八章 救いを求めて
――何か、困ったことがあれば、連絡してください!――
「っ!」
愛理は、声を聞いた。
昨日、出会った少女の声が、脳内で再生された。
なんとか、愛理は立ち上がり、自分の鞄を取りにいき、鞄の中から一枚のビラを取り出す。
《神城トラブルバスターズ》のビラである。
ビラには、営業時間と事務所の場所、電話番号が記されている。
営業時間は九時までとなっている。
愛理は、時計を確認する。まだ、八時にもなっていない。
そして、そのビラを握り締め、コートを羽織って、玄関に向かう。
この空間から、愛理は離れたかったのだ。
そして、部屋を出ると、階段を駆け下り、一階へと向かう。
一階に着くと、足音に気付いたのか、管理人が声をかけてきた。
「どうしたの? 愛理ちゃん?」
「すみません、ちょっと出てきます!」
言いながら、マンションを出て行く愛理。そして、一目散に商店街の方に向かう。
向かう途中で、携帯で《神城トラブルバスターズ》に電話をかける。
トゥルルル、トゥルルル…
何回かのコール音の後に、つながった。
『はい、《神城トラブルバスターズ》事務所です。ご依頼でしょうか?』
聞こえてきたのは、男の声だった。
(あの娘じゃない…)
一瞬、動揺した愛理だったが、気を取り直して、答える。
「は、はい、あの、どんな用件でも聞いてくれますか?」
『はい、法律に触れないことであれば、ただの恋愛相談や探し物から、ボディガードや警備の仕事まで、なんでも幅広く扱っています』
男の声は、やや事務的で、冷たい印象を受けたが、愛理は、そんなことは気にしていられない。
「あの、もしかしたら、私の気のせいかもしれないことで、相談したいんですけど……よろしいですか?」
愛理は、走りながらも質問する。
『構いませんよ。私どもが、そちらに向かってお話をお聞きしましょうか?』
普通であれば、不可解だと思うであろう愛理の質問に、簡単に答える、電話口の男。
「い、いえ。今、そちらに向かってるところです」
『そうですか。では、事務所でお待ちしております。場所はお分かりですか?』
「はい、大丈夫です」
『では、お名前だけ、先にお聞きしておいてもよろしいでしょうか?』
「藤堂、藤堂愛理です」
『トウドウ、メグリさん、ですね。……では、お待ちしております』
男がそう言うと、電話を愛理は、切った。
そして、さらにスピードを上げて、目的地の《神城トラブルバスターズ》事務所へと向かった。




