#12 由紀夫3
経営者の由紀夫です。
先程の続きを話しますね。
その日僕は作家の女性にストーカーをしてしまいました。
すごい反省をしています。
だからもう彼女には近づかないと誓いました。
前にも話しましたが彼女にはすぐ興味が無くなり元恋人の紗理奈さんに興味が移りました。
紗理奈さんはストーカーの件で僕に嫌悪感を抱いていて告白してももう一度付き合うことは無理そうです。
驚いたのですが一緒に閉じ込められた主婦の綾香さんが紗理奈さんのお母さんだったんです。
紗理奈さんのお母さんであることと整形手術をしたことを同時に告白してきました。
何度も会ったことがあり整形前の顔は知っているのですが顔が変わったので言われるまでわからなかったです。
紗理奈さんにも整形のことは隠していたみたいで驚いていました。
名前ですが本名は綾香さんではなくて佐緒里さんでした。
親子揃って偽名を使うのは何の為なのでしょうか。
時間がたつに連れて紗理奈さんのお母さんのことも好きになっていました。
でも人妻であることと年齢差があること、そしてストーカーをして評価が落ちたので仲良くはなれそうもありませんでした。
エレベーターの中は綺麗な女性ばかりでした。
僕は女性に囲まれることは大好きです。
でも僕の敵しかいなかったので居心地はあまり良くなかったです。
結構な時間がたってようやく助けが来ました。
助けてくれたのは偶然にも紗理奈さんのお父さんでした。
そしてなんと紗理奈さんのお父さんを見て作家の女性が「お父さん」と言っていたんです。
みんな驚きの表情でした。
紗理奈さんのお母さんは「お父さん」という声を聞いて本当に娘なのか作家の女性に詰め寄っていました。
色々言い合ってましたが聞き間違いだったということで事態は収まりました。
僕は愛人との娘だと思いますけどね。
僕のストーカーがバレた時も重たい空気になりましたがそれ以上でした。
作家の女性にはこの日の出来事を小説にして欲しいです。
ひとつ言いたいことがあります。
実は紗理奈さんのお父さんは僕のお父さんでもあったんです。
久し振りにあったのですが顔も変わっていなくて元気そうでした。
すみません、これは嘘です。
元恋人のお父さんなので何度か食事をしたことはありますが僕のお父さんではありません。