36:私が悪い
ユーリ…。
読んでくれてアリ(´・ω・)(´_ _)ガト♪
アリシア。
私のために、目覚めて。
死んじゃったら、何もかもなくなるの。
100年後には、誰も覚えてなんかいないわ。
でもね。
それは死んでからの話。
生きていたら、そんなことないの。
だからね、生きて。
私が持てる最大限の力を使うから。
私が死んでからもなお、生きていこうとした理由を使うから。
がんばれ、アリシア。
私が、そばにいてあげるから―――。
***
「………ッ」
裏路地で、目が覚めた。いつの間にここに来たのだろう。
彼女の声が、ユーリの声が、かすかに耳に残る。
その温度は懐かしくて、つらかった。
きっと僕は、死にそうだったのだろう。
それを、ユーリが引き留めてくれた。
「わっはっはー! 私の力を思い知ったか、アリシア!」
右腕が少し痛む。けれど、傷がない。これもユーリの力だろうか?
「腕はね、直すの大変だったよ! 一番ひどかったんだから」
…ずっと聞こえてるこの声は空耳なのかな? だとしたら相当やばいぞ、アリシア。妄想癖は治ったはずだろう?
「空耳じゃないよー! ユーリだよー! 久しぶりに喋れたね! おーい!」
やばいぞアリシア。緊急事態だ。ユーリがそんなに恋しいからって幻聴まで聞こえ始めたらヤバい奴認定を食らってしまう。
「もうアリシアの大好きな怖い話しちゃうからね! ほら、早くしないと始まっちゃうぞ~! あ~! アリシアの後ろに白っぽいモノが~」
すごいなこれ。逆にもう自分のヤバさ加減に感心してきたわ。
「あーもう! ここ数年で変わっちゃったの!? あーあー、ユーリちゃん悲しいわー泣いちゃうわー」
でも…でも、もしユーリがここにいたとしたら? 真面目に話ができているとしたら?
「だからそうなんだって! 早く! 後ろ振りむいちゃいなよ! カムバック! あれ、これ合ってたっけ?」
本当に後ろにユーリがいたらマジで怖いぞ。ヤバい、手が震えてきた。うれしいはずなのに手が震えてきた。怖い…。
「しょうがないなー。本当にアリシアは怖がりなんだから」
その声がはっきり耳元で聞こえたとたん、目の前にユーリが現れた。
「……妄想癖もついにここまで来たようだ…」
「あー! まだ信じてないね!? えー、どうやったら証明できるかな…。そうだ! 黒歴史を探そうアリシアの黒歴史を!」
そう言って、目の前のユーリは手で何かをまさぐるしぐさを始める。
これはもうユーリの幽霊化を認めないといけないようだ。
「ユーリ」
「ん?」
一応、お願いだけしてみることにする。多分無理だろうけど。
「僕の黒歴史を探さないでほしいな」
「……ふふっ。やーだよん。もう見つけちゃったもんねー」
ですよねー、と、思う半面、ユーリが放った沈黙の間を聞いて、その裏に何かあることを感じた。
冷たい氷の壁に触れた自分を、後悔するような、そんな感情。
それに気づいた僕は、原因を考える。
それでたどり着く結論なんて一つしかない。
きっと、僕のせいだ。
「ユーリ」
「なに?」
「…ごめん」
だから僕は謝った。多分これが最善だろうと思って。
それを聞いた彼女は驚いたように数秒こちらを見つめ、目を閉じ、そして、言った。
「…私は、ごめんなんて言葉、聞きたくない!」
「…ぇ」
もう抑えることはできないといったように、ユーリから次々と言葉があふれだす。
「私は、私はずっと待ってたの! それなのに、なんで…なんで、ごめんなんて言葉で片付けちゃうの!?」
「でも、」
「違うよ!! 私が悪いんだよ! 私があんなとこへ連れて行ったから! 悪いのは私のほうなの!!」
「…っぁ」
「勝手に連れてって、勝手に死んで、勝手にアリシアを悲しませたのは私なの!!」
彼女の声が裏路地の壁に反響して、何重にもなって僕に襲い掛かった。
ユーリの目に留まるのが耐えきれなくなった涙が、彼女の頬を伝う。
胸が痛くて、痛くて、はち切れそうだった。
だけど、一つだけ僕はユーリに謝らないといけないことがある。
彼女にどれだけ止められても、これだけは、と思う。
泣くのは、その後だ。
「…ごめん」
「だから…!」
「今のごめんは、僕がユーリの思いに気が付かなかったことに謝っているんだ。…決して、あのことについて謝ってないよ」
「……ッ」
その瞬間、ふわっとしたものが体を包み込んだ。
「昔っから、そういうとこだけは変わらないんだから」
耳元から、ユーリの声がはっきりと聞こえた。
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
「大好き」
包み込む力が、少しだけ強くなった。
これ泣きながら書いてました( ;∀;)
なんかもっと上手く書けた気がする!!!
ユーリの気持ちが私は大好きです!!
ひゃっほーう!!(?)
ではまた!




