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2021年、外出自粛のGWが暇だったので書いてみた、小説です。
処女作であり、色々と突っ込みどころはあるかと思います。
短いですがお付き合いいただければ幸いです。
慌ただしく連れていかれたのは、冒険者ギルドの最奥。ギルドマスターの部屋で子爵家の執事に言われ待つようにする。
子爵家の執事は慌ただしく部屋から出て行ってしまった。
ギルドマスターの部屋で1人で待っていて良いのかと思いながらも大人しく待っているようにする・
しばらく待っていると、子爵家の当主と見事な装飾品で着飾った1人の偉丈夫とその護衛と思われる人たちが入ってきた。
このタイミングで子爵家の当主とここに入ってくるような人物は1人しか想像できない。大公爵だと考えるのが妥当だろう。
俺は、立ち上がり頭を下げ丁寧に挨拶を行う。
大公爵は室内の応接スペースに座り、言葉を発した。
同時に子爵家の執事へ目を遣ると、彼は大公爵と子爵へ礼をし退室する。
退室したことを確認し、大公爵は発言を始める。
「表をあげよ。私は王家より派遣されこの地に来た大公爵の当主である。
貴公が子爵の情報をもとに無謀にもドラゴンと対峙し生き残った冒険者で相違ないか?」
俺は顔を上げ「はい」と答える。
このような質問が来るということは、まさか大公爵が俺に会うためにこの街に来たのか?
「貴公はなぜ、ドラゴンに挑んだのか聞かせよ。」
そのように問う傍らで、仲良くしている子爵家の当主が無表情で固まっている。
俺が下手なことをいったら、彼に迷惑がかかるのかもしれない。
だが、眼前にいるのは大公爵当主だ。下手な嘘や言い繕いはすぐに見抜かれるだろう。
なれば説明する内容はただ正直に伝えるだけだ。
「長くなりますが」と前置きを行い、俺は彼のドラゴンに説明したように、一から十まで俺の生きた記憶を伝えその上でなぜ挑んだのかを説明する。
「ふむ……。」
大公爵は、あごに手を当て思案しているようだ。
そして続けて俺に問いかけてきた。
「貴公はそのドラゴンから何かを受け取ったか?受け取ったのであれば、私たちにそれを見せよ。」
俺は彼のドラゴンから譲り受けた鱗を机の上にのせ、「こちらを譲り受けました」と答える。
彼らはドラゴンの鱗を見ると、おもむろに大公爵は懐からハンカチと液体の入った小瓶を取り出す。
小瓶のふたを開け、ハンカチを濡らし、ドラゴンの鱗を持ちふきだした。
すると、土色をしていたはずの鱗は、眩しく光り輝きだした。
それはまさに至高と言えるほどのものに一変した。
皆一様に驚き、無音となった空間にゴクリという息をのむ音が聞こえる。
「貴公が対峙したのは、アースドラゴンではないかと言ったそうだがそれは誤りだ。
王家には、エンシェントドラゴンの鱗であればこの小瓶の液体でふけばこのように光り輝くと、高祖様からの言い伝えがある。
故にこれは、エンシェントドラゴンと言われる神龍の鱗で、貴公が対峙したのも先日王都に現れたドラゴンと同一個体だ。」
ということは――。俺は驚愕の事実に固まった。
はぁ、と大公爵はため息をつき続ける。
「エンシェントドラゴンと王が会談を行った際に貴公の話が出て、『気に入ったから罰することは王都の消滅を意味し、貴公の願いを叶えなければ相応の覚悟をせよ』とのことだ。
彼のドラゴンとの話し合いの直後、ちょうど王都にいた子爵よりドラゴンを対峙した無謀な冒険者のことを聞いた故、子爵に貴公と連絡を取らせ状況を聞き、エンシェントドラゴンと対峙した冒険者は貴公である可能性が高い故、王から名を受け私が直接来たのだ。
貴公を罰することはエンシェントドラゴンの怒りを買うことになりかねぬので、せぬし貴公の望みを叶えるため冒険者ギルドの一斉捜査を行ったのだ。
だが、それ故に貴公がエンシェントドラゴンとの話を行った際に、願ったことは他にないかを確認せねばならぬ。」
彼のドラゴンとの話し合いの時に願ったこと――。
それは、彼女への恩を返すことだけだ。そのためにドラゴンに挑んだのだと伝える。
はぁぁぁ、と大公爵は大きなため息をついた。
「子爵から聞いてはいたが、貴公は愚直で真っ直ぐなのだな。だからこそ子爵もエンシェントドラゴンも貴公を気に入りその願いをかなえるために動いたのかもしれぬな。
まぁ、これで肩の荷がおりたようだ。王へはすぐにその旨を伝えるが、冒険者ギルドのいざこざが落ち着いたら貴公と子爵は登城せよ。
詳細は明日伝えるゆえ、それまでは街にいるように。街から出る場合は、子爵に報告を行い内容によっては我らの部下と共に行ってもらうが、それ以外は好きにして構わん。」
そうして、大公爵との謁見は終わった。
なお、エンシェントドラゴンの鱗は眩しく輝きすぎで持っていられないので、保管方法を相談し大公爵にて保管をいただけるように了承いただいた。
大公爵との謁見後、子爵から様々な愚痴を聞かされると思ったが、ギルドマスターの部屋から退室したのは俺だけだった。
――おそらく、大公爵と今後の話をするのだろう。
彼が俺を使いドラゴンを王都に行くようにしたと邪推することもできるが、先程の反応からするとそうではないことはわかってもらえたと思うので、大きな罰則はないだろう。
退室後、廊下で待機していた子爵家の執事に泊まる宿と明日の予定を伝えると、執事から明日夕方に改めて来るように言われ了承した。
貴族に連れられたため、ギルド職員から目線を感じたが気にせずにギルドから出る。
街に戻ってそれほど時間が経っていないのに、今日は色々あった。
もう、宿戻って休もう。流石に大公爵との謁見は疲れた。




