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離蔑(りべつ)
何にも知らない
私が何を考えているか
私が何を想っているか
貴方は何にも知らない
誰の声も聞きたくない夜とか
誰も傍に居てほしくない夜とか
一人になりたい時があるなんて
貴方は知らないでしょう
まるで道端の石ころのように
ただいるだけの存在に
まるで部屋の調度品のように
ただあるだけの存在に
誰とも話さず
誰にも会わない
そんな時があるなんて
貴方は考えもしないのね
だから楽しそうに近寄って
だから楽しそうに入ってきて
私の世界を荒らしてく
一人になりたいの
私が欲しいの
誰にも関わらない
私が欲しいの
お願い
私に構わないで
じゃないときっと
私は貴方から
離れるしかないのだから
二度と会うなんて
思わないくらいに




