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赤糸(あかいいと)
寒いから恋して
寂しいから愛する
そんな彼女達を見て
私は恋愛に臆病になる
誰かを愛するのは
そんな理由なのかと
止まらない気持ちが
そんなものなのかと
本心は解らない
本音が解らない
一人部屋でいると
渦巻く孤独が襲ってくる
付き合いの長い
手慣れた感情
自慢にもならない
唯一無二の友人
けれど彼は
そんな私に手を伸ばす
優しい笑みと
暖かい笑みで
バカらしいと
笑った感情に笑われる
気にした外面
気になった外面
全てを無視して
すがりたくなる懐
一人が寒いから恋をしたい
一人が寂しいから愛したい
そんな私の気持ちが
ひどく汚く見えた
一人が寒いから恋されたい
一人が寂しいから愛されたい
包んで囁く甘い言葉
とろける甘さに
溺れてしまう
彼となら
溺れてもいいと思って
寒く寂しい部屋で
彼を想う
想って終わる
私の気持ち
想って終わらない
私の気持ち
気が付けば
私の心は繋がっていた
姿もないのに
聞こえる彼の声を
電話越しに垂れる糸を
指に巻き付けながら
寒く寂しい甘い言葉を
囁きあいながら




