『追っ手』
アパートから離れたところで走るのをやめ歩き始め、息を整えた。
沙夜ちゃんは肩で息をしている。
「大丈夫?」
「……はい、でも……人が……人が!」
泣きながら取り乱している。
「仕方ないさ。急に入ってきて俺もビビったよ」
沙夜ちゃんを落ち着かせると今度は頭を抱えた。
「頭痛い……」
「……休めるとこ探そう」
(ストレス反応かな?)
深呼吸すると幾分落ち着いてきて、さっき蹴られたところが痛む。
(遠慮なく蹴りやがって、痣になってるよ……いてぇ)
でも、それどころじゃない。どこに逃げようかと考えながら沙夜ちゃんのペースに合わせて歩く。
「とりあえず会社の駐車場に行って軽装甲機動車取りに行こう」
「けいそうこう……?」
「装甲車だよ。銃効かないやつ」
「……装甲車でどこ行くんですか?」
「決めてない。君の故郷はどこ?」
「……西東京です」
「超能力者もいるの?」
「……はい」
他の超能力者か、怖いな
「超能力者の隠れ家みたいな?」
「いえ、普通の人のが多いですよ…」
(とりあえず親御さんの元に返してあげないとな)
会社にたどり着き、事務所から鍵を拝借。
駐車場で軽装甲機動車のGPSを取り外した。
(もし、政府関係ならこれで少しは追跡遅らせられるかな?)
エンジンをかけ、沙夜ちゃんを呼ぶ
「よし、乗って。GPS取ったからナビスクリーンが使えないんだ。案内はできる?俺、方向音痴でさ」
「うろ覚えですが……」
とりあえずアクセルを踏み西東京へ向けて車を走らせた。
車内無言なのが耐えられず沙夜に色々聞いた。
「沙夜ちゃん年は?」
「20歳です」
「若いねー、俺29。学校には行ってたの?」
「高校二年生まで通ってましたが……さっきみたいに人が来て……無理矢理連れてかれて……」
「辛かったね……」
「はい……」
「他にも能力者いるんだよね?」
「はい、色んな能力がありますよ。私はその中でも危ないみたいです……施設でも浮いてました」
「うん、わかる。正直ビビった」
「そう……ですよね」
あ、やべー、凹ませちゃった。
「ビビるほど凄いって意味だよ」
「……。」
無言になっちゃった。
「……高速で行くか」
首都高に入って景色の変わり映えがなくなったからか、沙夜ちゃんは眠ってしまった。
俺は起こさないように音楽を止め車を走らせた。
(ん?ドローンが飛んでる。最近のドローンは小さいから虫かと思った)
そのすぐ後に後ろから黒塗りの怪しい装甲車が3台近づいてきた。
(なんだこいつら?警察や軍でもないし、警備会社のロゴもない)
装甲車は俺の車の隣につけたと思ったら
ドンッ!
急に体当たりしてきた。
「マジか!こいつら!」
(さっきの仲間?絶対カタギじゃない!)
車体が流されて壁と接触し激しい金属を擦る音が響き渡る。
その音と揺れで沙夜ちゃんもビクッと飛び起きた。
「沙夜ちゃん!伏せてて!」
俺は拳銃で応戦したが、当たり前のように弾かれた。
(……ですよねー)
一応タイヤも狙ったが結果は同じ。
やばいな……今の装備じゃ無理だぞ。うち(警備会社)より装備いいじゃん……。




