表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/31

暴露

 

 青ざめる私の隣で、クロはなぜか嬉しそうに目を輝かせる。


「えー! それってつまり、これから絵馬とずっと一緒に遊べるってこと!?」


 やったー! と彼女は飛び上がって喜ぶ。

 この屋敷から一生出られない(イコール)永遠に一緒に遊び倒せるとでも考えているのだろうか。


「浮かれている場合ではありませんよ、クロ。それに今後のことはまだ決まっていません。この部屋で何があったのかを確かめるまでは……」


 尚も冷静に話を続けるルナさんの声を遮って、クロは一際元気な声を上げた。


「それならあたしが全部知ってるよー! 絵馬はね、ここで魔法を見たんだよ! オーナーが絵馬のために魔法を使ってた!」


 直後、部屋の中は水を打ったようにしんと静まり返った。


「……魔法を見た、ですって?」


 再び静寂を破ったのはルナさんだった。その声はさっきよりもさらに低く、珍しく動揺が滲んでいる。


 魔法、というワードを日常会話で耳にしたのはこれが初めてだった。現実的に考えて、そんな非科学的なものはおよそファンタジーの世界にしか存在しない。


 けれど、先程あの青年が起こした不思議な現象は、魔法と言う以外に説明が付かないようなものだった。


「叶さん。あなたは本当に、ここでそれを見たのですか?」


 ルナさんの目が、再び私を捕らえる。


 あの不思議な現象が、本当に魔法なのかどうかはわからない。


 けれどどちらにせよ、あれを見たことがバレれば、私は一生この屋敷から出られなくなるかもしれない。そんな予感がして、慌ててしらを切る。


「や、やだなぁ、クロ。魔法ってなんのこと? 私、そんなの見てないよ?」


 不自然に裏返った声で、私は彼女に笑いかける。

 しかし彼女は小悪魔っぽい笑みを浮かべて、まるで本物の悪魔のようなセリフを口にした。


「ふふふっ、絵馬は嘘つきだね! あたし見てたんだよ。絵馬がこの部屋に入るところから、ぜーんぶ!」


「へ……」


「お茶をこぼして、服が汚れちゃったから、オーナーが魔法で綺麗にしてくれたんだよね!」


 彼女が暴露したそれは、確かにこの部屋で起きた一部始終だった。


 全部見ていた、と彼女は言う。

 けれどそんなはずはない。

 あの時この部屋にいたのは私とオーナーの二人だけで、他には誰もいなかったはずなのに。


「な、なんでそれを……」


「あれ? 絵馬ってば、もしかしてまだ気づいてないの? あたし、ずっと絵馬のこと見てたんだよ。絵馬がこの屋敷に入ってくる前からずーっと!」


 言い終えるが早いか、彼女はピョンッとその場でジャンプしたかと思うと、軽やかな動きで宙返りをしてみせる。

 そうして再び絨毯の上に足を下ろした時には、彼女の姿は全く別のモノに変化していた。


「えっ。クロ、あなた……!」


 信じられない光景に、私は目を見開く。


 一瞬前まで中学生くらいの少女だったクロの姿は、今は一匹の黒猫へと変身していた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