『優しい超能力』
恐怖からか、思ったより高さがあったからか、やたら落ちる時間が長く感じる。
うおおお……と変な声が出た。
沙夜ちゃんも悲鳴をあげている。
河が眼前に迫ると浅い事がわかった。
(あ、死んだ……)
と、思ったら空中で、少しだが、ふわりと浮いた。
お陰で着水の衝撃はほぼなかった。
(今のって沙夜ちゃんの能力?)
が、冷たい!!意外と冷えてた!
河は腰までの高さしかなかったが、沙夜ちゃんは疲労と捻挫で上手く動けないようだった。
俺は沙夜ちゃんを抱え、高架下沿いに泳いで河川敷まで渡る。
河川敷に辿り着くと、貸してた上着の袖を破り、沙夜ちゃんの捻挫した足を包帯代わりにキツく縛った。
「いたっ……」
圧迫すると小さく叫び声を上げた。
(結構腫れてるな……折れてるかも)
「歩けそう?」
「はい、でも走るのは無理そうです……」
「肩貸すよ。……あいつら振り切れたかな?上手く目眩ましになったのラッキーだったね」
「はい、落ちる時が1番怖かったです……」
「落ちる時少し浮いたのって沙夜ちゃんの能力?」
「怖かったので……こんな風に助ける為に能力が使えるとは知りませんでした。いつも壊すことばかりだったので……」
「命拾いしたよ。ありがとう」
「こっちのセリフです…」
「でも、こんなところすぐに追っ手が来るかもしれないから少しでも離れよう」
(車はどうしよう……全損どころじゃないから弁償かなぁ。装甲車っていくらだろ……)
沙夜ちゃんに肩を貸して河沿いの薮を掻き分けながら移動した。
服が濡れてへばりついて重い。
しばらく歩き、沙夜ちゃんがそろそろ限界だと気づいた。顔色が悪い上に呼吸も荒い。ブルブル震えている。
辺りを見渡し、隠れる場所を探すともう少し進んだところに橋があることに気づく
「沙夜ちゃん、あそこまで歩ける?あそこで休憩しよう」
沙夜ちゃんは肩で息をしながら何回か頷いた。
(もう話せないぐらい限界なのか……)
橋の下に着き、ようやく一息つく。
「沙夜ちゃん大丈夫?」
「つ、疲れ……ました……一日でこんな動くこと……最近、なかったので……寒い」
沙夜ちゃんはガタガタと震え、顔色が青白い。何か温まるものが必要だ。
「……寒いね。暖かい飲み物買ってくるからここで休んでて」
「え……?あ、はい……早く、帰って来て下さいね……」
不安そうに沙夜ちゃんは言った。




