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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第九章 サキュバスとエロ漫画野郎と機械仕掛けの狂騒曲
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幕間8 慈光の姉弟とエル・ブロッサム城の秘密

 三人は、エル・ブロッサムに案内され、応接間へ案内された。

 その道中に見た城内は、姉弟の知るものと違う部分が多かったが、庭や一部の場所は、知っている様相とほぼ変わり無かった。


 姉弟は今更ながら、自分は八百年前に来たのだと、少しずつ受け入れていた。


 応接間へ着くと、エル・ブロッサムが魔法を使ってお茶を用意してくれた。

 ソファに座るよう促され、姉弟はクッタクァと並んで座り、お茶を頂いた。

 よく知っている味と香りで、知らないうちに緊張していた肩が、ため息と一緒に緩んだ。


 対面のソファに座ったエル・ブロッサムは、二人の様子を見つめながら、やんわりと微笑んでいたが、やがて視線をクッタクァへと向けた。

 その星空のような瞳に浮かんでいるのは、疑念だった。


 視線を受けたクッタクァは、気づいていないのか、優雅にカップを傾けている。


 エル・ブロッサムはすぐに疑念の視線を引っ込め、柔らかな視線を姉弟たちにも向けた。


「落ち着いた?」

「うん、い、いえ、はい!」


 普段通りに答えそうになり、エイルは慌てて取り繕った。

 目の前にいるのは、両親や両祖父母も尊敬する、偉大な始まりの女王だ。

 自分たちも絵本などで知っている、偉大な冒険者でもある。


 隣のルクスも同じようにまた緊張しているらしく、身を強張らせていることがつたわってきた。


 今更ながら、二人はエル・ブロッサムと言う伝説と出会ったのだと、実感していた。


 こんなことなら、もう少しマナーの授業を真剣に聞いておくんだったと、エイルが内心で震えていると、エル・ブロッサムが微笑みかけてきた。


「普通に話してくれたらいいよ」


 砕けた口調でエル・ブロッサムはそう言ってくれたが、姉弟は顔を見合わせて、


(どうする?)

(無理だよぉ)


 アイコンタクトを取り合った。

 そんな二人の緊張を吹き飛ばしたのは、クッタクァだった。


「じゃあ遠慮なく」

「「え」」

「女王様が許してくれたんだから、普通に話せばよくない?」


 それは、社交辞令だったり、場を和ませるための言葉だったりするんじゃあ、と姉弟は震えていたが、エル・ブロッサムは笑顔で頷いていた。


「クッタクァさんの言う通りよ。二人とも、普通に接してくれたら嬉しいな」

「そう言われても、じゃなくて仰っしゃられても」

「難しい言葉遣いを知っているんだね。でも、そうかしこまられてもなぁ。私、普通の人だよ?」

「「そんなことありません」」


 姉弟は身を乗り出しながら声を上げた。


「仲間と一緒にたくさんの冒険をして、ダンジョンで魔王と戦った凄い人だわ!」

「それにエル・ブロッサム王国を作り上げた、すっごく素敵な人だよ!」


 言い終わってから、かなり失礼な事をしてしまったと二人は青ざめたが、目を丸くしたエル・ブロッサムは頬を染めて、照れるだけだった。


「ううん、何か照れちゃうなぁ。でも、私は本当に普通の人だよ? 女王って言ったって、まだ修行中みたいなものだし、皆に支えてもらって何とかなってるんだよ」


 エル・ブロッサムは気負った様子もなく、そう言った。

 その姿は、偉大なる初代女王というよりも、母親や姉たちのような雰囲気があった。

 その身近さを感じる気配に、姉弟は目を丸くするのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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