外伝2「第431独立駆逐隊の愉快な仲間たち」③
「そんなわけで、これからはレポーターとして沙霧と私、天霧の二人体制で行きたいと思います! 提督もガンガンしゃべらないと私達の番組みたいになっちゃいますよ!」
「そうそうっ! なんたって、アイドル目指すからには、目立ってなんぼだからな!」
そう言って、どかっと乱暴に椅子の上に足をかける沙霧。
当然、緑の縞パンがガバっとばっちり……。
「……駄目ですよ。沙霧、あくまでお淑やかに……そんな堂々と見せるなんて、廉価特売ワゴンセールみたいなものです! そんな破廉恥……この私が許しません! と言うか、ずっこいです!」
そう言って、両手を広げて、沙霧の前に回り込んで、カメラの視線をシャットアウト。
さすがに、パンモロはお見せできません。
健全なチラリくらいならいいけれど、えっちぃのは駄目なんですっ!
「ええっ! そう言うものなのかい?」
「そうですっ! あくまで見えそうで見えない、あざとさとはそう言うものなのです! あくまでお淑やかな淑女でないと……そんな中、偶然ちらりと……アイドルとはそうでなくてはいけません。ですよね? ユレさん」
思わず、そう力説する。
ユレさんのカメラシステムに強制割り込み。
撮影済み映像を確認、うん、沙霧のパンモロはギリギリ写ってない。
まったく……危ない、危ない。
と言うか、バストサイズとか腰のくびれとか、何気に沙霧ってナイスバディなんですよね……。
背も私よりあって140cm台……まぁ、子供サイズと言われたらそこまでですけど、私よりはデカい!
普段は、男っぽい言動のせいで、色気とかまったくないのですけど、本気を出せば霧の四姉妹中、最強かもしれません。
これは、思わぬ強敵と書いてライバルと読むを作ってしまったかも知れません!
もっとも、遥提督はその狭霧を上回るナイスバディの持ち主なんですが……中身は割とぽんこつなので、さしたる脅威ではありません。
「……ユレさん。二人共、あからさまにおかしくないですか? 大丈夫なんですか……こんな調子で」
アイリッシュさんがユレさんに囁く。
でも、その程度の内緒話筒抜けです。
「うーん、何かプラグインがどうのって言ってたけど、これくらいはっちゃけてた方が題材としては美味しいのよね。遥ちゃんごめんなさいね。ホントはあなたを中心に取材したかったんだけど、この二人が面白い感じになってるし、戦闘艦艇頭脳体の娘って、どうにもカメラの前では、ノリ悪くなっちゃう娘や萎縮しちゃう娘が多くって、これはこれで斬新で興味深いのよね」
「ああ、アタシは別に構わないよ。むしろ、テレビに映るとか、独占取材されるようなガラじゃないからね。二人共、とっても楽しそうだし、好きなだけやらせてあげてよ……。もっとも、後で後悔して、大騒ぎするかも知れないけど。一応アタシの名前で取材許可は出しとくよ」
「そう? なんだか悪いわね……。そんなわけで、ちょっと予定を変更して、お二人のインタビューてことにしても、いいかしら?」
「うん、それでいいよ。二人共、一応先に言っとくけど、警戒レベルが今の要注意のイエローから、要警戒のオレンジに上がったら、お遊びは終了だよ。そこだけはキッチリ弁えておいて欲しい」
遥提督の命令。
そっか、狭霧も言ってたけど、今はコードイエローなんですね。
それをスルー、朝霧達が出港してるのにも、気付かないとか、確かに私らしくない……。
念の為、もう一回、セルフチェック。
沙霧共々、戦闘行動に支障なし。
なら、問題ありませんね。
「よし! じゃあまず、私の自己紹介だな。私は、駆逐艦沙霧だ! この艦隊では旗艦天霧の直属護衛ってことで、前衛を務める朝霧、夕霧の後方支援に、旗艦の直掩、後退時の殿とか色々やってるんだ。天霧は旗艦装備とか、特殊装備が多いし、防御にも気を使ってるぶん、火力には劣るから、その辺フォローする為にも、艦隊でも一番火力に割り振ってるんだぜ!」
