ハヤトの能力値
ハヤトはとりあえず街の中を散策する。
目に止まったのは『あなたの能力測定します』という看板を出した小さな店で、今の自身の力を知っておいた方がいいと思ったハヤトはすぐにその店に入る。
中は老婆が1人だけで座っており、ハヤトを向かいの椅子に座るよう促す。
ハヤトが椅子に座ると、彼女はハヤトを見つめ……突然目を見開き驚いたような表情で固まってしまった。
「あの、どうかしましたか?」
「まさか……あなた勇者ですか?」
ああ、そういうことかとハヤトは納得する。
勇者の自覚が足りないことを反省し、彼女の問に頷いた。
「まさか、勇者に会えるなんて」
彼女は感動したといった様子でハヤトの能力値を調べていく。
しばらくして、ハヤトは紙にすべて書き終えた彼女からそれを受け取り、開いてみる。
ハヤト
職業 勇者
レベル 1
体力 40
魔力 3
攻撃力 10
守備力 1.1
素早さ 50
賢さ 8000
魔法 無し
特殊 レベル固定
「……えっと、これってどうなんですか?」
「戦闘経験のないあなたと同年代の男性と比べてもかなり低い値です」
「え……」
「でも、肉体的能力値はたしかに低いですが、賢さの値の高さは尋常ではありません。旅人としてはオールラウンダーよりも何か一つの能力が突出している方がいいのですよ」
「そうなんですね、良かった」
自身の能力値が決して劣っていないと聞き、安心するハヤト。
「それに、まだレベル1ですしね」
と続けて言ったところで老婆が気まずそうな顔をしている事に気づく。
「実は、特殊能力のレベル固定のせいであなたのレベルは一切上がらなくなっています」
「……え?」
ハヤトは耳を疑った。
生まれつきこんな呪いのような特殊能力を持ったハヤトがなぜ勇者に選ばれたのか。
そんな疑問が頭に浮かぶ。
「ですが、大丈夫です。レベル上げはあくまで効率の良い能力の上げ方にすぎず、特訓することでいくらか強くなれます」
たしかに、ハヤトは生まれた時からレベル1だが成長して力は多少強くなった。
「これは詳しい能力値についての説明です」
と、老婆に渡された説明書のようなものを受け取り、ハヤトは礼を告げてそこを出た。
能力値説明書
職業
本当の職業ではなく、タイプを表すもの。主に 戦士攻撃型 戦士守備型 魔法使い攻撃型 魔法使い回復型 魔法使い守備型 勇者に分けられる。
レベル
最大99まであり、魔物を倒すと貰える経験値によってあげることが出来る。原則下がらない。レベルアップに伴い上昇する能力値は 体力 魔力 攻撃力 守備力 素早さ の5つ。
体力
ここでは持久力ではなく生命力の意。軽い傷なら時間の経過で回復する。レベル上げ以外の能力値の上げ方は無い。成人男性の平均値は100。
魔力
魔法の使用は魔力に依存しており、魔法を使用すると魔力は減少する。時間の経過で回復する。レベルアップ以外に能力値を上昇させる方法は無い。成人男性の平均値は100。
攻撃力
敵に与えるダメージを左右する能力値。値は体力と比例の関係にあり、体力が低いほど攻撃力も低くなる。攻撃力はレベルと技量によって上昇する。成人男性の平均値は100。
守備力
値が高ければ高いほど敵からの攻撃を軽減出来る。被ダメージ=敵攻撃力÷自守備力で表すことが出来る。主に1未満にはならない。レベルアップと特訓で能力値が上昇する。成人男性の平均値は1.2。
素早さ
攻撃頻度、攻撃回避、移動速度が素早さに依存している。レベルアップ以外の能力値の上昇は期待出来ない。成人男性の平均値は100。
賢さ
唯一レベルと値が無関係の能力。暗記力、思考力の合計で表される。ほぼ生まれつき値の善し悪しが決まっている。成人男性の平均値は100。
魔法
レベルとは無関係で、練習により習得が可能。威力は使用した魔力の量に依存する。
特殊
前触れなく習得出来る能力。得ることで不利益になる場合もある。