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第1話 怠惰な王と、過労死したサラリーマン
アルドリア王国の王、レオンハルート三世は、歴史上最も怠惰な君主として知られていた。
朝は昼過ぎまで寝て、玉座はもはや巨大なリクライニングチェアと化し、政務はすべて「あとでやる」の一言で先送り。
国民の間では「動かない王様」というあだ名が定着していた。
「陛下、隣国が国境付近で軍を増強しております」
「うるさい、今は昼寝の時間だ」
「陛下、税収が前年比3割減です」
「なら支出を減らせ。まずは庭師を半分にしろ」
「でも陛下、それでは庭が荒れます」
「荒れるがいい。自然のままがよいのだ」
一方、現代日本。丹田一郎(36)は、大手企業「ブラック商事」の典型的な社畜だった。
朝7時出勤、終電帰宅が当たり前。
有給休暇は消化率0%。
夢は「いつかちゃんと寝ること」。
ある金曜日の夜、午前3時。
丹田はパソコンの前でふらつきながら、100枚目の資料を作成していた。
「あと少し……あと少しで……」
その瞬間、胸に激痛が走り、視界が真っ暗に。
次の瞬間、丹田は豪華な天井を見上げていた。
「ここは……?」
「宰相閣下、お目覚めになりましたか!」




