかもしれないね。

 

「へへっ、そうかそうか! まぁ、ヨーコの回線使うくらいだから、上には黙っときたい話ってことだな。いいぜ、俺とアンタの仲だからな……。アンタにゃ色々と借りもある。どうせ、今は調査に出したハーダーとアルバコアの報告待ち中で暇だったからな……いいぜ、付き合ってやるよ」


 言いながら、懐からジッポーライターとタバコを取り出して、美味そうに燻らせる。

 後ろで、ヨーコが仏頂面で、禁煙とデカデカと書いてある張り紙をじっと見てるけど、どこ吹く風と言った様子。

 

 まぁ、第9の司令官なんだしねー。


「まぁな、そういやアンタのモニタリングシステムはどうなってんだ? まぁ、その辺は遥ちゃんがなんとかしてくれるらしいし、アンタの艦隊の性格上、あんなモン邪魔にしかならんだろう?」


「ほほぅ、噂の天風遥提督って、そこの巨乳ちゃんだったのか。銀河連合の個人データベースから、綺麗さっぱり個人データ消しちまってたみたいだから、タダもんじゃねぇとは思ってたがな。まぁ、俺のモニタリングシステムなんて、そんなもんとっくに外しちまってるよ。なんか知らんが、裏の特務の奴らがまとめて裏切ったとかで、俺達にその真似事やれって話が来ててな。そんな仕事やらすなら、こんな邪魔クセェもん要らねぇって言って、取っ払ってもらったよ。いやぁ、おかげで身軽でよろしい!」


「それは実に話が早いですね。どうも、お察しの通りアタシが天風遥です。巨乳ちゃんってのは聞かなかったことにします……女性を前に、胸の話から入るなんて、ちょっと失礼だとは思いますけどね」


 目線も合わせずに、ふくれっ面で横を向きながら、言い捨てる。


 どいつもこいつも、そんなんばかり。

 ……終いにゃ泣くよ?


「……ははは、こりゃまた手厳しい。けど、ごもっともな話だな。すまん、すまん……。どうも俺みたいなオッサンになると、若い子見るとついテンション上がっちゃってな。大変失礼した!」


 なんか、拝み倒されてるし。

 ちら見して、もう一回ぷいっと横を向く……そんな調子のいいこと言われたって、女の子を不機嫌にさせて、そう簡単に機嫌直せると思うな。

 

 アタシは、そこまでチョロくないっ!

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