「沙霧は、火力支援担当艦ですからね。飛翔魚雷VLSパッケージも私が二つのところを四つも搭載してるんで、その気になれば、150発近い飛翔魚雷の一点集中なんて事を出来るんですよ。ただ、その分バッテリーセルの搭載量削ってるんで、継戦能力はやや低めですが、瞬間火力なら、我が艦隊トップですね」
「まぁな。ちなみに朝霧と夕霧はバランスタイプだな。囮や前衛が多いから、対空機銃やら速力に割り振ってるから、どちらかと言うと防御重視とも言えるな。でも、天霧って戦闘技量なら、私より上なんだよなぁ……対抗演習じゃどうも負け越してる……」
「私は、センシティブ系強化とか電子戦、光学ジャミングなどに特化されてますからね。正面戦闘は苦手ですけど、遠距離狙撃とか搦手なら大得意です。沙霧は正面から突っ込んでくるし、どうにも火力に頼りすぎですから、相性が悪いってだけなので、実力の差とまでは言いません」
「まぁ、事実だからしゃあねぇな……。ちなみに、こいつの趣味って下着コレクションなんだぜ? せっかくだから、視聴者様にサービスしてやりなよ」
そう言いいながら、沙霧が後ろから抱きつきながら、背中をぐいっと押してくるので、思わず前傾姿勢になってしまう。
色気アップを狙ってあえて、シャツのボタンを外していたので、当然ながら、ブラチラ状態に……。
「えっと、ごめんなさいね。天霧ちゃん、そのポーズだとブラが浮いちゃってて、ちょっと写しちゃダメっぽいのがチラッと……ね?」
「#$%&※※ーッ!」
ユレさんの言葉で何を映されたのか悟ると、思わず、声にならない叫びとともに、胸ガードの体勢に……。
貧乳最大の弱点……それは、前かがみになると割とアブナイ。
具体的にどう危ないのは、あまり言いたくないので黙っておきますけど……。
……ううっ。
カメラの前で……とか、さすがに、それは痛い……痛すぎます。
「す、すまねぇ……と言うか、お前下着のサイズあってないんじゃないのか? 大方見栄張って、オーバーサイズにしたとかそんなだろ?」
「おだまりっ! 沙霧みたいな恵まれし者に、貧者の気持ちなんて、解らないわよーっ!」
そう言って、思い切り沙霧のシャツをガバっとたくし上げっ!
沙霧の双丘……な、なんて立派なもんを装備してるのかしら?
下着自体は、水色のスポーツブラ……色気のかけらもありませんが……。
……外見スキャンからの推定値測定。
「Dの70……な……なん……だと? 以前より、パワーアップしている……そんな、馬鹿な……ですっ!」
……私のは……B60。
体の大きさを考慮しても、これはもう圧倒的なまでの差異。
いや、私と沙霧では、それ以上の差っ!
ううっ、ごめんなさい……私、嘘ついてました。
沙霧の言う通り、見栄張ってオーバーサイズのブラ買ってしまったので、ホントはAカップのど貧乳なんです。
そう……スカスカですよ! スッカスカッ! そりゃ、かがんだりしたらパカりますよっ!
「うわーんっ! 沙霧のバッキャローッ! この駄乳駆逐艦ーっ!」
とりあえず、沙霧のにスパーンと平手打ちをかますと、そのまま、泣きながらダッシュっ!
くぅっ! 流れよ、我が涙っ!
「いってぇっ! くらぁっ! 天霧っ! なんでそうなるっ! 今のは私が怒るところだろう! 待てコラッ!」
すごい勢いで沙霧が追いかけてくるので、私も全力疾走での逃走へ!
けれど、狭い駆逐艦の甲板……あっという間に追い詰められてしまいます!
「や、殺られる前に! 殺るのみ! セェエエエエィ!」
振り返りざまに、躊躇なく、割と本気のハイキックを沙霧に向かって放ちますっ!
「ちょっ! おまっ!」
けれど、沙霧もすばやく同じ様にハイキックで対抗!
空中で蹴りと蹴りがぶつかり合い……まるで砲弾が炸裂したかのような音と、共にエーテル大気が振動します!
お互いのパーソナルシールドが干渉し、激しく放電する。
……なんか、ガチな感じの姉妹バトル勃発。(笑)
天霧ちゃんのセルフチェック、マジで役に立ってないと思う人、挙手。(^^)/
ちなみに、全面改稿並行してやってたり、他で色々やってたもんで、外伝本編の執筆が捗ってません。
ストックが貯まるまで、隔日ペースになります。