幕間6 慈光の姉弟とエル・ブロッサム城の秘密
大変長らくご無沙汰しております。
サエぼ、ちょっとだけ再開いたします。
「実は、二人がここに入ってきた時に浮かび上がってきたんだよね」
嬉しげなクッタクァを見ながら、エイルとルクスはあることを思った。
もしかして、エル・ブロッサムの子孫の自分たちが来たから浮かんだのでは、と。
だが、クッタクァは二人の不安を他所に話を続けていた。
「もしかしたら、人数で何か仕掛けが増えるんかもしれないから他のとこ見て回りたくてさ。二人にも、同じように、紋章が現れてるとこがないか見て欲しいんよね」
「それなら、私たちでもできるわね」
「そうだね」
それから、三人でばらけて、部屋中を見回ったが、エル・ブロッサムの紋章が浮かんでいる場所は他になかった。
三人は紋章の浮かんだ壁で集合した。
「なかったわね」
「こっちもなかったよ」
「二人ともあんがとねー。こっちもなかったわー。んで、この紋章だけど、魔力を流せるみたいなんよ」
つまり、入口にあったセキュリティ用の魔法陣と似たようなものだろうと、二人は当たりをつけた。
クッタクァも同じ結論に至っていたようで、ジャケットの裏から、手のひら大のカードを取り出して、右手で持って紋章に近づけた。
「これは、ここに入るために特別に借りたものだけど、反応なし、か」
さらに、左手を近づけるが、何も起こらない。
「うーん、ダメかー」
クッタクァはやれやれと笑う。
「仕方ない、他を調べてみるかー。二人はどうする?」
「もう少し、ここを見てみるよ」
「何かわかったら声をかけるわ」
「りょーかいっ。私も何か新しいもの見つけたら声かけっからー」
手を振りながらクッタクァが離れたところで、姉弟は顔を寄せ、小声で会議を始めた。
「どうする?」
「僕たちなら、もしかしたら何か起こるかもしれないけど」
眼の前の紋章は、ずっと目にしてきた。
そこに魔力を流せる、入口のセキュリティ用の魔法陣に反応した魔法道具でも何も起こらないとすれば、王家の自分たちが魔力を流せば変化が起きる可能性は十分にある。
だがその場合、クッタクァに、自分たちの正体がバレてしまわないかと不安だった。
「でもルクス」
「うん」
こっそりクッタクァの様子を伺うと、彼女は入口から見て右手の壁の前で腰を折って、何か見落としがないかと探しているようだった。
「僕たちによくしてくれたし、このまま何もせずにって言うのは、嫌かな」
「私も」
二人は顔を戻すと、同じだねと、笑いあった。
「もし宝箱とか出てきたら、クー姉さまには何て説明したらいいかしら」
「うーんどうしよう。文字を触ってたら何か出てきたーとか?」
「無理がない?」
「あるね。でも、クー姉さまなら、あまり気にしないでいてくれるかも」
クッタクァは気さくに接してくれて、しかし深く踏み込んでくることはなかった。
彼女は、エイルとルクスを、仲間として見てくれた。
二人は、クッタクァの優しさを信じて、甘えてみる事にした。
二人で紋章に手を翳して、魔力を流すと、すぐに変化が現れた。
魔法陣が輝き、二人が声を出すよりも早く、淡く部屋までもが輝き出し始めた。
そして、二人の視界は真っ白に染め上げられた。
「ルクス!」
「エイル!」
二人は互いの姿が見えなくなる前に手を繋ぎ、身を寄せ合う。
「エイルっち、ルクスっち!」
真っ白に染まる視界の中、クッタクァの呼ぶ声が聞こえた。
お読みいただきありがとうございます。
待っていてくださった方、楽しみにしてくださっていた方々、本当にすみません。大変長らくお待たせしました。
年の瀬ですが、皆様如何お過ごしでしょうか。
来年も、少しでも皆さんが楽しんでいただけるような作品を投稿していく所存です。
よろしくお願いいたします。




